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ヘタリア大帝国

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TURN102 革命その十一

「この男の相手ですが」
「私達では無理だな」
「はい、かなりの強さです」
 だからだというのだ。
「ですから」
「わかっている、この男の相手はだ」
「私が務めましょう」
 明石がここで名乗り出る。
「その為にお呼び頂いたのですから」
「頼めるな」
「はい、それでは」
「では私達の相手はだ」
 柴神は周りを見る、そこには。
 ソビエトの工作員達がぞろぞろと集まっていた、その彼等を見ながら東郷とハルに対してこう言ったのである。
「彼等の相手だ」
「はい、それでは」
「彼等を倒し」
 そしてだというのだ。
「帝をお救いしましょう」
「是非共」
「いいか、私達の誰かが生き残ればだ」
 それでだというのだ。
「その者が帝を救出する」
「そういうことですね」
「それでは」
 こう話して早速だった、三人が工作員達の相手をした。 
 その中にはあの記者達もいた、柴神は自分に向かって来た彼等と戦いながら問うた。
「聞こう」
「くっ、何をだ」
「一体何を聞くつもりだ」
「何故国を売った」
 彼が問うのはこのことだった。
「国をソビエトに売った」
「売ったのではない」
「我々は国を売ってはいない」
 彼等はこのことはムキになった顔で否定した。
「我々はそんなことはしない」
「これは革命だ」
「革命か」
「そうだ、これは革命だ」
「それ以外の何者でもない」
 彼等は柴神に向かいつつ必死に自己弁護をする、
「そんなことは絶対にだ」
「したりはしない」
「革命か」
 記者達は特殊警棒やスタンガンで闘う、その相手をしながらのやり取りだった。
「この国を共有主義にする、か」
「そうだ、共有主義こそが人類を幸せにするのだ」
「理想社会にするのだ」
「理想社会か」
 その言葉に柴神は目を顰めさせた、そのうえで。
 彼等の攻撃をその手で防ぎながら言う。
「そんなものがあるのか」
「ある!」
「貧富も階級もない社会がある!」
「共有主義こそその社会だ!」
「矛盾も汚れもない社会が共有主義だ!」
「そんな社会は何処にもない」
 柴神は格闘技、接近戦のそれの要領で彼等の攻撃を受けながら言っていく。
「この世の何処にもな」
「くっ、共有主義を否定するのか」
「我々の崇高な思想を」
「同志カテーリン書記長のお考えを」
「全ての者が平等である世界の実現を」
「では何故だ」
 柴神はまた言う。
「そのカテーリンという娘を崇拝している」
「何っ、崇拝だと」
「我々のこれを崇拝だというのか」
「そうだ、崇拝だ」
 それ以外の何でもないというのだ。。
「御前はカテーリンの言葉を絶対としているな」
「同志書記長を呼び捨てにするな!」
「無礼だぞ!」
 彼等は気付かないうちにその崇拝を語った、攻撃を防がれ続けながら。
「如何に神であろうと許せん!」
「そうだ、それに共有主義ではもう神は必要ない!」
「崇拝する対象がいないからだ!」
「これからは共有主義だけを信じて生きる!」
「それこそが理想だ!」
「この世に絶対のものはない」
 柴神は彼等の言葉を再び否定した。
「何があってもな」
「共有主義は絶対だ!」
「この世で唯一の絶対のものだ!」
「カテーリンが言うことだからか。それこそがだ」
 カテーリンの言葉を盲信する、それ自体がだと指摘する。
 そのことを告げてそれからだった。
 柴神は反撃に出た、一気に蹴りや拳を繰り出して記者達を倒した。そのうえで気を失った彼等を見下ろしながら言うのだった。
「矛盾も何もない社会なぞ存在いない、絶対にな」
 そのことを誰よりも知っているからこその言葉だった、その言葉を今この場で言ったのである。
 戦いはまだ続く、ソビエトの仕掛ける戦いは枢軸諸国を苦しめ続けるのだった。


TURN102   完


                      2013・4・12 
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