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ドリトル先生の来日

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第二幕 日本という国をその七

「それはね」
「ううん、それはちょっと」
「先生と一緒じゃないと」
「寂しいし檻の中に入るなんて」
「絶対に嫌だよ」
「勘弁して欲しいね」
「そうだね、皆そう言うと思ったよ」
 王子も皆がそう思っていると考えていました、それで皆がこう答えたことに納得して頷いてそのうえでまた言うのでした。
「当然だね」
「僕一人だったらどうにかなるよ」
 先生は王子にこのこともお話しました。
「けれど僕は一人じゃないからね」
「家族がいるからね」
「そう、皆がね」
 先生にとって皆はまさに家族です、先生は奥さんも子供もいませんがそれでも家族は一杯いるのです。それで王子にも言うのです。
「だから皆が一緒じゃないと」
「日本にも来られないんだ」
「絶対にね」
「飛行機が無理だとすると」
「イギリスは島国だしね」
「車では無理だからね」
「アフリカに行った時みたいに船で行くことになるね」
 王子は飛行機が駄目ならです、海からになるというのです。
「そうなるね」
「そうだね、船だね」
「それなら動物が普通にいてもいい船もあるし」
 それならというのです。
「それならね」
「うん、そっちも僕が手配しようか」
 王子は先生達にこのことも切り出します。
「船のこともね」
「何か何でもしてくれるね」
「だって先生にはよくしてもらってたからね」
 イギリスにいる頃にです、王子は先生といつも一緒にいてよくしてもらっていました。そのことを恩義に感じているのです。
「だからこれも当然のことだよ」
「そう言ってくれるんだね」
「勿論だよ、先生の為なら僕もね」
 王子もだというのです。
「何でもするよ」
「悪いね、そう言ってもらって」
「いいよいいよ、先生と僕の間じゃない」
 親しいからというのです。
「気にしないでいいよ」
「日本に行くのならだね」
「船でね、皆と一緒にね」
 行けばいいというのです。
「そうすればいいよ」
「船旅に日本までだね」
「それもいいよね」
「船旅って楽しいし」
「それじゃあね」
 動物達もです、その話を聞いてです。
 それぞれ笑顔になってです、こうそれぞれ言うのでした。
「先生と一緒にいられるし」
「僕達はそれでいいよ」
「日本がどんな国か凄く興味が出たし」
「それならね」
 皆日本に行くこともいいと言うのでした、そして。
 先生もです、こう王子に答えます。
「日本語も喋れるし、そこに仕事があるのなら」
「いいんだね」
「イギリスにいても仕事がないからね」
 このことが一番大きな理由でした、先生にしても御飯を食べないといけません。勿論動物達もそのことは同じです。お仕事がないと食べることは出来ないので。
「それじゃあ」
「日本の八条大学医学部教授にね」
「僕が教授っていうのも」
 このこともだと言う先生でした。
「凄いね」
「いや、先生なら教授になれるよ」
 イギリスでは教授はとても尊敬される職業です、だから先生は驚いていますが王子はその先生に笑顔で言います。 
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