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ヘタリア大帝国

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TURN106 ウラル星域会戦その八

「エイリスの植民地の一部みたいなことはな」
「誰もが平等であるべきという主張は正しいですね」
「正しい、しかしだ」
 それでもだとだ、東郷は現実から話した。
「それに必ずしようとして無理強いをするとだ」
「より酷いことになってしまいますね」
「確かにソビエトには階級も貧富の差もない」
 このことは確かだ、カテーリンはこのことを常に厳格極まりなく国家に導入している。
「経済も不足のものがなければ素晴らしい」
「しかしですね」
「社会も経済も生き物だ」
 古典的資産主義の頃から言われている言葉だ、東郷はこのことから言うのだった。
「それを忘れて個人も全て統制するとだ」
「あの様に息苦しい社会になりますね」
「ソビエト軍の将兵も適性から選ばれ訓練されている」
「ソビエト軍は確かに強いですね」
 日本妹も戦ってみてこのことをよくわかっていた、実際に戦うとその相手がよくわかるのだ。
「ですが戦術戦略もオーソドックスで」
「まるで機械と戦っている様だ」
「はい、まさに」
「ソビエト自体もだ、無駄を徹底的に廃し国家自体が一つの巨大な機械となって動いている」
「それはですね」
「相手や周りを観ていない」
 観ているのは自分だけだというのだ。
「勿論予想外の計算には脆い、そうした機械だ」
「それがソビエトですね」
「その通りだ、ソビエトは一方通行の機械だ」
「そうした機械は何時か必ず壊れる」
 レーティアも冷徹に言い切った。
「ファンシズムもそうだがな」
「総統さんには悪いがファンシズムと共有主義は同じだ」
「その通りだ」
「国家の、国民も含めて全てが一人の人間の下に集まり」
 そしてだというのだ。
「その完璧な統制の下に動く」
「そうした意味で同じだな」
「ドクツ第三帝国と人類統合組織ソビエトの政策もな」
「気付いたか、私も実は」
「そっくりだな」
「最初は意図していないが政策を推し進めているうちに気付いた」
 ファンシズムと共有主義の同一性、類似性という言葉を越えたこのことにだというのだ。
「ファンシズムと共有主義は同じだ」
「ソビエトもカテーリン書記長が全てだ」
「あの娘の主張だけだな」
「だからあの娘がいなくなれば終わる」
 それがソビエトだというのだ。
「そうした国だ」
「その通りだな」
「ドクツは総統が倒れて終わってしまった」
 ドイツは腕を組み難しい顔で述べた。
「一時過労で倒れただけでだ」
「あれはな、本当にびっくりしたぜ」
 プロイセンもその時のことを思い出して苦い顔になっている。
「それだけで後は雪崩みたいに崩れたからな」
「それまでドクツは完璧だと思っていました」
 エルミーも沈痛な顔で言う。
「ですがそれはです」
「総統あってのものだった」
「だから総統が倒れられると全部おじゃんになったんだよ」
 ドクツとプロイセンはエルミーのその言葉に応えて再び過去を思い出した。
「全ては一人の下にある」
「そういう国家は脆いよな」
「一人の下に一人があり一人が全てを動かすからだ」
 だからだとだ、また言う東郷だった。 
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