SAOもう一人の聖騎士
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追想~聖剣エクスキャリバー~
前書き
さて、やって来ましたキャリバー編!やっとかよ、と自分でも思っておりますが、どうぞ最後までお付き合い下さい。それでは、どうぞ!
「寒ぃなぁ・・・・・・」
12月下旬。長袖のTシャツを着込み、エプロンを着けた青年がキッチンに立っていた。毎朝、忙しい義母に代わって一家の朝食を作っている。桐ヶ谷蔵人、白の剣士クラディールである。
桐ヶ谷家の朝食は(彼の気分にも依るが)大抵の場合和食である。日本人ならば米と味噌を食べるべきだろう、と言うのはクラディールの談だ。
今日の献立もその例に漏れず和食であった。白出汁と砂糖を少々入れ、卵を手早く混ぜる。この時、ザラメと言う白い塊をしっかりとっておくのがコツだ。油を少なめに敷いたフライパンに流し込み、少しずつ折り畳んで行くと出汁巻き卵の完成だ。
昨日の残りの味噌汁を温めて、その間に人数分の鮭の切り身を焼いておく。そろそろ家族たちが起きて来る頃だ。早く作り上げてしまおう。
「おはよう。良く眠れたか?」
「ああ。・・・・・・今日の献立は?」
一番早く起きてきたのはキリトだった。クラディールの朝は早いが、桐ヶ谷家の人間は皆早起きだ。朝が早く、(なぜか)いつも慌ただしい母の影響だろう。
全員がテーブルに集まった。それぞれが自分の分のご飯をよそい、クラディールの料理を受け取って席に付く。全員が両手を合わせて
「いただきます」
全員もりもりと平らげていく。ちなみに、一番食べているのは義妹である直葉だったりする。
「食べ過ぎだぞ・・・・・・」
「お兄ちゃんそれセクハラ!」
そんな言い合いをしている内に、テーブルの上の料理はどんどんと片付いていくのだった。
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「そう言えばさ」
朝食を食べ終わり、直葉がどこからかタブレット端末を取り出した。GGOの件もあった手前、何かしたか!?と身構えるキリトとクラディールだったが、直葉は二人を吊るし上げようとしているわけではないようだ。
「違う違う。前にトンキーの上で見たエクスキャリバーが発見されたみたいなの」
「へぇ・・・・・・ついになぁ。手に入れたかったなぁ・・・・・・」
<聖剣エクスキャリバー>
火妖精最強の男、ユージーン将軍が操る剣、魔剣グラムを超越する唯一の剣だ。かつてクラディールが使い、後にキリトの手に渡った白銀の剣<英雄剣デュランダル>と対を成す黄金の剣で、かつてクラディール、キリト、リーファ、ユイが目撃してから、ほぼ丸一年、その在処を彼らたちしか知らなかったことになる。
「そうか・・・・・・俺たちみたいにトンキーを助けた奴が現れたか、別の方法を見つけたか・・・・・・」
「そうかぁ・・・・・・俺たち以外にあんなキモい・・・・・・いやさ個性的なのをなぁ・・・・・・」
「キモくないの!かわいいの!」
彼の象クラゲに不遜な物言いをしたキリトに直葉が粛清。容赦ないアイアンクローを決める。剣道で鍛え上げられた握力によって、キリトの頭が容赦なく締め上げられる。クラディールはそれを眺めながら
「とはいえ、ソードスキルだって導入されたとはいえ、ダンジョンの難易度は高いままのはずだ。まだゲットされたわけじゃ無いんだろ?やろうぜ、聖剣入手。報酬もリスクも超一級。アガるシチュエーションじゃねぇか」
確かに、かつて挑戦した際にはものの見事に返り討ちに逢い、攻略出来ないしそもそも見付けられないと高を括っていたが、これだけ大々的に取り上げられたのだ、いつ最強武器を求めるプレイヤーが大挙して乗り込んでもおかしくない。決断は早めにした方が良いだろう。
「トンキーの上限は九人だよな?いやでもシュピーゲルとシノンは自分の竜で来るとして、計十一人か・・・・・・」
「そうか、レコンも呼ぼうぜ、よしよし、上がって来たな!」
と言うわけで、キリト、クラディール率いるALO屈指の豪傑たちによるPTが、ALO最高の剣を手に入れるべく起動した。三人は少しだけ口の端を吊り上げながら、メンバーを集めるメールを打ち始めた。
2025年12月28日日曜日、ALO最大の年末イベントが、幕を開ける。
後書き
さて、始まりました!・・・・・・え?トンキーの上限が違う?まぁ気にしないで下さい・・・・・・
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