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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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短編 一輝と湖札の物語 ④

「式神展開、“武”!!」

一輝は青行燈の顕現を確認すると、すぐさま式神を五体展開し、武装する。
このころは、代償のせいで“無形物を統べるもの”はほとんど使えないのだ。

「お兄ちゃん、どうする!?」
「とりあえず、こいつは俺が相手するから、湖札はあの絵から情報を!」
「分かった!」

湖札は一輝に言われたとおり、来るまでにあった壁画を見に行く。
前回、本人も言っていたが湖札の能力は相手についてどれだけ知っているかで決まるのだ。

「さて・・・どうしようか。」
「・・・キサマガ、ワレヲヨビダシタノカ・・・」
「はい?」
「キサマガ・・・ヒャクノモノガタリヲ、カタッタノカ・・・」
「いや、違うけど。」

一輝がそう言うと、青行燈は一輝を睨み、

「ナラバ・・・キサマヲクロウテモカマワヌナ!!」

そう、読んでいてすごく分かりにくい言い方をし、一輝に向かって六メートルほどになった腕を鞭のように振るってくる。

「あぶねえな!!」

一輝はそれを盾にした式神(以下“盾”)で防ぎ、距離を置こうとするが、そこに九メートルになった脚が襲い掛かる。

「長!!腕も脚も長!!!」

一輝は驚きながらも、日本刀にした式神(以下“日本刀”)でそれを斬り、今度こそ距離をとる。

「何だよこれ・・・青行燈って鬼女じゃなかったか?」
「ホウ・・・コノテイドデハ、イミヲナサヌカ。」

そう言いながら、青行燈は脚を生やす。

「せっかく斬ったのに・・・意味ないのかよ・・・」
「デハ、コレナラドウダ・・・!」

次の瞬間、青行燈は姿を消した。

「・・・は?どこ行った、あの野郎・・・」

一輝がそう悩んでいると、上のほうから、シャーー、という何かが壁とこすれる音が聞こえてくる。

「・・・まさかとは思うけど・・・上?」

一輝が上を見ると、そこには自分を圧死させようと向かってくる一枚の板があった。

「これどうやって避けんだよ!!」

そう言いながらも、しゃがんで姿勢を低くし、日本刀の切っ先を上に向けて構える。
すると、その切っ先に当たる寸前で板は消え、青行燈が再び現れる。

「マサカ、タイショホウヲ、シッテイヨウトハ・・・」
「いや、何もしらねえけど。」
「ダガ、マダオワラヌゾ!」

するとそのまま青行燈の姿は燃える巨大な車輪に変わった。
そのまま、車輪は一輝に向かってくる。

「単純な破壊力か・・・ならこっちも。」

そう言いながら、一輝は手のひらサイズの斧を取り出し、呪力をこめることで自分の二倍くらいの大きさに変える。
もちろん、これも式神から作り出したものだ(以下“大斧”)。

「どーせい!!」

そして、そのまま叩きつけて、車輪を止める。
一輝らしい、単純な考えだ。

「このままぶっ壊して」
「イヤ、ソウハサセヌヨ。」

一輝がさらに力をこめようとすると、車輪は姿を消し、再び鬼女の姿に戻る。
姿を変える前にどうにかできなければ、勝つことは不可能だろう。

「またその展開かよ。」
「ツギハコレダ!!」

もはや、一輝が愚痴る時間もなく次の一手を使ってくる。
今回は、手に一目で業物と分かる太刀が現れた。

「クラウガヨイ!」
「嫌に決まってんだろ!!」

青行燈がか刀を振るうと、空気の刃が放たれる。
一輝はそれを“盾”で防ぎながら、槍にした式神(以下“槍”)を投げつけて太刀を落とす。
太刀はそのまま、空気に溶けて消えてしまった。

「ふう、とりあえずは大丈夫じゃねえ!?」

一輝が一瞬気を抜くと、その隙を突くように巨大な槌が転がってくる。

が、一輝は“盾”に呪力をこめて巨大化させ、叩き割る。

そこから、一輝は大忙しだった。

叩き割ったと思ったら近くにある小さなものが一輝に向かって飛んできて、それを全て叩き落すとムササビのようなものが飛んできて血を吸おうとし、それを斬ると次は狼を引き連れた猫が現れ、槍で一掃したら見上げるほど大きい僧が現れ、「見越したぁ!!」の一言で消すと十二単を着た女が血を吸おうとし、ムササビと同じように斬り、というような作業を数えるのすら嫌になるくらい続けたのだ。

「おい・・・どれだけ手数があるんだよ・・・・こんな妖怪聞いたことねえ・・・」
「ホウ・・・ココマデシテマダイキテオルカ・・・ダガ、コレデオワリダ!!」

一輝がさすがにバテ、槍を杖にしていると青行燈が巨人の姿をとっていく。
そして、そのまま青行燈は一輝に拳を打ちつけようとし、一輝の表情を見て止まる。

「・・・ナゼワラッテイル?」
「いや・・・これで勝ちだと思ってるのが可笑しくてな。忘れたのか?ここにいるのは、俺だけじゃないんだぜ?」

一輝がそう言いながら入り口のほうを見ると、そこには

「そう、私もいるよ。」

銀色に輝く洋弓を持った、湖札がいた。
 
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