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八条学園怪異譚

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第四十七話 洋館ではその四

「あそこはね」
「泉かも知れないわよね」
「ええ、ひょっとしたらね」
「じゃあ行ってみる?」
 愛実はあらためて聖花に提案した。
「喫茶店にね」
「そうね、ただね」
「ただって?」
「喫茶店のこと事前に聞いてみる?」
 聖花は慎重案でいくことにした、それで愛実に言ったのである。
「まずはね」
「博士にでも?」
「ええ、あそこが泉かどうか。それで白い幽霊よね」
「そう、それが出るらしいから」
「そのことも聞いてみない?博士か誰かに」
「じゃあ今日にでも博士のところに行ってみる?」
「そうね、それじゃあね」  
 聖花は愛実に応えて早速自分の携帯を取り出した、そのうえで博士に今日の放課後に研究室に行っていいかどうかメールを送った。
 するとすぐにメールが返って来た、その返事はというと。
「いいって」
「そうなの、じゃあ博士のところに行ってね」
「それで喫茶店のこと聞いてみよう」
「ええ、それじゃあね」
 こう話してそしてだった、二人はその日の放課後博士の研究室に行った。すると博士は妖怪達と一緒に待っていた。
 そしてその洋館の話を聞くと笑顔でこう答えたのだった。
「あそこは出るぞ、そしてじゃ」
「泉かも知れないんですね、あそこも」
「そうなんですね」
「そうじゃ」
 その通りだと答える博士だった。
「あそこはな」
「じゃあ白い幽霊もですか」
「本当にいるんですね」
「他にもおるぞ」
 白い幽霊だけではないというのだ、洋館にいるのは。
「あそこにはな」
「っていうと一体」
「誰がいるんですか?」
「今ここにおるぞ」
 博士がこう言うとだった。 
 まずは黒いタキシードにマントを羽織ったオールバックの男が現れた、肌の色は青白く目は充血している。口元には牙が見える。
 白い服とズボンを着た狼だ、日本足で立っているがその顔と毛はまさにダークブラウンの狼のものであった。
 あちこちにつぎはぎが見える大男だ、こめかみのところにはネジが見え目の感じは虚ろだ。長方形の顔である。
 全身を古い包帯で覆っている。だが目と口は何とか見えておりその動きは何処かぎこちない。そうした姿である。
 四人は二人の前に出て来てだ、それぞれダンスを誘う様に優雅な仕草で一礼をしてそれから名乗ってきた。
「ドラキュラ伯爵だ」
「狼男」
「フランケンシュタインのモンスター」
「ミイラ男である」
 こうそれぞれ名乗る、聖花は四人を見て言った。
「本当にいたわね、ハリウッドスター達も」
「ええ、半魚人さん達の言った通りね」
 愛実もこう言って頷く。
「皆ね」
「そうね、いたわね」
「本当にこの学校色々な妖怪がいるのね」
「この人達までいるなんてね」
「ふふふ、日本は妖怪の楽園だからな」
 四人の中からドラキュラが楽しげに言って来た。
「私もルーマニアから来たのだよ」
「僕はイギリスから来たんだよ」
「わしはドイツだ」
「余はエジプトからな」
 それぞれの祖国から来たというのだ。 
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