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ヘタリア大帝国

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TURN107 母と娘その一

                  TURN107  母と娘
 東郷はスカーレットの洗脳を解くことにした、だがそれは。
 先程彼女と話をしたレーティアとリディアが東郷に難しい顔で話した。
「駄目だ、どうも洗脳が強過ぎる」
「共有主義に染まり過ぎています」
 二人はその顔で東郷に話す。
「これではだ」
「洗脳を解くことは」
「無理か」
「無理ではないと思う」
 レーティアはこう答えはした。
「しかしだ」
「それでもか」
「かなり難しい」
 不可能ではない、しかし相当困難だというのだ。
「まさかあれだけ強力な洗脳を受けているとはな」
「マンシュタイン元帥の比ではありません」 
 そこまで強い洗脳だというのだ。
「今の時点で洗脳は全く解けていない」
「何か厳しいですね」
「そうか、何度も説得していくしかないか」
 東郷は二人の報告を聞いて難しい顔で述べた。
「そうした状況か」
「平時ならそれでもいいと思うがな」
 ここでだ、レーティアは東郷にこう進言した。
「しかし今はだ」
「ああ、戦時中でしかもな」
「少しでも戦力が欲しいところだ」
 それが枢軸軍の現実だ、一刻の猶予もなくそして戦力が少しでも多く必要な状況なのである。 
 だからだ、レーティアもこう進言したのだ。
「貴殿の細君は間違いなくかなりの人物だ」
「そうだ、あの通りな」
「彼女が加われば戦力的に大きい」
 人材として申し分ないというのだ。
「是非迎え入れたい」
「しかしだ」
「あの状況ではな」
「どうしようもないな」
「あれだけ強固な洗脳は私もはじめて見る」
 東郷もだというのだ。
「取り付く島もなかった」
「本当にどうすればいいのでしょうか」
 リディアは困った顔で述べた。
「あの人については」
「そうだな、しかしだ」
「しかし?」
「しかしとは」
 二人は東郷の言葉に目を向けて問うた。
「何か策があるのか」
「だとしたらそれは何ですか?」
「成功法ではないがな」
 それでもだとだ、東郷はこう前置きしてから話した。
「真希を使うか」
「娘さんにか」
「お母さんに会ってもらうのですね」
「そうするとしよう、スカーレットは娘を溺愛していた」
 言葉は過去形だ、スカーレットはあの事故で一度死んだと思われていたのでここではそうなっているのである。
「会えばな」
「母親にとって娘の存在は大きい」
 ここでレーティアは言った。
「娘にとって母親もな」
「あっ、総統さんは」
「私にも母がいた」 
 レーティアは遠い目でリディアに応えた。
「敗戦と恐慌の中でドン底に落ちていたドクツの貧困の中で死んでしまったがな」
「その時にですか」
「仕事もなく食べるものなく」
 その中でだというのだ。
「私を残して衰弱死氏してしまった」
「当時のドクツではよくあったことですか」
「父も妹もだ」
 つまりレーティアの家族全てがだというのだ。 
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