炎の王様と女王様
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第一章
炎の王様と女王様
炎の精霊達には王様と女王様がいます、どちらもとても立派で素晴らしい人です。
王様も女王様もお互いをとても大切に思っていて愛し合っています、ですが。
どちらも炎の精霊です、しかも王様と女王様ですからその炎はとても強くて熱いです。それその熱さのあまり。
二人が寄り添うとあまりもの熱さで周りがとても熱くなってしまいます、それは全てが炎の中に包まれている炎の精霊の世界でもそうなってしまいます。
それで二人は愛し合いながらも一緒にいられません、二人共このことに凄く困っています。
それで、です。王様は自分の家臣達にこう相談したのです。
「后と一緒にいたいのだが」
全てが赤く燃えています、赤い髪の毛に髭と睫毛、服に冠に杖もです。お顔も赤くとにかく燃え盛っています。
その王様がです、家臣達に尋ねたのです。
「どうすればいい」
「普通の熱さなら問題ないのですが」
家臣の一人がここで言います。
「ですが王様は」
「お妃様もですが」
「あまりにも熱いので」
「炎の勢いが強いので」
だからだというのです。
「お傍にいられることは」
「無理です」
「そうだな、本当にな」
王様は腕を組み難しい顔で述べます。
「それがな」
「どうしたらいいかといいますと」
「どうも我々にも」
「申し訳ないのですが」
「これといった考えが」
「そうか、しかしだ」
それでもだとです、王様は燃え盛る玉座に座りながらさらに困った顔になりました。玉座の隣には王妃の席がありますがそこにはお妃様はいません。
「わしは后と共にいたいのだが」
「ううむ、熱過ぎまして」
「お二人がご一緒ですと周りが燃えてしまいます」
全てが熱く燃えている炎の世界がさらに激しく燃えてどうしようもなくなってしまうのです。。
「ですからここは」
「どうにも」
「ではだ」
王様はさらに困った顔で述べました。
「わしと后はこのままか」
「はい、別々に」
「離れ離れに暮らされるしか」
ないとです、家臣達も申し訳なさそうな顔で答えるばかりでした。
しかし王様は諦められません、何しろ愛するお妃様と一緒にいたいからです。
それでの炎の世界全てに伝えました、自分達がいつも一緒にいられる様に出来た者には褒美を望むだけ出すとです。
そのことが炎の精霊全てに伝わりました、ですが。
誰も王様の前に出ません、それで皆こう言うばかりです。
「そんなのとても無理だよ」
「そうだよ、王様とお妃様をいつも一緒にいられる様にするなんて」
「そんなのはね」
「絶対に無理だね」
「出来る筈がないよ」
「一緒にいたらそれだけで全部燃えて収まらなくなるのに」
皆このことを知っています、そしてどうしようもないと思っていました。
それで誰も王様の前に出ないのです、王様もこれには弱り果ててしまいました。
王様は玉座で項垂れてこう言うのでした。
「それではわしはずっとか」
「残念ですが」
「参ったのう」
こう言って項垂れるのでした。
「諦めるしかないのか」
「燃え盛って収めきれないまでになりますので」
「ですから」
家臣達も智恵が出ないことを申し訳なく言うだけでした、ですが。
ここで、です。王様の前に精霊達の長老が出て来ました。普段は炎の世界の一番高い山の頂上に一人で暮らしている人です。
ですが王様のお触れを聞いて王様の前に出て来ました、長老は炎の杖をついて曲がった腰で王様の前にやって来たのです。
そして小さく燃える床に垂れ下がりそうになっている長い髭に手をやりながらこう王様に言ったのです。
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