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「狂愛」

作者:flom-k
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「明日香」

「あなた、今週末も遅くなるの?」

最近、週末は必ずと言っていいくらい美咲に会いに行ってばかりだ。

妻の明日香との約束で、必ず週に一回は家族でゆっくり食事に行くと決めていた。

それも最近は仕事の接待だなんだと理由をつけて2ヶ月くらい約束を守っていない。

日曜日も疲れているの一点張りで、ろくに家族サービスもしていない。

そんな僕を、明日香はいつも「ありがとうございます」と言い包んでくれるのだ。

思い返せば出会った頃から明日香はそうだった。

僕に何一つ文句を言う事もなく、嫌な顔ひとつせず頷いて優しく微笑んでくれていた。

本当に僕のような男に、なぜこんなに素敵な女性が寄り添っていてくれるのか自分でも不思議なくらいだ。

実は、明日香との出会いは敦の紹介なのだ。

敦は昔から女性からの人気も凄く、明日香も敦に憧れる女性陣の一人だった。

たまたま敦と食事をする際に来たのが明日香だった。

敦を前にして緊張で上手くできない明日香を気にかけていた僕を、いつの間にか好きになっていたらしい。

そんな明日香に今となっては、本当に頭が上がらないくらい感謝している。

そんな最高の妻を持ちながらも美咲にうつつをぬかしている愚かな自分に気づかないほど、その時の僕は狂っていたのだろう。 
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