ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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現状報告
父親と和解したその日の夜。俺はALOにダイブして、フレンドメールでユウキを呼び出していた
「……というわけで、ユウキを生かすにはこの方法しか思いつかなかった。すまない」
これまでの経緯と、ユウキ生存計画の内容をそう締めくくると俺は頭を下げた
できる限り努力したことには変わりないが、社会は結果がすべてである
いかに綺麗事を並べようとも経過については結果の付加価値にすぎないのだ
「か、顔を上げてよ、燐。僕が生きられる可能性なんてなかったんだし……」
「……それで、菊岡の元でアルバイトをするというのは構わないのか?」
「うん、せっかく燐が用意してくれた案だしね。菊岡さんにも恩返ししたいし、異論はないよ」
恩返し……その言葉を聞いて微妙な心情になったのは言うまでもない
表情こそ、お得意のポーカーフェイスで抑えこんだのだが少しだけ手が震えた
「じゃあ、その様に菊岡に言っておく。それで、いつ頃にするんだ?」
遅すぎればユウキの命が持たない可能性があり、また早過ぎれば失敗した際のリスクが大きい
俺としては早くやることがベストだと思うが
「うーん、もうちょっと待って欲しいかな」
「なぜだ?」
ベストだと思うが……
「今、僕たちスリーピングナイツが……あ、僕みたいなターミナルケア(終末期医療)を受けている患者たちからできているギルドね?そのスリーピングナイツの皆の名前を遺すためにアインクラッドのフロアボスに挑戦してるとこなんだ」
新生アインクラッド。かつて、俺を含む攻略組が生死を賭して攻略して行った鉄の城であるが、ソードアート・オンラインでのアインクラッドとアルヴヘイム・オンラインのアインクラッドでは、少し相違点が存在する
フロアボスもその相違点の一つだ
ソードアート・オンラインよりも強さが桁外れに強くなっていたり、ソードアート・オンラインにはなかった人数制限ができたり……まあ、その他いろいろある
アスナに頼まれ、低層とはいえボス攻略に協力していたからわかる。あれは別物だと
もし、あのボスたちがソードアート・オンラインにいたら……おそらく三、四層辺りの攻略で挫折していたであろう。そんな強さだ
「名前を刻むって言ったな?」
「ん?確かにそう言ったけど?」
「ということは攻略メンバーは七人以下なのか?」
アルヴヘイム・オンラインのアインクラッドでフロアボスを倒すと第一層にある石碑……ソードアート・オンラインのアインクラッドでは生命の石碑と呼ばれていた石碑に名前が刻まれるのだが、スペースの関係上、七人までしか刻めないようだ
人数制限は七人のパーティが七つまでの四十九人で、七人を越えると刻まれるのはパーティリーダーだけなのだ
故にギルドメンバー全員の名前を載せたいと思うならば七人以下で攻略するか、または全員を別々のパーティのリーダーにするかだが……後者はほぼありえない
なぜなら攻略組の面々はほぼ全員我が強い
それが攻略組を攻略組たらしめる原動力になっているのは間違いないが、やはり残念だ
「そうだね。僕を入れて六人だよ!」
思わず頭を抱えた
俺、キリト、アスナ、クライン、エギル、リーファ、ミユの七人で攻略をしたことは確かにある
だが、それは全員が並外れた実力者だからこそできたことなのだ
ユウキの実力は知っているが、それが六人もいるとは到底思えない
「残り五人の実力のほどは知らないが……それは些か無謀じゃないか?」
「初見であと一息のところまで追い詰めたけどね」
ユウキは性格上、過大評価も過小評価もしない。嘘や見栄を張るような性格でもないので、これは本当だろう
「なら、二回目はどうなったんだ?」
そう言うとユウキは誇らしげな顔から一転、残念そうな顔になった
「それがね。僕らが死に戻りした後、対策を練ってたら巨大ギルドの連合部隊に倒されちゃったんだよー……」
「ああ、あの短い期間で攻略されたボスか」
攻略したギルドは違えど二階層分のフロアボスが一ヶ月以内に攻略されているのだ。ありえない。ボス攻略は得るメリットも大きいが、失敗したときのデメリットも大きい
だから普通は数ヶ月ほどかけてボスの情報を集めてから挑むものなのだ。巨大なギルドならなおさら、その腰は重いものになっている
まあ、某閃光殿はそんなセオリーなど無視して突っ走ってくれたが
話を戻すと、一ヶ月以内の二体討伐というのは、フロアの攻略という期間も含めて考えるとありえないのだ
となれば、誰かがボスの情報を丸裸にしたということだが……
「……ピーピング(盗み見)」
「え?」
「多分ピーピングでもされたんだろうな。ボスを追い詰めたスリーピングナイツから情報を掠め取るために」
いい手だ。自らは被害を受けず、利益だけを掠め取る
もう一度言うが、いい手だ
「燐……怒ってるの?」
「いや、怒ってない。それよりもユウキ。ピーピングは慣れたやつがやると発見しにくい。だからボスは初見で倒すか、もしくは一回目と二回目の戦闘のインターバルを詰めれば問題ない」
「う、うん……。燐、無表情で怖いんだけど……」
俺は怒ると無表情になるらしい。面向かって指摘されたことはないから知らなかった
「あと、もう一人メンバーを入れたらどうだ?俺は忙しいから無理だが……」
一つ深呼吸をして気持ちを落ち着けると、座っていた椅子に座り直す
……あとでストレス発散(マンハント)しよう
「んー……そうだね。アスナにお願いしようかな?一番仲良くなったと思うし」
「うん?リーファかシノンじゃないのか?」
その二人の方がよく話していたような気がするのだが……
「リーファとシノンはライバル。僕を含む女性はね……好きな人の一番になりたいんだよ?」
「……喧嘩はするなよ」
正直、それしか言えない
「うん! まあ、争うというかじゃれてるって感じだけどね。あ、というわけでフロアボスを攻略したら……お願いします」
「了解」
さてと、細かい調整をしておくかね……。少しでも可能性をあげないと
後書き
マガツキュウビェ……蕾姫です
GE2のSSを最近書きたいと思っている私です
アニメを観たり、SSを読んだり、ゲームをしたりするとその設定を脳内妄想してしまう。……完全に病気ですねw
まあ、そんな手を広げられるほど俺の腕は長くないのでボツになるんですがね~
さて、本編の話といきたいところですが、正直特筆することがありません
ユウキに報告くらいですね、うん
また次回もよろしくお願いします
ではでは
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