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万華鏡

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第四十六話 ゆるキャラリレーその六

「まさか」
「そのまさかなのよ」
「この学校って皆結構走るのね」
 それが文化系でもだ。
「そうなのね」
「体力ないとね」
 何も出来ないからだとだ、琴乃は言った。
「だからね」
「それでなの」
「そう、まあそれでも茶道部速いわね」
「戦国武将にも勝てそうね」
 そこまでの脚力だというのだ、何しろ着ている鎧もその下の服も本物である。それで走っているからである。
 しかし上には上がいる、何と。
 茶道部の先にまだいた、彼女達はというと。
「コスプレ研究会」
「何て格好」
 こちらはゲームのラスボスの衣装ばかりだ、どう見ても動きにくそうだ。
 しかしだ、その格好でもなのだ。
「凄いわね」
「あの服で滅茶苦茶速いって」
「どんな身体の構造?」
「化物かよ」
「一位のままっていうのが」
 最初から最後までである、しかも。
「今なんて特に」
「独走で」
 もう完全にその状態になってしまっていた、誰も追いつける速さではない。
 その理由についてだ、琴乃は首を傾げさせながら疑問を呈した。
「何であんなに速いの?コス研も走ってるの?」
「コス研?」
「コスプレ研究会のことよ」
 略称だとだ、琴乃は景子に返した。
「今ふと言ったけれど」
「ああ、そうなの」
「そう、何であんなに速いのよ」
「あそこも走ってるのよ」
 里香が答える、そうだとだ。
「それにね」
「それに?」
「動き慣れてるんだと思うわ」
 そのコスプレを着て動くことにだというのだ。
「それでなのよ」
「そうなの」
「コスプレも体力勝負らしいのよ」
 他の部活と同じくだ、コスプレ研究会もだというのだ。
「だからね」
「ああしてなのね」
「そう、速いのよ」
 体力、それに慣れの二つがあってだというのだ。それで彼女達は驚異の速さで走られるというのである。
「ああしてね」
「そうなのね」
「もう一位はね」
 それはとだ、里香も達観した感じで言う。
「決まったわね」
「そうね、コスプレ研究会ね」
 琴乃は今度は略さずに言った。
「もうぶっちぎりだから」
「ほら、もう」
 ゴールは間近だった、そして実際に。
 コスプレ研究会が優勝した、何処かの皇帝の格好をしたアンカーが。
 そのダークパープルの甲冑と巨大な剣を見てだ、彩夏が言った。
「あれって炎の紋章の」
「解放王よね」
 景子が彩夏の言葉に応える。
「厳密に言うとラスボスじゃないけれどね」
「その少し前での王都の決戦でね」
 最後に戦うキャラだというのだ。 
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