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ロックマンX1st魔法少女と蒼き英雄

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最終話「勝利/VICTORY」

 
前書き
ついに最終回!ここまで読んでくれてありがとうございました!
 

 
タケルとシグマ、双方は静かに沈黙が続いた。ぴたりと動かない二人、しかし、先に爪先を動かしたのはシグマであった。
「……!?」
その刹那、二人の姿は肉眼ではとらえられない速度で、激しくぶつかり合う。タケルのZXセイバー、そしてシグマのビームセイバーが激突し、火花を散らす。
「ほう……大出力のセイバーのようだな?だが……!」
しかし、シグマは指先をタケルへ向ける。
「!?」
シグマの指先は銃口のように展開し、そこから五つのレーザーが放たれた。
「……!?」
この近接距離でそれを食らい、タケルは飛ばされる。指先がレーザー銃になるとは思わず、タケルは腰から拳銃型のZXバスターを取り出し、チャージショットを連発させるが、
「甘い!甘いわぁ!!」
チャージショットの弾幕をシグマはセイバーで全て弾き割ったのだ。
「ば、バスターが!?」
「私にバスターなど通用せん!」
素早い機動力で一瞬にタケルの間合いへ立つと、シグマはセイバーを振り回し、それを何とかセイバーで受け止めるタケル。凄まじい力に押され、タケルは動くことはできない。
「踏み込みが足りんようだな?」
シグマのセイバーを受け止めるだけで精一杯のタケルへ、シグマの横蹴りが飛んだ。
「ぐあっ……!」
シグマに蹴り飛ばされ、壁へと激突するタケル。起き上がる彼にシグマは待たず。彼の肩部へセイバーを斬りつけた。
「痛っ……!?」
「どうした!?ロックマンZXよ?先ほどのVAVAを倒した時のように私を圧倒してみせよ……?」
「……!」
そしてシグマは目にもとまらぬ速さでタケルの体へセイバーを切りつけてくる。ゼクスのアーマーは徐々に傷ついていく。
(は、早い……とてつもなく早い!どうすれば……どうすれば勝てるんだ!?)
その素早い攻撃に苦しみながら、タケルはシグマへの攻略を探るが、格闘に特化したシグマは攻撃力共に機動性も高い。距離を取るバスターで防ぐにしてもシグマの指先に仕組まれたレーザー銃が放たれる。だからといって同じ接近戦を挑んだらおそらく勝つことはできないだろう……
「くそっ……」
タケルは背後から来た攻撃に倒れ、蹲った。もはや、シグマに勝てる見込みはないのだろうか?
「どうした?それで終わりなのか……つまらんな」
「くそっ……駄目なのか?僕じゃ駄目なのか……!?」
「しかし、よくここまで耐えたものだ?初めてにしては認めてやろう?だが、私を倒せなかったのは唯一の心残りだな?ロックマンゼクスよ……」
そういうと、シグマはタケルへと距離を取って、セイバーを構えた。
「せめて、一瞬で楽に死なせてやろう……?」
シグマがそう呟き、タケルへ向かうが、その刹那。
「……こうなったら!」
タケルは立ち上がり、セイバーを握って構えた。そして彼は静かに目を閉ざす。心眼である。心を落ち着かし、あの時の道場での感覚を思い出す。
「……」
「フンッ……いい覚悟だ!」
そしてシグマはセイバーを片手にタケルへと襲いかかった。タケルは道場で習った美由紀と恭也、そして士朗の姿を思い出した。
(心を落ち着かし、気配を殺す、己を消し、敵の気配を悟れ……!)
そして、次の瞬間。タケルは目を開き、シグマの振り下ろすセイバーを交わして、彼の背後へと回りこんだ。そして、
「そこだぁ!」
「ぬおぉ!?」
シグマの腰から腹部をZXセイバーが貫通していた。
「ぬぐぅ……何故、何故かわせた!?」
「……心眼だ」
「……シンガン?そうか……心の目で私の姿を捉えたのか……」
シグマは敗れたことを認め、タケルへ言い残す。
「ロックマンゼクスよ……見事だぁ……!」
シグマは倒れ、タケルはギリギリの勝利を得た。
「た、倒した!やった、勝ったぞ!?」
『よくやったタケル!さぁ、残るは』モデルX
『ドクター・ワイリーとプレシア・テスタロッサだけだ……』モデルZ
「うん、休んでいる暇は無いんだ!急ごう!!」
しかし、そこで展開が急変し、それを即モデルⅩが知らせた。モデルXのレーダーがワイリーを捉えたのだが、
『タケル!ワイリーがこの部屋を抜けてプレシアの元へ向かっている!?』
「何だって!?」
『ここから最短ルートを表示する。急ぐのだ!』
モデルZからこのエリアからプレシアの部屋までの最短ルートを表示され、タケルはこの場から抜け出た。
「……!!」
タケルアはプレシアの元へ向かい走り出す。

岩と次元の海に囲まれる不気味な空間にアリシアの試験管とプレシアが居た、なのはに動力炉を破壊され、それに気づくプレシアは辺りを見回した。すると、そこには魔法陣の上に立つリンディ提督が居た。
「プレシア・テスタロッサ!終わりですよ?次元震は私が抑えています。駆動力も封印、あなたの元に執務官が向かっています!忘れられし世界アルハザードなど、存在するかどうかあいまいな伝説です!」
「違うわ……!アルハザードは次元の狭間にある!時間と空間が砕かれたとき、滑落するそこには、道が必ずある!」
「随分と部の悪い賭けだわ……あなたはいったい何をするつもりなの?失った時間、犯した過ちを取り戻すとでも言うの?」
「……そう、私は取り戻す!アリシアと失った過去と全てを!!そんなつもりじゃなかった世界のすべてを……!!」
しかし、突如プレシアの付近で爆発が起こった。
「!?」
プレシアが振り向くと、そこにはアーマーで身を包み、ライドアーマーへ乗り込んだワイリーの姿が見えた。
「プレシアぁ……!よくもわしの計画をぉ!?」
「ワイリー……!?」
「許さん!キサマも、管理局共も、ハンター共も!こうなったらジュエルシードを奪い、その力で全異世界を支配してやるぅ!!」
ライドアーマーで彼女へ突進してくるが、プレシアは結界で動きを止めるも、
「無駄だ!このライドアーマーは貴様ら魔導士の力を吸収できる!!」
「!?」
結界を破り、ライドアーマーの巨大な手がプレシアを鷲掴んだ。
「死ねぇ!魔女プレシア・テスタロッサ!!」
「この老いぼれがぁ……!」
すると、ワイリーの駆るライドアーマーへZXバスターが貫通し、ライドアーマーは破壊され、ワイリーも吹き飛ばされてしまった。
「なにっ……!?」
ワイリーから逃れたプレシアはタケルの方へ視線を向ける。そんな彼女にタケルは叫んだ。
「世界は、いつだって過ちや悲しいことが起こる事ばかりかもしれない!でも、僕だって、他の人たちだって皆悲しい思い抱えているんだ!きっと、辛かったのは自分だけじゃない!!今の運命を受け入れて未来へ歩み続けるか、それとも過去にすがりついたまま、未来から、この世界から目をそらすかはその人の自由だ!けど……だけど!自分の悲しみで周りのみんなを不幸にする権利は、あなたにも、他の皆にもない!!」
「……!?」
すると、プレシアの前にフェイトとアルフが舞い降りて来た。
「母さん……」
「何しに来たの?消えなさい……もうあなたに用は無いわ?」
「……あなたに言いたい事があってきました」
そして、フェイトは話を続ける。
「私は、私は……アリシア・テスタロッサではありません。あなたが作ったただの人形なのかもしれません、でも私フェイト・テスタロッサはあなたに生み出されて、あなたに育ててもらった娘です。
「だから……?今更あなたを娘に思えって言うの?」
そう笑いながらプレシアが言うが、
「あなたが、それを望むなら」
「……?」
だが一瞬、プレシアの嘲笑は止まった。
「あなたがそれを望んでくれるなら、私はどんなことからもあなたを守りたい……あなたが受け入れてくれるのなら、あなたは私の母さんだから……!」
そしてフェイトはプレシアへ手を差し伸べた。しかし、
「くだらないわ……!」
「!?」
しかし、プレシアは最後までフェイトを認めず、杖を地に付きだしてジュエルシードを起動させた。時の庭園はそれに耐え切れず、崩壊を始める。
「さぁ、行きましょう?アリシア、二人で失われた楽園アルハザードへ……」
プレシアはアリシアの試験管にすがりより、そして時空間へと落ちて行った……
「母さん……!」
最後まで自分を拒んだ母の最期を目にフェイトは涙して叫ぶのだった。

アースラへ帰還後、僕ら出撃した全員は無事に帰ってくることが出来た。けど、一番怪我をしたのは僕だったらしい。傷だらけのアーマーを目になのはが泣きながら僕へと駈け寄って来たのだ。
「タケル君!大丈夫!?酷い怪我……」
「だ、大丈夫だよ……その、僕はちゃんと生きているから」
「良かった……本当に……」
なのはは僕を見て泣きだし、すぐさま僕へと抱きついてきた。僕は顔を真っ赤にしてどうしたらいいか焦るが、とりあえず、胸に飛び込んできた彼女の頭をなでることに。
「僕もよかったよ。なのはが無事で……」
そして僕もなのはの無事を見て微笑んだ。するとなのはは顔を真っ赤にして下を向きながら何かを呟く。
「う、うん……」
しかし、僕は無事でもゼロが……彼はフェイトを守るために最後の最後まで彼女を守るために死んでしまった。それだけは心残りだが……
「随分シケた面してんな……?」
そこには……フェイトに担がれてきたゼロ!?ゼロが、いつもの余裕で僕の前に現れた。
「ぜ、ゼロ!?だって君は……?」
震える指でゼロを指さす。
「考えてもみれば、天照覇へ注ぎ込むエネルギーが足りなかったようだ……運悪く死ねなかったようだな」
そうフッと微笑みながらゼロはフェイトに連れられて部屋へと向かった。僕はホッとしてあの時の涙と怒りは何だったのか?と、もう一度考えさせられた。
「でもいいじゃん、ゼロ君が無事だったんだし」
なのはは結果良ければすべてよし!と言わんばかりの笑みでそう僕に言う。僕もいつもの苦笑いから微笑みに変わって彼女と共にブリッジへと戻った。
その後、ゼロとフェイトはドクター・ワイリーとプレシア・テスタロッサの共犯者という形で本部へ連行され裁きを受けることとなるらしい。本来次元震を引き起して異世界を壊そうとしたのだから実刑判決は数百年という重罪が言い渡される。しかし、二人は主犯格に進んで協力していたわけではなく、ただ何も知らされず命令によって行動していたため罪は重くならないだろう。さらに言えば、二人は終盤よりハンターと管理局に協力したことから、重罪は逃れるのかもしれないのだ。
「本当に大丈夫なの?」
僕は不安な顔でクロノを見た。
「大丈夫だよ?僕が何としても二人に重罪を与えないよう上層部と話をしてくる。彼らが居なかったらこの事件は解決できなかったのかもしれないんだ。それに何も知らされず母親のために一生懸命だった子と、その子を必死で守るために主を裏切って命をかけようとしたヒーローに重罪を与えるほど管理局は冷徹じゃないよ?」
「クロノ君、頼むよ……?」
「任せといて?」
僕はゼロ達の罪が消えるようただ祈るだけであった。その御、僕らは食堂にて提督と話していた。話の内容はプレシアが行っていたアルハザードに関してである。
アルハザードはユーノ君の言うに旧暦時代に滅びた全盛期の世界で、そこには生命を蘇生させたり、時間を巻き戻したりする様々な秘術が存在するらしい。
「アルハザード、今は伝説となった幻の異世界。このことを知る人間はごくわずか……その世界へプレシアは行こうとしたのね……」
「しかし、アルハザードは既に滅び去った。彼女はそれを最後まで認めようとはしなかったのだ……」
シグナスがリンディの背後からそう話し、彼女の隣の席へ座った。後から来たクロノはシグナスとリンディを目に何やら嫉妬した顔をしている……
「そのアルハザードは、その世界をそう呼ぶのであり、正式な世界名は定かではないが、一つだけ心当たりがある……」
「司令……?」
シグナスの言葉にリンディが耳を傾けた。シグナスはコーヒーを飲みながら続きを話す。
「かつて、我々の世界では遥か昔に「ネオアルカディア」と呼ばれる理想郷が存在いたしました。しかし、そこは理想郷とは名ばかりの世界。エネルギー燃費の悪いレプリロイド達が次々と処分を受ける悲しい時代だったのです。いずれその世界を支配しようとした恐るべき科学者が現れ、人類の存亡をかけた大規模な戦争が起こった。その争いは紅きロックマンの活躍によって終結され、悪しき科学者は葬られた。ネオアルカディアの時代は滅び去り、こうしてレプリロイドと人間の間に平等を敷くために人間は体の一部を機械に、そしてレプリロイドは人間のように寿命を与えられた……」
「そのような悲しい時代が……それでシグナス司令は、そのネオアルカディアがアルハザードだとお思いなのですか?」
そうリンディが尋ねるが、シグナスは、断言はしなかった。
「断言はできませんが、かつてネオアルカディアには高度なクローン技術が存在しました。人間の蘇生実験も行っていたと聞きます。そして過去に戻れるタイム理論も考案されていたとか……詳しい詳細なデータはレギオンに消去されましたが、我々の時代にも切断や大破した体の一部をクローン治療に寄ってその部位を蘇生させる技術がございます。ある者はネオアルカディアからのロストテクノロジーと言っていますし……」
「しかし、それは滅び去った文明だろ?時空移動では未来と過去にも行ける技術は未だ改名されていない……」
と、クロノ。しかしリンディはそれを否定はしなかった。
「でも、彼女は大魔導士。あれ程命をかけてアルハザードへ行こうとしたのだから、もしかしたら時空を利用した過去と未来への時間転送を可能にしたのかもしれない。そしてアルハザードを……」
リンディの言葉に辺りは静まり返った。
「あ、ごめんね?長話になって、さ…食事を続けてね?」
「そうですね、僕らにとってアースラで最後の食事になりますし……でも、ドクター・ワイリーの企みは何だったんだろう」
ユーノが僕らに尋ねたが、僕は首をかしげる。するとそこへ、
「ワイリーの野望は全世界の支配じゃよ?」
そこにはライト博士が来、タケルの隣へと座った。
「博士?」
タケルの隣でライトは自分とワイリーとの間に出来た過去の出来事を皆に語った。
「……私の同僚、ワイリー・W・アルバートは大学の頃からの付き合いで元は私の友人でもあったのじゃ。私たち二人はそれぞれロボットを生み出す科学者への道を歩むはずだった。彼は人よりも機械を愛し、その思いはいつしか道を踏み外して人間を憎む人格へと豹変し、私と相対する存在となった。私は、ワイリーが考えた時空移動装置の事実を知り、自分が居た世界からワイリーを追いかけ、タケルとなのはが住む鳴海市へとやってきたのだよ……」
「じゃあ、博士は!?」
僕は席から立ち上がった。つまり、博士は僕が居る世界の住人ではなくこの時空間を飛び交いながら僕の住む世界へ舞い降りた。異世界の科学者だというのだ。
「安心をし?ワイリーの野望を阻止された以上、私は鳴海市で永住しようと考えている。これからもタケルと一緒じゃよ?」
それを聞いてタケルはホッと胸をなでおろして席へ戻った。
「しかし、時空艦船に乗船してくれたことを心より感謝いたしますよ?リンディ提督、ドタバタしてあまり艦を見学できなかったですが……」
「また、お時間が取れましたら博士を御誘い致します。その時は是非来てください。私は博士の科学理論に興味がありまして」
すると、ライトは得意げに自分の理論と哲学を熱血に提督と語り合った。それを見て僕らは苦笑いをした。
「でも、なのはと別れるのが寂しいなら素直に言えばいいじゃないクロノ?」
どさくさにまぎれてエイミィがクロノへそう言う。それを聞いてクロノは赤くなって慌てて否定した。
「な、何を……!?」
「なのはちゃん、いつでもアースラへ遊びに行ってもいいからね?」
「こ、こら!アースラは遊び場じゃないんだぞ!?」
「いいじゃない?巡回任務中は暇なんだし」
と、エイミィまで言い出す。
「タケル君とユーノ君も歓迎するね?それとタケル君?」
エイミィは僕へと囁くように言う。
「え、なに……?」
「気を付けた方がいいわよ?クロノ君はなのはちゃんを狙っているんだし?」
「え、えぇ!?」
僕は思わず驚く、もしかしてクロノ君がなのはちゃんのことを……?
「そ、そんなはずないだろ!?」
「あ!クロノが赤くなった。タケル君の恋敵が現れたわね♪」
「ち、違う!大体、僕はタケルを全然ライバルだとは思ってもみないし僕の方が実績は上だから……」
「クロノ君、いや……クロノ?それってどういう意味?」
僕は静かに激怒し、そう彼に問う。彼の方が上ぇ?威張るようで悪いけど、僕はゼロの師匠を倒したんだぞ?魔法なんていうメルヘンな産物を使わずに己の力で勝ったんだぞ?
「そのままの意味だよ!僕は執務官で、君は臨時の雇われハンターじゃないか?」
「臨時!?雇われ!?そのわりには僕は君よりも大活躍したと断言できるけど!?」
「それってどういう意味だよ!」
「だって僕はゼロの師匠のシグマに勝ったんだよ?奴らの手下を無双しただけのクロノ君が僕を雇われだとか臨時だとかいう必要はないんじゃないかな?」
「そんなこと関係ない!僕はちゃんと責務を果たしたんだ!それなのにタケルはゼロのことでプレシア逮捕の任から外れてワイリー逮捕へ変えたくせに!これって命令違反だぞ!?」
「でもイレギュラーを野放したらいけないんじゃないかな!?僕って結構手柄を立てたと思うけどね!」
「そんな手柄なんて、僕は幾つも立てているよ?最強のイレギュラーだか何だか知らないけど、僕の前じゃ話にならないね?」
「じゃあ今度そのイレギュラーを倒した僕と戦ってみる!?」
何時の間にか僕は喧嘩となり、それを見ていたライトが止める。
「これ、止さぬか?タケルや……」
「クロノも落ち着きなさい?大体タケルに失礼でしょ」
しかし、それを止める双方の保護者は何処からか嬉しそうに思えた。久しぶりにクールな息子の珍しい一面を見れたことや、今まで泣き顔すら見れなかった無表情で孤独なタケルの喧嘩する顔。リンディとライトは少しばかり笑みを浮かべていた。

そして、別れの朝。僕達が帰る朝……
「今回は本当にありがとう、感謝するわ?」
「うむ、君たちの活躍には私も感銘を受けた。本当にありがとう!」
と、リンディとシグナス。そしてクロノがなのはへ、
「短い間だったけど協力してくれ本当にありがとう」
クロノはなのはと手を握り、クロノはポッと赤くなる。それを見て僕は嫉妬する目でクロノを睨むと、クロノも僕に気づいて僕らの視線に火花が散った。
「ま、まぁ……タケルにも感謝するよ?最強のイレギュラーとやらを倒してくれて」
「うんいいよ?僕は君でも叶わなかった最強のイレギュラーを倒したんだもの。礼には及ばないよ?」
「何だって……?」
「何を……!?」
再び口弦が始まる、それを見て周囲は呆れてしまった。
「大体なのはと握手する事態、なのはに馴れ馴れしくない!?」
「僕はなのはを評価しているからね?僕となのはだったら君よりかは仲良くなれそうだと思うけど!?」
「なのはは僕のものだ!」
「え……?」
「あ……」
僕は思わずそう言ってしまった……リンディ提督やシグナス司令、そしてエイミィさんたちは僕をニタニタしながら見つめてくる。そしてなのはは顔を真っ赤にして僕を見つめた。
「ち、違うよ!?これは……なのはは僕の……大切な友達って意味で!?」
僕は最後まで言い訳をしながら、アースラの皆と別れを言った。
「じゃあな?ロックマンのヒーロー!」ホーネック
「またお会いしましょう!」バッファリオ
「さらばだ、タケル君」シグナス
「皆元気でね?」リンディ
「まぁ……今度、君と戦ってもいいかな……一様、ありがとう。それと、フェイトとゼロのことは悪いようにはしない。決まったら連絡するよ?」クロノ
「さようなら!皆さん……」
僕はそう叫び、そして気がつけばなのはと博士、ブルースさん。フェレットに戻ったユーノと共に僕らは臨海公園に居た。僕は久しぶりの深呼吸をして、
「さ、皆のところへ帰ろう!」
僕となのは、ユーノは久しぶりの我が家へ戻った。なのはを抱きしめる美由紀姉さん。そしてそれを見守る恭也兄さん。そして僕を抱きしめる桃子母さん、そんな僕の頭をなでてくれる士朗父さん……
そして、戻ってくる僕の日常、今まで通りだけど、いろんなことがあって僕となのはだけは違う日常……
「ただいま、委員長、ゴン太君、キザマロ君……」
学校では真っ先にゴン太君が抱きついてきた……というよりも締めつけて来た……!
「こいつ!心配させやがって?」
「お帰りなさい!タケル君?」
そして委員長は照れくさそうに後ろを向きながらも、
「い、いちようあんたのことだから心配はしていなかったけど……お、お帰り!」
照れながらそう言ってくれる委員長。
「うん、ただいま!」
あの時の戦いの日々が、過ぎ去ってしまえば一瞬のことのように思えた。僕は新しい自分として今までの日常を楽しく暮らし始めたのです。
「本当にお疲れモデルX?」
『ああ、今までこうしてこられたのも皆タケルのおかげだよ?でも、よかったのかい?』
「え、何が?」
モデルXは不安な声でこう言う。
『……モデルZをゼロに帰しちゃって?』
「当たり前じゃないか?だって、モデルXが僕から知らない人にもらわれちゃったら寂しいでしょ?」
『……フフ、そうだね?考えられないほど寂しいよ?僕はタケルが大好きだからずっと君と一緒がいいな?きっと、モデルZもゼロが好きなんだね』
「うん、それに僕は貸してもらうってことで受け取ったんだし……それじゃあお休み?」
どっと疲れが出て僕はそのまま倒れるようにベッドへ寝た。
『ああ、お休み……?』
優しげな声でライブメタルは眠りに就くタケルを見つめていた……
それから数日後、管理局とハンターから連絡が届いた!僕は携帯を片手に歓喜の声を上げた。
「ほ、本当!?」
「ああ、本当だ。ゼロとフェイトの身柄は本局とミッドチルダのイレギュラーハンター駐屯基地に移されることになった。そして事情聴取と裁判がおこなわれる。大丈夫だ。確実に二人は無罪になる。これでも結構上層部に問い合わせたんだからな?」
「本当!ありがとうクロノ!!本当に感謝しているよ?」
「べ、別に……僕は」
照れてしまいクロノは口ごもる。そして、
「だから裁判には時間がかかる。その間に……」
「え、いいの!?」
クロノの知らせを受けて僕は着替えてモデルXを片手に家を飛び出す。すると、なのはも同じように飛び出してきたので二人で共に目的地へ向かった。
『た、タケル!?どうしたんだい……?』
行き成り持ちだされてモデルXが慌てる。
「裁判が始まる間に少しだけ会えるんだよ!ゼロが、僕に会いたいって言ってくれたんだ!」
『そうか、僕も出来ればモデルZと話がしてみたいな……』
僕らは走りだし、そして目的地である橋の上へとたどり着いた。そこには、私服姿のフェイトとゼロが僕たちを待っていた。
「もう一度、お前に会えてよかった……」
「うん!僕もだよ?ゼロ」
「……お前はこんな俺と、どこまでも渡り合って、俺に気づかせてくれた」
戦いながらタケルはゼロに大切なことを教えてくれたようだが、タケルは首をかしげる。
「え、僕が?僕はただゼロと友達になりたいって思っただけだよ?」
「え……?」
ゼロはタケルの無邪気な瞳を見ながら彼は話を続ける。
「だって、ゼロってかっこいいじゃないか?始めてみた時本当に惚れ込んじゃったんだよ?それと同時に、ゼロのように強くなりたいって思ったりもした。それにカッコいいセイバーを掲げてカッコよく戦うし、技だってイカスもん!あんな凄い子と友達になりたいなって思ったんだ……」
「タケル……」
「それに僕君が倒れたとき、僕を「友」って呼んでくれたじゃないか?」
「え……ああ……」
あの時はそう言ったかもしれないというふうに頷くゼロ。しかし、どうしてそう言ったのかは本人の彼にでもわからなかった。ただ、タケルを見て懐かしく思ったとしか言いようがない。
「僕を友達って呼んでくれて本当にうれしかったんだよ?」
「……」
「僕ね?君と同じ境遇っぽいんだ。何処まで同じはか知らないけど……」
「お前が……?」
「僕は……最初は普通の子だった。けど、両親の実験によって僕は特別な力を発揮できる人間へと変わってしまった。知らぬ間に怪力を出し居てしまうことに皆は指さしを僕を化け物って呼び続けた……虐めを酷くなって、僕は心を閉ざしたんだ……」
「何故、そんなお前がロックマンに?」
「うぅん……ヒーローになりたいってことかな?」
「ヒーロー……?」
「うん、僕は現実のヒーローを嫌っていたんだ。大勢の人たちを殺して自分の国では英雄って呼ばれるような人が嫌いだったんだ。だから、僕がロックマンになるなら、誰もが悲しむことも、傷つくこともなく、自分の身を犠牲に皆が幸せになれたらって、僕はロックマンになって自分が思うようなヒーローを目指したんだ」
「そうなのか……」
(前にアイツも同じようなことを言っていたな……?)
ゼロはかつての幼馴染の遺言を思い出した。それをタケルの言うことが重なり、ふと懐かしく思った。
「タケル……?」
「何?ゼロ」
すると、ゼロは真剣なまなざしでタケルを見て、彼にこう尋ねた。
「俺なんかが……俺みたいなやつが、お前のような凄い奴の友になってもいいのか?」
「え?僕が……?全然!僕はゼロ君よりも目立たないよ?」
「だが、お前はシグマ隊長を倒したじゃないか?」
「友達のために、ゼロのためにしたことだよ?」
「……?」
「ゼロだって本当はワイリーの手先のまま生きるのは嫌だった。僕はそう思うよ」
「……」
「ゼロの目は、あの時の僕と同じような悲しい目をしていた、どんなに感情を押さえつけても、目だけは変わらないよね」
「……ありがとう、そしてすまない」
「すまない、は言わないでよ?僕らは友達なんだ!今も、これからも……」
「ああ、そうだな?」
「ゼロ?」
すると、彼の背後からフェイトが声をかけた。フェイトの隣にはなのはが笑みを浮かべて立っている。彼女達も仲良くなれたようだ。そしてお互いのリボンを交換している。
「ああ、今行こう?」
ゼロは僕へ振り向き、握手を求めた。僕は彼の手を強く握り交わし、ゼロに別れを言った。
「さようなら、そしてまた会おう?ゼロ!」
「ああ、今度は負けないぞ?何てたって俺はお前の友でもありライバルとなる者だからな?」
「え、ええ!?ゼロがライバルになったら僕は敵わないよ?」
「ハハハ……冗談だ?では、元気でな」
「うん、また遊ぼう!」
「ああ……!」
ゼロはフェイトと寄り添いながら、魔法陣に乗って共に消えていった。二人は姿が消えるまでずっと手を振り続けていた。
静まり返った橋の上で、なのはが僕へ歩み寄った。
「よかったね?ゼロ君とお友達になれて?」
「うん……!」
でも、僕にゼロ以外にもいろんな友達が出来た。僕は一人じゃない、僕には大切な人達はたくさん居る!
「なのは、行こう!」
僕はなのはの手を引き、駆けだした……

鳴海に来てから、僕は変わった。いろんな出来事があったりくじけそうになったりしたけど、いろんな人たちに支えられて僕はこうして光を手にすることが出来た。
僕はこれからも、ヒーローとして、ロックマンとして皆のために戦っていきたいと思います。
そして誰かが困っていたり、悲しんでいたりしたら迷わず手を差し伸べること。
それは誰もが出来そうで、誰も出来ない。だけど、やろうと思えば誰でも出来ることなんだ。僕はそれを胸に込めて、今日も学校へ向かうのでした……

「こうか……よし、出来たぞ?」
ミッドチルダのとある自宅にて、ゼロがフェイトの髪をツインテールに束ねてやっていた。
「ありがとう!ゼロ」
「うん!よく似合っているよ?フェイト」
「なのはから貰ったプレゼントのようだな?今度会うときまで大事に持っているんだぞ?フェイト……」
「そういえば、ゼロはタケル君から何か交換しなかったの?」
「俺か?俺は……そうだな。でも、アイツから大切なことを教わったから、それだけで十分さ?」
「へぇ?どういうことだい?もしかしてフェイトの口説きかたか?」
そうアルフがからかい、フェイトとゼロは急に赤くなってしまう。
「ち、違う!その……そうだな、そうかもしれない」
「え……!」
フェイトは驚き、ゼロの続きを聞く。
「……タケルから、大切な人のために戦うことを教えられた。そして俺が守るべきその大切な人は……いつでも、俺のそばに居てくれる」
「ゼロ……」
「さて!昼飯にするか、アルフ何が食いたい?」
エプロンを付けてゼロはキッチンへと向かう。
「じゃあステーキ!」
「それは論外だ」
「ケチ……」
「フェイトは?何を食いたい」
「うん……ゼロの作ったホットケーキかな?私も手伝う♪」
「じゃあ、皆で作るか?」
本当の幸せを掴んだゼロとフェイト、いつかそれぞれの友に会えることを祈って。今日も二人はお互いを思いながら生活を続けている……

「ゼロ……」
そして教室の窓からたそがれる僕は、今頃ゼロとフェイトはどうしているのかと思いながら、今日も楽しく暮らしているのでした……






FIN……
 
 

 
後書き
次回予告(仮)

あの戦いから半年後、ふたたび新たな戦いが彼らを待ち受ける。三人目の新たな魔導士、はやてと、彼女と共に戦うはならず者の少年アキトと、ライブメタル・モデルAそしてアキトの仲間レッドアラード達!

二人の新たな魔導士とロックマンも加えて、さらに展開はシリアスへ移行する……

第2期ロックマンX2st闇の書とトランスコード

※つくるかは検討中です……

 
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