転生者が歩む新たな人生
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第44話 修学旅行-3日目-その4
前書き
なんだかたくさん感想をいただけたんで、がんばって書いてみました。
さて、冒頭から困った状態の遠坂暁だ。
何を困っているかと言うと目の前でネギ(の石像)が攫われたんだが、ぶっちゃけ助けに行く理由がない。
そもそも運良くフェイトと2対1というカタチで有利に戦闘を進めていたのに、いきなりしゃしゃり出て来て石化して木乃香の隙を作る原因になるとかホント勘弁して欲しいわ。おかげで虎の子の「従者召喚」を使う羽目になったし………。
いつものことだが迷惑をかけられただけだなぁ。
そもそもだ。本来今年の夏休みに関西呪術協会を中心に根回しして、木乃香の中学卒業と同時に関西呪術協会の長就任。傘下組織も含めてその次の長にふさわしい人を探し、なるべく早く禅譲。という流れになるハズだったんだ。そんな目算はすべて狂いました。
で、そんなことを考えながら木乃香の方を見てみると桜咲に何やら追求されてる。曰く「いつから魔法のことを~」「いつ仮契約を~」などなど。
「(勘弁してぇなぁ。暁君たすけてぇな)」
と木乃香から念話が来るが助けに入ると矛先がこちらに向いてうっとうしいので勘弁して欲しい。
まぁ、いつまでも裸だと可哀想なので、ネギを連れ去られて呆然としている神楽坂に服---オレが旅館で着ていた浴衣。小さいが今はこんなものしかない---を渡す。
「ありがと」
浴衣は小さくて着れないが、とりあえず羽織ることにして幾分隠すことができるようになった。
「ねぇ。ネギが攫われちゃった。それに本屋ちゃんも朝倉も長さんも石になっちゃった。ねぇ、暁、どうしよう?」
どうしようと言われてもなぁ。うん? そういや早乙女と綾瀬も一緒にいたハズなんだが大丈夫なのか?
そう神楽坂に聞こうとしたら携帯電話が鳴り始める。
相手は………、千雨だ。
「もしもし」
「おぅ、暁か。今綾瀬から長瀬に連絡があって、本屋と早乙女と朝倉が石になって、綾瀬は本山内を必死に逃げてるらしい。状況がつかめないんで一応長瀬は止めているんだがどうすればいい?」
あー、なるほど。把握把握。
「わかりました。こちらは攫われそうになった木乃香を救出。現在神楽坂と桜咲と合流中。本山内なら関西の人間の桜咲が行くべきだから桜咲に迎えに行かせるわ。長瀬には引き続き旅館の警護を頼んどいて」
「うん、了解。2人は戻ってくるんだな?」
「はい、そうします。一度合流しましょう」
ちょうど良い具合に連絡が来たので、それに乗っかり、とりあえず旅館に戻ろう。
「あー、注目。ここにいても仕方がないので一旦旅館に戻りましょう」
「わかったぇ」
「そんなネギは!」
「と言われてもネギがどこにいるのかわからないし、追いかけるにも神楽坂はそんな格好じゃどこにもいけないだろ?」
「それはそうだけど………。でもネギが!」
「まぁとにかく旅館に戻れば魔法先生もいるし、そこから学園長に連絡取ればどうにかするだろ」
実はほんの少しだけだがここで木乃香か桜咲がネギ救出を言ってくるかなぁ? と思ったけど、さすがに言ってこないか。
「………。わかったわ」
「あ、それと桜咲。綾瀬が総本山で逃げ迷ってるらしいから保護してきてくれ」
「な、なんで私が! 私にはお嬢様の警護が!!」
「いや、この場に関西の人間は君しかいないし。綾瀬は関西の保護下の人間だし。総本山内がわかるのが君しかいないし。それにそもそも木乃香の警護から外れてるし」
「なっ」
「ごめんなぁ、せっちゃん。夕映のこと頼むわぁ」
「わ、わかりました。お嬢様。直ぐに旅館に向かうのでそれまでお嬢様のことを頼みます」
「はいはい。頼まれました」
そう言って神楽坂の方に向かい歩いて行き、同じように向かって来た木乃香と3人併せて旅館へと転移する。
いきなり転移したことに桜咲が驚いたようだが知ったこっちゃない。
☆ ★ ☆
旅館近くに転移すると旅館はかなり強固な結界に覆われている。
驚きつつおっかなびっくり玄関から入ると瀬流彦先生が出迎えてくれた。
事情を聞くとこちらを見張っている関西呪術協会から連絡があり、「今晩協会内のごたごたがあるので巻き込まれたくないなら絶対に旅館から出るな」と言われたらしい。
でまぁ、結界を張った上で、魔法関係者以外すべて魔法で眠らせたらしい。そのうえで長瀬や龍宮、古らにも手伝ってもらって全ての生徒らを自室の布団に入れたんだと。
思い切った手を使ったなぁ、と思ったけど、実際正解だ。麻帆良の生徒は起きていると何をするかわからん。
というわけで、こちらの説明。
ネギが総本山へ密書を届け。
長の反応に不服を持つ者らが関西呪術協会を離脱。
強硬派? が総本山襲撃。
長をはじめ本山の人はみんな石に。
その巻き添えで、「学園長が認め、関西で保護した」朝倉、早乙女、宮崎が石に。
近衛が攫われるが救出。
その際、しゃしゃり出てきたネギが本山襲撃者に向かって行くが返り討ちで石化し、持って行かれた。
以上でした。
………。
瀬流彦先生、そんな落ち込まないで下さいよ。
まだ、学園長に連絡してもらう仕事があるんだから。
で、どうせ呼ばれるだろうからと瀬流彦先生が学園長に連絡する際にエヴァにも同席してもらう。
もちろんエヴァにも全て説明した。
詠春さんが何もできずに石化したのとネギが返り討ちにあって石化したのを聞いて爆笑していた。
まぁ気持ちはわかる。
で、学園長。
「なんじゃと! わかった。直ぐに助けに行ってくれ」
しーん。
「どうしたんじゃ? サギ君いるんじゃろ?」
「いえ、いますが。行く理由がありません」
「む。どういうことじゃね?」
「どうこうもネギが捕まったのは自業自得ですし、近衛を無事に保護した限り、ここで他の生徒共々守らなければ」
「な。それはそうじゃが。ネギ君はお兄さんじゃろ」
「いえ、血は繋がっていますが既に兄ではありませんね。それから二度とサギと呼ばないで下さい。次から返事はしませんので」
「ええぃ。もういいわい。君には頼まん! 瀬流彦君、エヴァを呼んでくれたまえ」
「ここにいるぞ、じじい」
「おぅ。もうおったか。聞いての通りじゃ。ネギ君の救出を依頼したい。報酬は」
「だが断る」
「ナニッ!!」
「『このエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの最も好きな事のひとつは自分で強いと思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ………』クククッ。日本人はこう断るんだろう、じじい」
ここでJOJOですか、エヴァンジェリンさん………。
うわぉ、学園長涙目だな、きっと。
「馬鹿な、わかってないのか遠坂君。ネギ君が捕まっている今、きっと良からぬ事を」
「関係ないですね。良からぬ事というのが術師の法に背くモノならば、ここは京都。関西呪術協会が粛正するでしょう。もっとも? 手に余るようなら中部魔術協会の上から指示が来ますよって、それから対処しますよ。なんならついでにネギも助けましょうか?」
「なっ」
「ククククッ。なるほどなるほど。抜け目がないなぁ、暁。良いだろう、詠春を石化したとかいう魔法使いは相手をしてやろう、貴様には手に余りそうだからな。いいか、これは1個貸しだからな!」
「了解、了解。まさしく手に余るんでエヴァに頼もうと思ってました。よろしくお願いします」
「フフフフッ。よかろう。最強の魔法使いの最高の魔法を見せてやろう。ふはははははははは」
そう言って部屋を出るエヴァンジェリン。きっと出番が来るまで自分の部屋でワインでも飲むんだろう。
とにかくこれでフェイト対策もばっちりだ。
「じゃぁ瀬流彦先生、話しは済んだようなんでボクはこれで」
そう言ってオレも部屋を出る。学園長? 何か叫んでいたけど聞く必要もないよね。
後書き
まぁ、皆さんの読み通りの展開ですね。あえて読みを外すために最初から救出しに行く展開にする必要もないですし。
次回はもちろん上から指令が来ます。
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