ヘタリア大帝国
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TURN108 トライアスロンその六
「凄いですね、先頭集団は」
「そうだな」
柴神も唸る様にして応える。
「あの四人はな」
「ランス様のことは知っていました」
伊達に元の世界でも奴隷として常に傍にいる訳ではない。
「ですがそれでも」
「東郷達か」
「はい、もう泳ぎ終わりました」
水泳を終わって次はだった。
マラソンだ、それを行う彼等を見て言うのだ。
「それからすぐにマラソンですから」
「言うまでもなくトライアスロンは過酷な競技だ」
このマラソンだけでもかなりのものだがそれだけではないからだ。
「完走するだけでも容易ではない」
「しかもあの速さでとなりますと」
「並の者なら倒れる」
柴神は言い切った。
「まずな」
「ですがあの方々は」
「彼等にしてもその力を極限まで出している」
「そうしてですか」
「そうだ、走っている」
そして競い合っているというのだ。
「あの様にな」
「そうですか」
「誰が勝ってもおかしくはない」
四人のうちの誰でもだというのだ。
「この競技は素晴らしいものになっている」
「そうですね、白熱しています」
帝もここでこう言う。
「果たしてどうなるのか目が離せません」
「そうですね。では」
「うむ」
「それではですね」
「引き続き競技を見ていきましょう」
シィルも競技を見ていた、そしてだった。
競技は進んでいく、東郷達はマラソンも凄まじい速さで進んでいた。
ランスは走りながらこんなことを呟いた。
「ここまで力を使うとな」
「どうだというのだ?」
その彼に競い合っている者の一人山下が問うた。
「一体」
「三日は遊べなくなるな」
「三日か」
「ああ、三日はな」
力を使い果たしてだというのだ。
「そうなっちまうな」
「たまにはそれもいいだろう」
「俺に遊ぶなっていうのかよ」
「どうせ行くのはメイド喫茶だな」
「ああ、そうだよ」
山下にも悪びれずに返す、こうしたところは実にランスらしかった。
「優勝したら借り切って祖国さんと一緒にな」
「モンゴル殿とか」
「オルドっていくつもりだよ」
「本当に貴殿は好きだな、しかしだ」
「優勝はっていうんだな」
「優勝は私が貰う」
駆け前を向きながら毅然としてランスに答える。
「必ずな」
「言ってくれるな、それならな」
「勝負だな」
「優勝は俺だよ」
ランスも前を向きながら山下に返す。
「例え何があってもな」
「そして遊ぶというのだな」
「人間ってのは遊ぶ為に生きてるんだよ」
実にランスらしい言葉である、何しろ冒険が終わると次の冒険までは極めて自堕落に生きるのが常の男である。
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