スローモーション
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「三日待ってね」
「そう、三日ね」
「考えさせて欲しいの」
「わかったよ、じゃあね」
「待ってくれるのね」
「ここで断られたら落ち込んでたけれどね」
それでもだというのだ。
「三日の猶予があるんならね」
「有り難う、そう言ってくれるのね」
「吉報を待っていていいかな」
「それはどうかしらね」
このことはくすりと笑って返しただけだった。
「三日後ね」
「そうなんだ」
「そう、それまで待ってね」
「うん、それで答えてくれる場所は?」
「ここでいいかしら」
今二人が歩いているこの砂浜でと答えた。
「それで」
「よし、じゃあ三日後ここで」
「時間もね」
この時間だと答えた。
「放課後でね」
「うん、それじゃあね」
「三日後にまたね」
「楽しみにしてるよ」
彼は笑顔で答えてくれた、そしてだった。
私は三日の間考えていた、けれどそれは。
実際はふりだった、同じクラスの親しい娘にこう言われた。
「あんたお隣の彼に告白されたらしいわね」
「そうよ」
「それはどうしたの?」
「待ってって答えたの」
「そうなのね」
「そうしたの」
「それで返答はどうするの?」
友達は私に言って来る、見ればその顔は笑顔だ。
「受けるの?そうするの?」
「それは彼に言うから」
「私じゃないのね」
「ええ、そうするからね」
くすりと笑って彼女に告げた。
「そういうことでね」
「まあ一緒にデートした時点でわかるけれど」
「それは言わないということでね」
こうした話をしてだった、私はその時を待った。
その三日後の放課後の砂浜でだった、私は彼と一緒に歩いた、この時も。
彼は私の横にいる、そこから私に尋ねて来た。
「じゃあね」
「ええ、返事ね」
「それ聞いていいかな」
「今から言うわね」
私は彼ににこりとした笑顔を向けて答えた。
「その返事ね」
「それでどうなのかな」
「明日からここでデートしてね」
こう答えた。
「そうしてくれるかしら」
「いいよ」
彼は私の返答にこれまで以上の笑顔で返してきた。
「それじゃあ明日からね」
「ここで一緒にね」
「他の場所もね」
「他の?」
「そう、他の場所もね」
こう私に言って来る。
ページ上へ戻る