Element Magic Trinity
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
呪われた一族
前書き
思い立ったが何ちゃらかんちゃらという事で、思い立ったので書いてみました。
「どうしよう・・・」
現在ルーシィは、マグノリア南口公園のベンチで頭垂れていた。
いつも元気な彼女に何があったのか。
それは数分前の事。
「はぁ・・・やっと帰ってこれた~・・・」
「プーン」
シェラザード劇団の依頼を何とか終わらせ、ルーシィは家に向かって歩いていた。
依頼内容である『客足の遠のいている劇場を魔法で盛り上げてほしい』は、役者が逃げ出した為ルーシィ達が役者になった事や、いつもの暴走で劇場を壊してしまったりを除けば、問題はなかった。
これだけでかなりの問題なのだが、街を半壊したり相手を半殺しにしたりが無いだけまだマシだろう。
・・・が、依頼主で劇団座長のラビアンがすっかり気をよくし、中々帰して貰えなかったのだ。
「あんだけこき使っといて、報酬これだけなんて・・・」
そう言うルーシィの手元には、今回の仕事の報酬である4万Jがある。
本来なら5人で分ければ家賃が問題なく払えるほどだったのだが、大きな問題が起こってしまったのだ。
それは誰もが予想せず、その場にいた全員が目を見開いた事で。
・・・結論を言おう。
クロスがラビアンに気に入られたのだ。
その為、今回の報酬の半分は「気に入ったから」という理由でクロスが手に入れてしまった。
でもって残りの半分を4人で分けた結果・・・1人4万Jという結果になったのだ。
ちなみに今回の依頼報酬は32万J。クロスはその半分の16万Jを手に入れたという事になる。
それが無く5人で分けていれば、全員6万J、残りの2万のうち1万を貰うとして7万J。家賃ぴったりだったのだ。
「でも仕方ないか・・・確かにクロス、演技上手だったし・・・」
そう呟いて、気分を変えるように頷く。
「今日はさっさと寝て、明日仕事頑張ろうっと!」
「プーン!」
そう!
今日で世界が終わる訳ではない、明日があるじゃないか!
・・・と、捉え方によってはこうも捉えられる言葉で自分を元気づけ、ルーシィは家に入る・・・が。
「待ちな」
入る前に後ろから呼び止められた。
振り返ると、そこには初老の女性。
「お、大家さん?」
その女性は、ルーシィの住む家の大家だった。
「その部屋には入れないよ」
「えぇっ!?どうしてですか!?」
借りている部屋だとしても、ここは自分の部屋だ。
何故入れないのかを慌てて聞くと、大家は「ふぅ・・・」と溜息をついて、口を開いた。
「家賃」
・・・そう。
明日仕事をすれば家賃が払える!と考えたルーシィだったが、家賃の支払い日は今日だった。
本来ならば劇団の仕事の後でも余裕はあったのだが、1週間ほど扱き使われた為、余裕は綺麗さっぱり消えていた、という訳である。
ちなみにルーシィの現在の所持金は、さっきも言ったが4万Jである。
「今月の家賃7万J!キッチリ払わないならこの部屋には入れないよっ!」
大家の迫力には敵わず、ルーシィはプルーを抱えて家を追い出されてしまった。
で、現在に至る。
「どうしよう・・・家賃は明日の仕事でどうにかなるけど、今日一晩・・・野宿なんて嫌だし、でもエルザの家は知らないし、ティアは自業自得って泊めてくれなさそうだし・・・あー、もう、ホントにどーしよー!」
そう言いながらルーシィが頭を抱えていると、その前を見覚えある少女が通りかかり、足を止めた。
「あれ?ルーシィちゃん、どうしたの?こんな時間に」
突然名前を呼ばれ、ルーシィが顔を上げると、クラシカルロリータに身を包んだ桃色のツインテールの少女が。
「サルディアさん!?」
そこには、買い物の帰り道なのか大量の食材を持ったサルディアがいた。
サルディアはにっこり微笑む。
「サルディアでいいよ。でもルーシィちゃん、こんな時間に女の子が1人で出歩くなんて危ないよ?」
いや、そう言ってるあなたもこんな時間に1人で出歩いている女の子なんですけどね。
「じ、実は・・・」
苦笑いを浮かべながら、ルーシィは今の状況を細かく説明した。
見た目に似合わず力持ちなのか、荷物を持ったままサルディアは相づちを打ち続ける。
「そういう事かぁ・・・大変だね」
「あはは・・・」
事情を聞いたサルディアは少し考えるように俯くと、ぱぁっと笑顔を浮かべた。
「そうだルーシィちゃん!」
「ん?」
その「いいアイデア思いついちゃった!」とでも言いたげな表情に、ルーシィは聞き返す。
「今日、ウチに泊まりにおいでよ!」
突然のサルディアの誘いに少し面食らったルーシィだったが、今の彼女にとってこのお誘いはまさに女神の救いの手の様なものなので、あっさりと受けた。
という訳で、現在2人とプルーはサルディアの家に向かっている。
「本当に助かったわ、ありがとうサルディア」
「ううん、気にしないで。困ったときはお互い様でしょ?それに、召喚系の魔法を使う子が私の他に入ってきたから、仲良く出来たらなぁって思ってたの」
そう言えばあたしとサルディア以外召喚っぽい魔法使う人っていないかも・・・なんて考えながら、泊めてもらうお礼として先ほどまで彼女が持っていた荷物の半分を持つルーシィは、ふと持つ荷物に疑問を覚えた。
「そういえばサルディア。こんなにたくさん食材を買って、1人で食べきれるの?」
「え?」
ルーシィの言葉にサルディアは驚いたように目を見開く。
が、すぐに納得したように呟いた。
「あ、そっか。ルーシィちゃんは知らないんだっけ」
「知らないって何が?」
「私、1人暮らしじゃないの」
「え?そうなの?じゃあ両親とかと一緒に?」
「あー・・・違うよ」
一瞬困ったような表情をし、サルディアは微笑んだ。
「私ね、クロス君達と一緒に住んでるの」
「えぇ!?そうだったの!?」
「ププ!?」
サルディアの言葉にルーシィとプルーは驚愕する。
それから少し歩き、サルディアが足を止めた為ルーシィも足を止めた。
「ここだよ」
「・・・!?」
文字通り、ルーシィは言葉を失った。
「お、大きくない?」
「そうかな?ルーシィちゃんの実家に比べたら小さいよ・・・あ、今はその話はしない方がいいよね」
「あ、ううん。気にしないで」
サルディア達の家は、普通の家より大きい。
まぁ彼女の言う通り、ルーシィの実家の本宅に比べれば小さいのだが、この国有数の財閥と比べてはどの家も小さいだろう。
だがクロス達が一緒という事はこれくらい無いと足りないのか・・・とルーシィは納得した。
「ただいまー」
サルディアがそう言いながらドアを開けると、奥から相変わらずジャージ姿のスバルが走ってきた。
そして何も言わずにサルディアの抱えていた荷物を持ち上げる。
「おかえりサルディア!・・・って、如何してルーシィがいんだよ?俺、今日招待したっけ?」
「あのね。ルーシィちゃん、今月の家賃が払えなくなって家を追い出されちゃったみたいなの。だから今日はウチに泊まっていかない?って」
それを聞いたスバルは荷物を置き俯き、肩を揺らし始めた。
「ぶはははははははははっ!お、追い出されたのかっ!?や、やべ・・・腹が・・・あははははははっ!」
「ちょ・・・そんなに笑わなくてもいいでしょ!」
「ひー、ひー・・・やっべ、今月で1番笑ったかもしれねー」
眼に涙を浮かべるほど大爆笑したスバルに、ルーシィは憤慨する。
「もう、スバル!そんなに笑ったら失礼でしょっ!」
「へいへい。まぁいいや、上がれよ」
「あ、うん。お邪魔します」
よっと、とルーシィが持っていた分の荷物も抱え、スバルは歩いていく。
その後について行くサルディアの後をルーシィがついて行き、リビングへとやってきた。
フローリングの床の上に、ライアー、ヒルダ、クロスが部屋着に―――――だがギルドで着ていた服とあまり変わっていない気もする―――――着替えて寛いでいた。
「サルディア、おかえり・・・ん?」
「む?ルーシィ?」
「どうかしたのか、こんな時間に」
クロス、ヒルダ、ライアーが首を傾げそう言う。
「それがよぉ・・・やっべ、思い出しただけで笑えてくる・・・」
「もぉ、スバルっ!」
サルディアがスバルを叱り、スバルは何とか笑いを堪えながら口を開く。
「それがな、こいつ家賃が払えなくて家を追い出されたんだと!」
スバルがそう言うと、3人は「あぁ・・・」と納得したような顔つきになる。
「そうか、それは大変だな」
「気兼ねせずにゆっくりしていってくれ。元々人数が多いんだ、1人増えてもあまり変わらない」
「はい!ありがとうございます!」
いきなりやって来た自分を特に慌てず困らず歓迎してくれる3人に、ルーシィは深く頭を下げた。
と、そこに聞き覚えありまくる声が聞こえてくる。
「あらサルディア、帰ってたの・・・ん?何でアンタがいるのよ?」
ティアだった。
まぁティアとクロスは双子の為、一緒に暮らしてても特に問題はないのだが。
ずっと寝ていたのか欠伸を噛み殺し、近くのフックにかけてあった紺色の地に白いドットのエプロンをいそいそと着始めた。
「え?ティア、どうしてエプロン?」
「料理するからに決まってるでしょ。これでも、料理は得意なの」
「ティアの料理はマジで美味いぞ。これならいつ嫁に行っても大丈夫だな、な!ライアー!」
「な、何故俺に聞く!?」
ティアは料理が得意だという新事実が発覚し、スバルがその料理を絶賛し、突然話を振られたライアーは慌てる。
「それじゃ、まぁ特に持て成しは出来ないけど」
そう言うとティアは食材を一気に持ちキッチンへと消えていった。
ルーシィはリビングの黒ソファに腰掛け、隣に座っているスバルに声を掛ける。
「ねぇスバル。さっき見てて気づいたんだけど、ライアーさんって・・・」
「ん?もう気づいたのか?早いな!そうそう、ライアーはティアの事が好」
「あああああああっ!す、済まないスバルっ!」
「ぐごっ」
かなり乱暴な話の止め方だ。
が、スバルはそんな事で懲りるような男ではなく。
「あのなぁライアー、もう隠す必要ねーぞ?ギルドの皆が知ってるんだからよっ☆ティアを除いて」
「なっ!?」
「あぁ。マスターからハッピー、さらにはロメオまで知っているぞ」
「新人のルーシィにも知られたんだ。今更隠す必要はないだろう?」
「ヒルダ、主まで・・・」
ライアーはこの世の終わりだとでも言うように頭を抱える。
男だが腰に届くほど長い黒髪を揺れた。
「そーいやよぉ、何でずっと隠してんだ?ライアー。いあ、もう隠しきれてねーけど」
「そ、それはっ!・・・その、照れくさいというか、だな・・・」
ぼそぼそと答えるライアーの背中をバシッとスバルが叩く。
「安心しろって!昔ハッピーの絵を描いたらこの世のものとは思えねー化け猫の絵になっちまって、それでしばらくハッピーに口聞いてもらえなかった事よりは恥ずかしくねーだろ」
「そ、それを言うなっ!買い物を頼まれ塩と間違えて砂糖を買ってきた上にネギと間違えてニラを買ってきたお前には言われたくないぞ!」
「うっ・・・塩と砂糖はどっちも白いし、ネギとニラだって似たようなもんだろーが!」
「全く似ていないだろう!」
「落ち着けお前達」
ヒルダが止めにかかる。
どうやらライアーは俗に言う『いじられキャラ』というやつらしい。
「サルディア、いつもこんな感じなの?あの2人って・・・」
「うーん・・・いつもじゃないけど、こんな感じかな」
あまり問題視してないサルディアは、「着替えてくるね」と2階に上がっていった。
口論に参加していないクロスは、ルーシィに目を向ける。
「・・・どうかしたのか?」
「え?」
「いや、少し寂しそうな顔をしていたものだからな」
その言葉に口論していた3人の視線もルーシィに集まる。
「え、えっと・・・ほら、あたしってママが死んでから家柄の事もあって家族と・・・って言ってもパパだけど・・・あまり話す事が無かったの。仕事優先の人でね。同じ家に住んでる筈なのに、パパの心は別の所にあるみたいで・・・だからね、今の皆の会話を聞いてたら、本当の家族ってこんな感じなのかなぁ、って思ってさ」
ルーシィの言葉に着替え終わり降りてきたサルディアも含め、5人は沈黙する。
「あ、ご、ゴメンねっ!こんな話しちゃって・・・忘れて!」
それを見たルーシィが慌てて言うと、ライアーがゆっくり口を開いた。
「いや・・・お前の気持ちはよく解る。俺達も家柄の事で悩まされてきたからな」
「え?」
ポカンとするルーシィに、ヒルダが説明した。
「私達の家は、代々カトレーン家の人間に仕える家系なんだ」
「そっ、カトレーン家の複製能力を持つ人間にな」
「まぁ、カトレーン家の人はコピーの能力を持ってるし、基本全員に私達みたいな4人が仕えてるの」
「コピー?・・・って事は、クロスがそうなの!?」
「まぁ一応な」
クロスはそう言うが、その口調にはあまり喜びはない。
普通の人間が持たないコピーの力を持っているのなら、それを誇ってもいいものを。
「そして、私達は主となった人の為に動き、時に『意志を持つ武器』になり、時に『意志を持つ盾』になり、時に『意志を持つ知恵』になる」
「そう・・・だが、主次第で俺達のその先の人生は大きく変わる」
「聞いた話じゃ、俺のじーちゃんは主だった奴に奴隷みてーに扱われたんだと。だからあのラクサスは俺達の事を『十字架の奴隷』っつーんだ」
「あぁ・・・私達の家系は周囲の人々から『不幸な一族』『人に使われるだけの一族』『呪われた一族』と迫害されていた」
サルディア、ライアー、スバル、ヒルダが説明し、ルーシィはラクサスの言っていた言葉を思い出した。
十字架に仕える人間・・・だから『十字架の奴隷』なのだ。
「正直、俺はそんな家系が嫌だった。だってそうだろ?俺の人生なのに、その人生を誰かの為に使うなんて冗談じゃねぇって思ってた」
少しの怒りを滲ませながらスバルは言い、すぐに笑顔を浮かべて続けた。
「けどよ、俺達が初めてクロスに会った時、クロスはこう言ったんだ」
数年前。
妖精の尻尾の入り口で、4人の男女が片膝ついて頭垂れていた。
「今日から貴方に仕えさせて頂く、ライアー・ヘルハウンドと申します」
「サルディア・ルーナサーです」
「・・・スヴァル・ベルテインだ」
「ヒルダ・ディザスター」
それを見たギルドメンバーは一気にざわつき、クロスは4人に近づいていく。
「ライアーにサルディア、スヴァルにヒルダ・・・だったな?」
「はい」
「えぇ」
「おう」
「その通りにございます」
若干堅苦しく答える4人に、クロスは微笑んだ。
「お前達の事なら聞いている。カトレーンの一族に仕える一族だろう?確かお祖母様が『奴隷でも何でも好きに扱って』と言っていたな・・・」
奴隷、という言葉に4人は静かに顔を見合わせる。
少しの間クロスは沈黙し空を見上げ、4人に目を向けた。
「よし。ならば俺はお前達を『家族』として迎えよう」
「は?」
「え?」
「な?」
「ん?」
一斉に顔を上げる。
そりゃそうだろう。奴隷や道具として扱われてきた家系の4人を、家族として迎えると言っているのだ。
スバルがこの時「コイツ、アホじゃねーの?」と思ったのは余談である。
クロスはゆっくりと4人を見つめ、今と変わらない笑顔で口を開いた。
「俺にお前達を奴隷として扱う資格はない。あったとしても、今を生きている人間を奴隷として扱うなど、同じ人間として有り得ない。意志があり、思いがあり、心がある。そんなお前達を俺如きの人間が仕えさせるなど以ての外だ。本来ならば俺に仕えるなと言うところなのだが、それは許されないのだろう?」
まぁ、仕える事を使命とする人達なのだから、仕えるなはないだろう。
「だから俺はお前達を『家族』として迎える。俺の為に動く必要などない」
そう言って、クロスは4人に手を差し伸べた。
「俺のような男が主でもいいのなら、俺の命令はこれが最初で最後だ」
「そん時さ、思ったんだよ。こいつは・・・かなりのアホだって」
「お、おいスバル!」
「けどよ・・・」
まさかのアホ呼ばわりにクロスは腰を上げる。
「アホだけど、俺達の事『奴隷』でも『道具』でもなく・・・『1人の人間』として見てくれる、そんな当たり前の事が当たり前に出来る人間だとも、思ったんだ」
「あぁ・・・これほどまでに人徳があり、当たり前の事が当たり前に出来る主はそうはいない。人間、当たり前の事が出来ない者も多いからな」
「そんなクロス君が主だから、私達は誇りと自信を持って戦う事が出来るの」
「だから俺達は決めたんだ。『奴隷』としてでも『道具』としてでもない、『家族』として、『1人の人間』として、主の傍にいようと・・・」
スバル、ヒルダ、サルディア、ライアーの言葉に、ルーシィは感じた。
何者にも切れず、何があろうと切れず、どんな強大な魔法をもってしても切れない・・・強い絆を。
「お前達・・・」
クロスも嬉しそうに微笑む。
すると、キッチンのドアが開き、そこから美味しそうな匂いが漂ってきた。
「ふんふん・・・今日は鍋だな」
「アンタの鼻は便利よね、スバル」
淡い水色のワゴンを押しながらティアが姿を現した。
テーブルの中央の鍋式の上に鍋を置き、ミトンを外す。
「今日は人数も1人多いし、鍋にしたわ」
「ナベ?」
「知らないのも当然ね。東洋の国の料理だし」
「よっしゃあ!丁度鍋食いたいと思ってたんだよ!さすがティア!」
スバルがご機嫌な様子で席に座り、続くようにルーシィ達も座る。
最後にティアがエプロンを外して、フックに戻し、座った。
「さ、食べましょうか」
『いただきます!』
全員がそう合唱するのを確認し、ティアは鍋の蓋を開ける。
ふわっと真っ白の湯気が広がり、鍋の中では肉や野菜がぐつぐつと煮込まれていた。
「わぁっ・・・」
ルーシィは感嘆の声を漏らすと、小皿に自分の分を盛り、そのまま口に運ぶ。
「美味しい!」
「そう。なら良かったわ」
室内だが帽子を取らないティアは、やはり眠いのか欠伸を噛み殺す。
どうやら趣味であるガラス細工に没頭しすぎたようだ。
「あっ!おいヒルダ!俺の取ろうとした肉取るなよっ!」
「知らんな、早い者勝ちだろう?」
「大丈夫だよスバル、まだお肉あるし」
「てか、ちゃんと野菜も食べなさいよ?アンタは」
「ライアー、それ取ってくれないか?」
「了解した」
和気藹々と、それこそ本物の家族の様に鍋を囲むティア達。
初めて食べる鍋の味を堪能しながら、ルーシィの頭に疑問が過った。
それは先ほど、ライアー達が自分の家系について話した時の事。
『私達の家は、代々カトレーン家の人間に仕える家系なんだ』
『カトレーン家の人はコピーの能力を持ってるし』
(・・・あれ?って事はティアもコピーの力があるって事だよね。でも、ティアにはクロスみたいに4人仕えてない・・・姉弟の場合は姉弟で4人なのかな?でもそれじゃあ理不尽というか・・・)
白菜を口に運び、ルーシィは考えた。
(そういえば、あたしティアが複製能力使ってるの見た事ないかも・・・ほぼ一緒に行動してるのに。ナツ達なら知ってるかしら?)
そんな事を考えている間に小皿は空になり、もう1度小皿に自分の分を盛るのだった。
次の日、かなり仲良くなったサルディアと仕事に行ったルーシィは、特に何かを壊す事もなく依頼を終え、無事に報酬を手に入れ、家に帰る事が出来たのだった。
後書き
こんにちは、緋色の空です。
クロスとライアー達の関係性を明らかにしておきたかったお話でした。
ルーシィは外国の人なので、鍋は知らないかな、と。
じゃあなんでティアは知ってんだよ、というツッコみは止めてください。
何かで調べたって事で。
感想・批評、お待ちしてます。
ページ上へ戻る