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ヘタリア大帝国

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TURN103 赤い海賊その五

「これはかなり大きいです」
「そうだな、モスクワを攻めることとモスクワから攻めるのとでは全く違う」
「同じ道を通りますが」
 逆になるだけで全く違うというのだ。
「これはかなり大きいです」
「モスクワさえ陥とせばな」
「ただし向こうもそれは承知です」
 ソビエトにしてもだというのだ。
「モスクワには大軍を集結させますし」
「それにだな」
「また工作を仕掛けてくるかも知れません」
 その危険もあるというのだ。
「彼等のことですから」
「それは俺も思う」
 東郷もこのことは危惧していた、そのうえでの言葉だ。
「まさか帝のクローンまで用意して来るとはな」
「迂闊でした、本当に」
「帝のクローンには逃げられたか」
「残念ですが」
 そうなってしまったのだ、その偽者には。
「そうなってしまいました」
「ではまたやってくるな」
「隙を見せれば別のやり方で」
「ゾルゲ大佐も逃がしてしまったからな」
 枢軸諸国にとって危険人物でしかない彼もだった。
「防ぐことは防いだがな」
「敵にはまだカードがあります」
「厄介なことだ」
「やはりソビエトは侮れませんね」
「伊達にドクツを破った訳じゃないか」
「そのことも気になります」
 ここでまた言う秋山だった。
「ソビエト軍も大怪獣を使っています」
「ニガヨモギか」
「そのニガヨモギをモスクワ戦で使いドクツ軍を退けていますが」
「ニガヨモギについて知っていることはあるか」
「どうやらこの星域の出身です」
「チェリノブのか」
「はい、ここのです」
 彼等が今いる他ならぬこの場所で生まれたというのだ。
「生まれです」
「そうだったのか」
「ただ、何時どうして生まれたのかは」
 それはわからないというのだ。
「不思議なことにです」
「ここにはホワイトホールがあるがな」
「ホワイトホールですね」
「それと関係があるのか」
「それもわかりません」
 秋山は首を捻って答えた。
「どうにも」
「何もわからないか」
「今は」
 そうだと答えるしかなかった、秋山にしても。
「全くです」
「やれやれだな。しかしだ」
「しかしとは?」
「柴神様だがな」
 東郷はここで彼のことを言うのだった。
「あの方だが」
「そういえばチェリノブに来られてから」
「妙に緊張しているな」
「はい、どうも」
 秋山も言われて気付いた、このことに。
「何かあるのでしょうか」
「ホワイトホールに関係があるのか?」
 東郷は直感からこう感じた。
「あの場所に」
「どうでしょうか、それは」
「まだ確かなことは言えないな」
「そうですね、まだ」
「そのホワイトホールにしてもだ」 
 その場所の話もする。 
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