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転生者が歩む新たな人生

作者:冬夏春秋
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第47話 修学旅行が終わって

 
前書き
なんとか予定通り書き上がりました。
ふと時計を見たら23時をすぎててあせりました。 

 
 さて、なんだかんだネギに煩わされた修学旅行も終わりだ。

 エヴァはナギ・スプリングフィールドが借りて住んでいた別荘を見て回っていたが、オレは興味がなかったので、木乃香共々本山で今後の打ち合わせという書類書きの仕事だ。
 オレも木乃香も麻帆良での生活が終わるので、色々書類がある。そりゃぁもうたくさん。木乃香は養子縁組や関西呪術協会の重鎮としての近衛家に関しての書類もあったしな。オレ達はほとんど署名するだけだったけど、書類を準備してくれた人は大変だっただろう。文部科学省から戸籍関係、日本異能協会、関東魔法協会と書類は多岐にわたったのだから。

 それでも何とか夕方には終わらせて本山を辞去し、適当にお土産を買ったりして旅館に戻る。

 最後の一泊も終え、新幹線で一路麻帆良へと。

 ちなみに木乃香は見送りに来たという設定の鶴子さまと一緒に一旦青山宗家へと向かった。クラスには分身符わけみのふで作った分身体を残して。

 なので、一緒に帰らないのは石化して別便で関東魔法協会の本部に送られる、ネギ(肩にカモ)と宮崎、朝倉、早乙女の4人である。
 綾瀬と桜咲は今回お咎め無しで解放されている。
 綾瀬と神楽坂、長瀬、古クーは石化した4人についてうるさかったが、そもそもオレに何の権限もあるわけでなし、綾瀬と早乙女は知らなかったとは言え、言っちゃ悪いがこちらの忠告も聞かず、修学旅行中だったというのにあの状況下で本山で過ごしたんだ、自業自得だと言いたい。なおかつネギ主導で関西呪術協会と関東魔法協会の庇護下に入っていたのだ、オレごときの地位ではどうすることもできん。する気もないが。

 おおかた関東魔法協会理事会の近衛門派と反近衛門派の権力争いに使われるんだろう。主に近衛門への攻撃手段として。

 一応周りに対しては「近衛の実家で泊まって怪我をして病院に行っている。皆に直ぐに話さなかったのは病院にいる4人が気にせず修学旅行を楽しんで欲しい」と言ったからだ伝えて、納得させた。

 ついでに木乃香の父親の体調が悪い関係で修学旅行から帰ったら直ぐ京都へ木乃香が戻ることも伝えた。
 一旦麻帆良に行くのは転校と退寮の手続きをするためだからと。
 転校に対する送別会なんかの話しもあったが、時間が無いのと「麻帆良祭」に必ず来るからと言うことで無しになった。
 木乃香としても記憶は後に共有できても分身体で送別会をするのは微妙だろう。

 このことで桜咲と神楽坂がまた色々言ってきたが、もう決まったことなので相手にしなかった。

 ただ一つ桜咲の暴走だけが恐かったので、桜咲がバカな行動を取れば詠春さんと木乃香に迷惑がかかると釘は刺しておいた。どれだけ意味があるのかは不明だが。

 木乃香はその2人に捕まってずっと話していたようだが、途中他のクラスメイトが話しに入って来たりしていたので、納得したのかどうか。

 とにかく魔法使いの従者にさせられたりしたら終わりなんで、今のままよりはよっぽど良いと思う。

 新田先生をはじめ先生方にも教師を辞めて実家に帰ることは話した。
 かなり無責任な話しだが、修学旅行後に潜入捜査が終了なのは規定事項だったらしく、既に埼玉県の教育委員会を通して代わりの教師---まともな一般人の数学教師---は準備されており、それらに関する書類も本山で預かっている。

 引き継ぎもせずかなり不義理に去るわけだが、麻帆良学園がまともな教育機関ではないとして憂慮されているため、かなりベテランの教師が派遣されることになっており、オレなんかのなんちゃって先生よりも生徒達をよく指導してくれるだろう。

 新田先生や瀬流彦先生、模蕪先生ら先生方はかなり惜しんでくれた。

 考えてみれば学園長に近い一部の魔法先生以外はしっかりとした先生ばかりだった。そのせいで破綻せずに今まで経営できていたんだろうが。

 何にせよ、生徒やまともな先生方に迷惑がかからなければ良いことを願おう。





  ☆  ★  ☆  





 土曜日に麻帆良に帰ったが、学園長はネギら石化組やら、関西呪術協会への密使の件で、関東魔法協会理事会へ言い訳するので大わらわだった。

 電話での見苦しい? 聞き苦しい? 言い訳を聞いてる感じ、ネギの密使の件は学園長の独断だったようだ。

 まぁ、少しでも日本の裏組織の事情を考えたら言語道断だからなぁ。

 ホウ・レン・ソウは大事です。

 おかげでネギの犯したポカはすべて学園長の責任となるので、今回の件は学園長にとって最悪だろう。

 たった1人、(自分に)良かれと思った出した密使が、万事こちらの言うことを聞いて思い通りになる敵対組織の長の失脚となり、挙げ句の果てに次の新たな敵対組織は関東魔法協会を支配下に置く大義名分を得たのだから。

 忙しそうだったがあやふやにされても困るので、次の日曜日の午後3時から時間をとってもらい、そのまま帰った。

 木乃香はともかくオレの方は1年未満の仮住まいで、麻帆良での活動拠点としても残しておく必要があるので、そんなに荷物はない。
 精々オレがいないときに家捜しされて困る物だけ持って帰れば良いんだが、その辺は元々ダイオラマ魔法球に入ってるので、ダイオラマ魔法球だけデバイスにでも入れて確実に持って帰れば良いと言うことだ。

 リニスの私物もあったが大事な物は魔法球の中だろうし、その辺はスルーして置いて行く。戻れないワケでもないし、海鳴に戻ってなんか言われたらその時考えよう。

 元々四泊五日の修学旅行ということもあって生鮮食品も使い切ってあって冷蔵庫内は空だし。考えてみればそうすることもない。修学旅行の荷物も開けずに持って帰れば良いんだし。

 電気・水道・ガス等ライフライン関係はとりあえず止めないので、固定費は出ていくがセーフティハウスの一つとして考えれば必要経費だろう、多分。





  ☆  ★  ☆  





 明けて日曜日。

 木乃香---分身体だが---は自分の私物をまとめ引っ越し便で午前中の間に送ったらしい。神楽坂が使える物や寮生で活用できる物は置いてったようだが。
 まぁ、基本的な物以外の料理道具を置かれていっても神楽坂も困るだろうが、那波らなら使えるだろうし。



 学園長室に木乃香と2人で入る。

 高畑さんは相も変わらず出張で不在だ。

 2人でソファーに座り、学園長と話す。

「やってくれたのう」

 そうやって話してくるのは昨日からの愚痴。

 散々な目にあっているらしい。
 どうでもいいが。

 適当に聞いて、さっさと本題に入り、書類を渡す。

「これは………」

 修学旅行での話しからと思っていたのか、大量の書類を渡され目を白黒させている。

「しかし、先生を辞めると言っても、魔法使いへの道はあきらめるのかのぅ?」

 ? オレが魔法使いになりたいとでも本気で思っていたのか?

「いや、別になりたいと思ったこともないですし。生徒達への影響が心配でしたが、オレより余程良い先生を手配されてるようですし」

「なんじゃと? うむ、これか。新しい教員が手配済みじゃと? しかも辞める方には関東魔法協会の理事長のサインが。教員の方には教育委員会の認可が降りておるのか。やってくれたのう」

「まぁ、オレがやったワケじゃないですが、一応忠告しときますが、学園自体監査対象に入ってるようなんでもっと自重した方が良いですよ」

 どこからとかは言わないし、どうせ聞きはしないだろうけどな。

「まぁ、良い。はぁ? なんじゃの、これは。近衛家が取りつぶしで、新たな組織の起ち上げ? 木乃香が京都に帰るじゃと。しかも養子縁組? そんなの許すわけがないじゃろうが」

 うん? 次は木乃香のことか。

「一応説明させていただく許していただく必要はないんですよ」

「なんじゃと! ワシは木乃香の祖父じゃぞ!!」

「それが何か?」

「なっ、な」

「一つ一つ話すなら、近衛家の取りつぶしは日本異能協会に移る前の関西呪術協会としての判断で、理由は詠春さんの長としての力量不足と公私混同の権力使用と言ったところですか。でまぁ色々あって新組織の設立と。ちなみに色々というのは既に関東魔法協会の理事会に報告されているので悪しからず。昨日の時点で知らされていないなら、そういう判断をされたということでしょうねぇ。木乃香の件は近衛家が取りつぶされた時点で叔母である青山鶴子さまに引き取られることになったので、京都に帰るのは当たり前でしょう。本来麻帆良にいるのがおかしいんですから」

「じゃ、じゃがワシは木乃香の祖父じゃぞ!」

「だからなんです? なんか考え違いをずっとしていたようですが、祖父と孫という関係なら何をしてもいいわけじゃありませんよ? それに木乃香が近衛の人間じゃなくなった時点で貴方とは無関係でしょう、元々血が繋がっていたワケじゃないんだし」

「そ、それは………」

 婚約の件とかネギと一緒に住まわせていた件とか色々思い当たるんだろう、少し勢いが無くなったな。

「なので、養子の件も木乃香と鶴子さまが認めれば通る話しなんですよ。鶴子さまはこのまま麻帆良に木乃香を置いておくのは大反対ですし」

「じゃがしかし………」

「しかしもかかしもないです。そもそも勘違いしているようですが、これらの書類は貴方に許可をもらおうという書類じゃなくて、通知書・報告書の類です。今更何を言おうが関係ありません。」

「なっ」

 絶句してるなぁ。今まで全部思い通りにしてきたんだろうがそうはいかない。

「まぁ、あとはネギらの扱いの件ですか。ネギについてはオレの知る限り(前から)報告してありますし、今回の京都の件でダメ押しした感じですね。なんです? 関西呪術協会のお膝元で仮契約パクティオー騒ぎって。アーティファクトを持てる魔法使いの従者(ミニステル・マギ)を無断で複数契約とか、喧嘩売ってますよね。しかも理事会承認無しの関東魔法協会の親書とか。知ってます? ネギって親書の送り主を「東の長 麻帆良学園学園長 近衛近衛門」ってはっきり言ってますよ。しかも親書の内容があぁだし。まぁぜんぶ関東魔法協会へ報告されてますので、精々がんばってくださいな」

「なっ………。ワ、ワシは良かれと思って………」

「何に対して良かれと思ったのか知りたいとも思いませんが、残念でしたね、と言っておきましょう」

 ホントはザマァ見ろ、って付け足したいけどね。

「ネ、ネギ君は兄弟じゃろう」

「血筋上はそうですね。ただあんな常識知らずが兄弟とは思いたくもありませんが。なんにしろ、ネギをそもそも卒業させたのが間違いでしたね。少なくとも一般常識と魔力の制御は覚えてから卒業させるべきだった。そういうことでしょ」

「それじゃぁ、間に合わんのじゃ」

「ふーん。何にですか? MMの干渉ですか? 木乃香や神楽坂と関わりですか? それとも魔法世界のことですか?」

「き、君は何を知っているんじゃ………」

 実際、魔法世界の件を考えれば今がギリギリだったんだろう。そもそもだからといって9歳のガキにどうこうさせようと考える時点がずれているんだが。
 神楽坂はともかく木乃香の方は中等部卒業と共に京都に戻ってもおかしくないんだし。そうなると木乃香とネギが関わることがなくなるし。
 ネギの知識量から言っても高等部の教師は無理だろう。その辺はごり押しするか。

 なんにしろ、こちらが知っていることを馬鹿正直に伝える必要もない。

「さあ、どうなんでしょうね。少なくともネギが知ろうともしないことは知っていますが」

 さて、これ以上話しても意味もない。そろそろ帰らしてもらうか。

「では、話しも終わったので帰らせてもらいますかね」

「待ちなさい。まだ話しは終わっておらんぞ」

「ええ? もう話すこともないんですが。それとも力ずくで聞きます?」

「それでもワシはかまわんぞい」

「いや、止めた方が良いですよ」

「む」

「だってこの話し合いはリアルタイムで日本異能協会と関東魔法協会理事長に流してますんで」

「なんじゃと」

 そう告げると同時に学園長の机の電話が鳴り出す。

 スサノオを経由して、親書の話し合いと同様に映像を流していたので、恐らく不穏な動きをした学園長を止めるための関東魔法協会理事長からの電話だろう。映像が流されてる状態でオレを攻撃して怪我でもさせたら、京都の一件同様、関東魔法協会を責める弱みになるからな。理事長さんも必死だろう。

 元々は書類を渡した渡してないと水掛け論になるのを防止するためだったんだが、保険が生きたと言ったところか。

「どうぞ、電話を受けて下さい」

 ナンバーディスプレイでかけてきた相手がわかっているんだろう、渋々電話を取る学園長。

「それではごきげんよう」

「じゃぁ、サヨナラおじいちゃん、じゃなくて学園長」

 そう言って木乃香と2人、電話相手---予想通り関東魔法協会理事長らしい---と喧々囂々話し合っている学園長を横目に学園長室を出る。





  ☆  ★  ☆  





 翌月曜日、学園長室で仏頂面の学園長にお別れの挨拶をし、職員室で先生方に、担当していたクラスの朝のホームルームで生徒達にお別れの挨拶をし、さっさと学園を出る。

 木乃香の方も修学旅行の最後で話したこともあって、朝のホームルームで挨拶をして結局授業に出ずに去ることにする。一応理由的にも早く京都に帰る必要があるしね。

 3-Aの生徒が麻帆良駅までついてきたのは驚いたがそれもらしいな、と思い麻帆良祭でまた会おうと声をかけて学園都市を出る。

 一応警戒していたが魔法使いの襲撃はなかった。





 こうして、オレの麻帆良教員生活は終わった。 
 

 
後書き
学園長室に木乃香を連れて行ったのに一言も話せなかった。
なんか思いついたら加えるかもデス。  
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