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聖戦のデルタ

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『第五次世界大戦』の部
レクエムの章
  第二話『強制避難』

 
前書き
第二話です!

何かもうグダグダで、すいません。
じゃ、始まります! 

 

[4月4日 軍事都市アライア]
大国【レクエム】の東端に位置する。
軍事都市とは言っても、何も軍事開発しか行わない訳ではない。少し、防衛施設や軍事関係者が多いだけである。
小鳥遊は、軍事都市アライアに住んでいた。
小鳥遊は一般家庭に産まれ、育った。普通の一般人である。
だが、彼は身体能力が非常に高い。そして本人は自覚していない様だが、”聴覚が非常に敏感である”。


その日、小鳥遊は超高層ビルやデパートが立ち並ぶ街中を歩いていた。
今は15:00だから、学校からの帰り道である。

だが小鳥遊は、人混みの中から、ある物を見た。建物の壁面の巨大モニターだ。画面には何やらニュース番組が映っており、女性ニュースキャスターが数人のゲストと談義していた。

だが、そこではない。小鳥遊はそこを見ていたのではない。
画面のテロップを見ていた。
画面上部に、『緊急速報』とあった。

気が付けば、スクランブル交差点を忙しく歩き回っていた人々も、画面のテロップを見て、動きを止めていた。
人々が画面を食い入るように見つめる中、画面のテロップが切り替わる。

『隣国ディヌアとの戦争が激化』

小鳥遊はテロップを見て思った。
(時事に疎い俺でも分かる。今、我が国レクエムは隣の大国ディヌアと戦争をしている。俺の予想だと、レクエムは敗ける)
まるで、アライアの時が止まったかのようだった。
ただ静かに、ニュースが流れていた。
テロップが次々に切り替わる。

『政府は、軍事都市アライアが 激戦区になると予想』

『アライアの住民の強制避難(スクラップ)を決定』

強制避難(スクラップ)は、今日中にも行われる模様……』

感情のない冷たいテロップが消滅し
た。
画面を見ていた人々は、衝撃を受け、凍りついたように動かない。
小鳥遊も驚いて、口をポカンと開けている。
(マジかよ……)

だが、無慈悲に悲報は続く。

今の今まで、ニュース番組が放送されていたが、突如画面が切り替わった。

画面に映し出されたのは、
無機質な白い部屋。
その部屋に、1人の男が立っていた。
端正な顔立ちの若い男が、純白の正装に身を包んでいる。
(アライアの市長は、確か……)

『私はアライア市長、宣居(のりい) 本長(もとなが)です。アライアの住民のみなさん!今、この街は戦争の危機に直面しています』

最早、演説にちかい。

『みなさん!この街は軍事都市です!街を自衛する事は出来ます!ですが、住民のみなさんの安全が至上です!住民のみなさんは隣町の(サカキ)町に避難して頂きたいのです!』

人々に動揺が広がる。

『みなさんは、今日の17:00にアライア環境公園にお越し下さい!我々は、そこでみなさんを待っています!』

演説が終わると、人々は各々走り出した。だれがどこへ行くかは分からないが、皆、それぞれの思いを抱えて走っている。

ブブブブブブ……!

多機能腕時計が鳴っている。
「おっ………と、」
多機能腕時計は、文字通り多機能で、アラーム、ストップウォッチ、通話、50字程度の簡易メール、インターネット等々、数えればゆうに20はこえる。ほぼ全ての機能は、腕時計と使用者の脳を直接接続することで使用できるようになっている。
いわゆる次世代の腕時計である。
実際に支給されたのは4、5年前だが。

ちなみに今腕時計が鳴ったのは、電話がかけられたからだ。
ちなみに通話時は、腕時計から脳へと電気信号が送られ、脳は電気信号を『音』として受け取るしくみになっている。故、相手の声が周囲に漏れる事は無い。
10代後半の女の声だ。
『翔馬ー?愛しのお姉様よー』
「アネキ!?ニュース見たか?」
『見たわよ。隣町に強制避難でしょー?』
「どうする?」
『とりあえず父さんと母さんに連絡してみるよー』
「なるほど分かった。俺もすぐ帰る」
(とは言っても、家まで30分はかかるんだけどな)
小鳥遊は、早歩き気味に歩き出した。
「俺が帰るまでに連絡しといてくれ」
『お前の姉は了解したー』
「じゃあな」
『気をつけてねー』
ブツッ…………。

通話終了。

(アネキの声には”危機感”が全く無かった……)
小鳥遊は姉がちょっと心配になった。

街は、慌てふためく人々でごった返していた。
小鳥遊は、人混みの中からなんとか抜け出して、裏道に入る。
裏道から家までは、住宅街を通れば行ける。
小学生の頃考え出した、非常事態のための裏道。人が1人、かろうじて通れるくらいの道。塀の上を進み、トタン屋根付きの階段の屋根を登り、隣の家の屋根を登り、また塀の上を進む。

住居侵入罪スレスレの道。

(後少しで空き地にでるかな……)
小鳥遊がそう考えた時には15:15になっていた。
そして、最後にトンネルを抜けると、10平方メートルの空き地に辿り着いた。

周囲に住居が立ち並ぶ中、何故かポッカリと空いた空間。

そしてこの空間は小鳥遊が見つけ出し、命名した。

〔秘密基地〕

これまた小学生の頃、小鳥遊が2人の友達と作った。
秘密基地からはどの住居の窓も見えない。
逆に言えば、どの住居からも見えない。
完全に『秘密』である。

(いやー懐かしい。小学生の頃は良くここで遊んだっけ)
小鳥遊は、最近全く見ていない親友2人を思い出す……。

……と、突如、小鳥遊の後頭部に重い、けれどちょっぴり柔らかい衝撃がはしった。
「ふごぉッ!」
小鳥遊は、衝撃と重さに負けてそのまま前方に倒れた。
過激に地面とキスという比喩が良く似合う。

小鳥遊は、痛いはモチロンだが、自分の上に誰か乗っていることに気付いた。
肩甲骨あたりに柔らかく、重い物が乗っている。そして布切れが自分の頭に覆いかぶさっている。
(何これ……この重みは、人?)
顔を横に動かすと、白い布が視界の端に移る。


***


(フー……危なかった危なかった)
『あれ、誰これ…』と思った。
私は誰かの上に座っていた。
今、私は屋根から飛び降りて〔秘密基地〕にやって来た。
そして、今、私は、赤と黒のチェック柄のミニスカートを履いていて、股の下に誰かの顔がある気がした。
(顔…………?)

数秒後、自分は顔を真っ赤に染めていただろう。
状況を理解した自分は、思い切り飛び退いて後退りして、住居の壁に寄りかかった。
(男……それも同い年くらいの……)


***


(おっ……)
視界が明るくなった。
身体の上に乗っていた物がどいた。
小鳥遊はフラフラと立ち上がる。
「何だよ誰だよ何なんだよ?いきなり重いのが……」
すると、視界に女が目に入った。
その女は、女物のシャツと、赤と黒のチェック柄のミニスカートを履いていた。


容姿端麗。

一言で言えば。

(なんだ、この女!?めっさかわいい……!)


***


気が付くと、私は大声で叫んでいた。
「パ、パ、パンツ見たでしょッ?」
男だった。髪が肩まで伸びていて、制服を着ている。
「は、はぁ?」
男は顔を真っ赤にしていた……。
自分は、それ以上だと思う。
(この男、絶対パンツみた!!
ぜっっっっっっっったぁぁい見た!)
「絶対パンツ見たでしょ!」
「いやだからその、みてねぇって!」


***


「いやだからその、みてねぇって!」
(あれパンツだったのかーァッ!
もっとちゃんと見ておけばよかったーッ!
至極残念)
「そもそも俺はただ秘密基地を通りかかっただけであって、そしたらお前が降ってきただけであって……」
「秘密基地?私もここを秘密基地にしてたけど……」
「俺は、佐原(さはら) 恵奈(えな)って奴と鳥取(とっとり) 泰河(たいが)って奴と一緒にここを作ったんだ!」
「佐原 恵奈……鳥取 泰河……」
女は俯き加減に続ける。声色にさっきまでの勢いはない。
「私は、鳥取 泰河と小鳥遊 翔馬の2人と、秘密基地作った……」
「…………は?」
「だから、私が、佐原、恵奈……」
佐原 恵奈と名乗る女は、ついに黙り込んでしまった。













 
 

 
後書き
遂に、小鳥遊達の『戦争』が始まった!
小鳥遊が、昔の親友に出会いましたね。

次回、親友3人が再開を果たす! 
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