聖戦のデルタ
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『第五次世界大戦』の部
レクエムの章
第四話『第五次世界大戦』
前書き
〜あらすじ〜
アライアの住民全員が、強制避難!?
街がパニックに陥る中、泰河と恵奈との再開を果たした小鳥遊。
一体、これからどうなるのか!?
近未来能力ファンタジー第四話。
話し合いが終わり、4人は
アライア環境公園に向かった。
17:00、アライア環境公園。
アライア環境公園では、1人一個アサルトライフルが配布された。
その様子を見た小鳥遊は、
(『自分の身は自分で守れ』か……)
そして市長の話しによると、
これから、女子供は特急列車で榊町まで移動し、男は平野を走って移動するらしい。
そもそも特急列車は市民全員が乗るのを想定していないので、女子供を乗せるだけで精一杯なのだ。
市長の話しが終わった後……
小鳥遊、泰河、恵奈、美弥妃が再び集まった。
皆、しばしの別れである。
「翔馬、泰河。榊町で会おう!」
恵奈が言った。
「心配ねぇよ!」「分かってる!」
最後に4人は腕時計の連絡先を交換した。
「じゃあね……」
美弥妃と恵奈が駅まで歩いていった。
小鳥遊と泰河は、2人が見えなくなるまで手を振っていたが、
2人の姿が見えなくなった瞬間!
小鳥遊達の背後の森で爆音がした!
爆風が小鳥遊達の髪をなびかせる。
「なんだ!?」
小鳥遊が驚いて森の方を振り向く。
ここからだと直接は見えないが、森の奥の方が燃えているのが分かる。
森の近くにいた人々が悲鳴をあげ、逃げ惑う。
「おっと、敵さんが目の前まで来てるみたいだぜ!」
泰河が右拳を左手のひらにうちつける。
「泰河は”コウイウコト”には慣れてるのか?」
「あ〜、まぁちょっとは慣れてる。組織間の抗争とか、あるからな」
「そっか、頼りにしてるぜ”相棒”!」
「おう!」
泰河が言った時、
再び森が爆発した!
小鳥遊と泰河がアサルトライフルを両手に構える!
今度は森が燃えているのが見える。
…と、燃えた木々がメキメキと踏み倒された。
火の中から、装甲戦車が姿を現した。
ガラガラと音を立てて装甲戦車が進んでくる。
小鳥遊が引き金を引いた!
乾いた音が連続する。
だが装甲戦車の装甲は硬く、銃弾は弾かれた!
(スゲェ…………!マジで銃弾が飛び出た!)
小鳥遊はFPSゲームを嗜んでいたため、銃器の扱いを少し知っている。
だがゲーム内で発砲するのと、実際に発砲するのではわけが違う。
「翔馬!こいつは俺達の敵う相手じゃない!退こう!」
泰河は手馴れた手付きで銃弾を放つ。
だが、装甲戦車には効いていない!
「翔馬!装甲戦車には、ロケット弾とかの重火器じゃねぇと駄目だ!」
泰河が言った直後、装甲戦車の後ろから武装した兵士が現れた!
それも8人。
「翔馬!殺るなら兵士だ!」
泰河はそういいつつ、絶妙な狙いで兵士の弱点に銃弾を送る!
泰河の銃弾が兵士の2人を倒した!
小鳥遊と泰河以外にも20人程、アサルトライフルで応戦している市民がいた。
だが圧倒的な速さで市民が倒れていく。
まだ小鳥遊と泰河は生き残っているが、公園にある遮蔽物を利用して戦うのが精一杯だ。それに、アサルトライフルを使っても装甲戦車は倒せない。
兵士達の数は増えていく一方だ。
(くそぅ!これじゃ埒が明かねェ!)
小鳥遊が舌打ちした。
泰河と小鳥遊はお互い、4、5m離れた位置で戦闘していたが、隙を見つけて泰河が小鳥遊の所に駆け込んできた。
「翔馬!俺達じゃ装甲戦車には勝てない!一旦退こう!」
泰河が小鳥遊の腕を掴む。
「俺達がここで踏ん張らねぇと、美弥妃や恵奈がやられちまうだろ!少しでも時間を稼がねぇと!」
「…………」
泰河は少し考えてから、
「でもお前が死んだら意味ねぇだろ?」
泰河は真面目な顔で言った。
小鳥遊は泰河の目を見て、何も言えなかった。
「お前が死んだら、俺と、美弥妃と恵奈はどうするんだよ!!」
「…………ごめん。」
俯き加減にうなだれる小鳥遊。
「翔馬。今俺達がなんの為に戦ってるのか、考えろ……」
泰河はそう言うと、小鳥遊の手首を握って、引きずる形で歩き出した。
どこへ向かっているかというと、
榊町だ。
こんな風に、小鳥遊と泰河、それに恵奈は、互いに叱咤激励し合いながら生きてきた。
真の『友達』であり、『仲間』。男女の隔たりなど、彼等には存在しない。
***
アライア発榊町行特急列車は、草原を全速力で走行していた。
「翔馬君達、大丈夫でしょうか?」
「翔馬はねー、強い子だから大丈夫ー。泰河君はしっかりしてそーだよねー」
恵奈は美弥妃に対して敬語を使う。美弥妃が翔馬の姉であるからにして。
一体、2人はどこにいるかというと、特急列車の第五車両内にいる。
当然ながら、車内には女子供しか乗っていない。
特急列車に乗ってからというもの、2人は翔馬の事ばかり話している。
そして美弥妃が唐突にきりだした。
「恵奈ちゃんは、翔馬のこと好きー?」
「な、何ですか!?急に!」
いきならの質問に、慌てふためく恵奈。
だが美弥妃は続ける。
「翔馬の将来のお嫁さんは、恵奈ちゃんかなーって思ったのー」
「お嫁さん……そんな……」
恵奈は顔を真っ赤に染めて、頬に手を当てる。
恵奈がうーんと唸っている時、
列車が大きく揺れた。
人々がざわつく。
切り替えの早い恵奈は
「今のはなんでしょう?」
と言って、ふと列車の窓の外を見やる。
数秒後、緑の草原に黒い鉄の塊が現れた。”それ”はアライア方面から走って来た。
戦車だ。車体に馬鹿でかい砲身がついている。
「戦車だ!」
列車に乗っている1人の男の子が戦車を指差して言った。
周囲の人々の視線が窓の外に注がれる。
戦車が砲口をこちらに向けた。
真っ黒なボディが黒光りする。
(マズイッ!)
恵奈は美弥妃に右手を差しながら言った。
「美弥妃さん!私の手を握ってください!
「うん……」
美弥妃は言われるがままに恵奈の手を取る。
…………と、
刹那!
戦車の砲口から砲弾が放たれた!
砲弾は、恵奈と美弥妃が乗っている車両に向かって真っ直ぐ突き進む!
着弾!
爆発音!
車両の壁面が破れ、中の人は血まみれになっている。
……が、恵奈と美弥妃の姿はない。
恵奈が長距離瞬間移動を使って、美弥妃を連れて車両から脱出し、先頭車両の屋根の上に移動していた。
恵奈は座り、美弥妃は伏せている。
(危なかった……能力源が残ってて良かったぁ〜)
ホッと胸を撫で下ろす恵奈。
美弥妃は長距離瞬間移動にはさほど驚いていない。
「ありがとー。恵奈ちゃん、すごいねー」
恵奈はそんな事ありません、と笑顔で首を振りつつ
(美弥妃さんには緊張感というものがないのかな……おっとりしてるというか、なんというか……)
恵奈は草原の暖かい風を頬に感じながら、後方の戦車を見る。
そこで恵奈は、敵勢力が戦車一台ではない事を知る。
空には、3機の軍用ヘリ。
草原を走る、計4機の戦車。
恵奈には、あの全部の機械兵器をスクラップに変える自信があった。
「美弥妃さん、屋根にしっかりつかまっていて下さいね。私は、あのガラクタ共を片付けてくるので、」
笑顔で言う恵奈。
すると恵奈が一瞬で消えた。
長距離瞬間移動だ。
恵奈一機のヘリにテレポートした。
ヘリの中には武装した兵士が3人程乗っていたが、恵奈はお構いなしだ。
兵士達が驚く間も無く、恵奈はヘリをテレポートさせた!
テレポートした先は、草原の地面。
ヘリの半分程が、地面に不自然に埋まった。中にいた人々も全員だ。
恵奈は地面に埋まったヘリの上に立っている。
だが、そんな恵奈をみすみす見逃すような敵はいない。残り2機のヘリが恵奈に近づく。
ヘリのボディには機関銃が装備されている。
恵奈が微笑むと、ヘリの機関銃が火を噴いた!
だが恵奈は、銃弾が到達する前にテレポートした。
飛行中のヘリの真下。恵奈は装備された機関銃にぶら下がる形で掴まっていた。恵奈はテレポートを使い、自分の触れていたヘリを、飛行中のもう一機のヘリの真上に出現させた!
テレポートによって出現したヘリは重力に従って真下のヘリに衝突し、2機のヘリはもつれ合いながら墜落していった。
「次!!」
恵奈はそう言うと、列車と並走する一台の戦車にテレポートした。
砲身にまたがると、右手で戦車のボディに触れ、戦車をテレポートさせた。
テレポート先はもう一台の戦車の目の前!
進行方向に突如現れた戦車と、走行していた戦車が接触し、大爆発を起こした。
「ラスト!!」
恵奈は瞬間的に、だが順番に2台の戦車に触れ、
2台を空高くにテレポートさせた!
地上から150mの高さだ。
元々、戦車は高所からの落下を想定した構造はしていない。
つまり、高所からの落下には弱い。
空高くに現れた戦車は、そのまま草原に落下し、大爆発により、果てた。
恵奈はその様子を見届けると、列車の先頭車両にテレポートした。
後書き
僕は今まで前書きやら後書きやらをてきとーに書いていましたが、
これからは、
前書きは前回までのあらすじを。
後書きはキャラクター紹介や難しい語句の紹介等をしていきます!
次回からもよろしくお願いします!
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