「狂愛」
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「不安」
ある日の午後、いつものように敦から飲みの誘いがあった。
いつもと違うのは「今日は絶対に付き合ってもらうから」と最後に念をおされたことだった。
いつもなら僕の妻の機嫌などを探ってから、行けるなら行こうというのがパターンなのだが・・・。
その日は仕事も早めに切り上げ、いつも接待などで使っている料理屋に向かった。
出先から直接向かうという敦より先に到着した僕は、敦を待とうかとも考えたが喉の渇きに耐えられず先に1杯頂くことにした。
10分程後、敦が女性を連れて店内に入ってきた。
通路から聞こえて来る話し声で誰なのかは察しがついた。
敦はこの日、最近ひいきにしているクラブのママと同伴の約束をしていたようで一緒に食事をする事になっていたようだ。
しかし、なぜ僕も同席する事になったのか不明である。
食事中も取り立てて大事な話をするわけでもなく、たわいもない話を繰り返ししながら同席しているママの店のオープン時間を待っているだけだった。
そして、時間になり3人でタクシーに乗りママの店に向かった。
ママの店は初めてでもない僕に、敦が異様なくらいにニヤついた顔を近づけてくる。
だいたいこの顔を敦がするときは、ろくでもないいたずらを仕掛けてくる時だ。
前にこの顔をしたときは、ニューハーフを僕に紹介し最後にドッキリだと僕に知らせて笑いものにされた。
今夜は何を企んでいるのか・・・。
不安な気持ちにかられながれ僕は席についた。
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