ヘタリア大帝国
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TURN104 謎の女その七
「おそらくドクツ軍が援助していますね」
「あの男はそういうことするわね」
グレシアは考える顔で述べた。
「ヒムラーだとね」
「昔はそうした人間ではなかったのですが」
ロンメルは残念な顔でかつての同期について言及した。
「随分と変わってしまいました」
「そうしたしみったれたこと手段を使ってきても当然よ」
グレシアは話していく。
「海賊を援軍に出して裏から援助することはね」
「政治としては妥当ではあるな」
宇垣はヒムラーのそのやり方を政治家として肯定はした、だがだった。
彼はここでだ、こうも言ったのである。
「綺麗なやり方ではないが」
「全くです、忌まわしいことです」
山下も会議の場にいるが潔癖症の彼女がこうしたやり方を好む筈がなく憮然とした顔で言ったのである。
「そしてそれによって」
「こっちは追い詰められてきているわよ」
ランファが眉を顰めさせて言って来た。
「このままじゃ本当にやばいわよ」
「艦隊の動きが抜群です」
リンファも深刻な顔で述べる、彼女もしてやられたのだ。
「攻撃も、防御もまた」
「あれ何?天才?」
セーシェルに至っては目を丸くさせている。
「あの動きって」
「俺も自分の才能には自信があるけれどな」
自信家であると自他共に認めるダグラスの言葉だ。
「あれは俺以上だな」
「動きがどう見てもガメリカなのに何かあるんじゃないのか?」
フランスもレッドファランクスのことを知っているので語る。
「昔はうちの連中の動きもあったんだよ」
「あの動きはキャロルの動きね」
ここで言ったのはドロシーだった。
「ガメリカ軍の中でも」
「ええ、あたしにそっくりでね」
キャロルは口をへの字にして語った。
「これ絶対に有り得ないけれど」
「スカーレットさんね」
「そうよ、お姉ちゃんよ」
キャロルは今度はハンナに応えて言う。
「あれはお姉ちゃんの動きよ」
「けれどそれは有り得ないわね」
ハンナはキャロルに聞いてからそれでその可能性を否定した。
「絶対にね」
「ええ、お姉ちゃんは死んだからね」
キャロルもハンナのその言葉に同意して頷く。
「有り得ないわよ」
「あれは残念な事故だった」
アメリカも今は眼鏡の奥で目を閉じて語る。
「スカーレットは凄かったからな」
「あたしなんかよりもずっとね」
キャロルは複雑な顔になった、口をへの字にしたまま苦さに加えて劣等感と愛情も交えてそれで言うのだった。
「お姉ちゃんがいたらあたしなんか出る幕なかったわよ」
「僕は最初から君を閣僚に推薦するつもりだったぞ」
大統領にだ、国家としてキャロルの才能を見てのことだ。
「君は凄いぞ」
「お姉ちゃんよりもじゃないわ」
キャロルはその顔のままアメリカに返す。
「祖国ちゃんの気持ちは嬉しいけれどね」
「本当のことだぞ」
「あたしは長官で終わりだけれどお姉ちゃんは大統領よ」
そこまでなれる器だったというのだ、彼女は。
「全然違うわ」
「ううん、まあそれはいいとしてね」
アメリカ妹はキャロルに頑ななものを見て彼女に助け舟を入れる為にここでこう言った。
「とにかくあの動きはスカーレットのそれね」
「そうか」
「そう、長官さんもわかってたんじゃないの?」
「確かにあれはスカーレットの動きだ」
東郷もスカーレットにこう返す。
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