Element Magic Trinity
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フェアリーロウ
妖精の尻尾と幽鬼の支配者、2つのギルドが激しい抗争を繰り広げているマグノリアの東の森。
そこの木の家の前では、ポーリュシカが1人、空を見上げて立っていた。
(木々が・・・大地が・・・大気が怯えている・・・)
ポーリュシカは切なげに顔を伏せた。
「これだから人間ってのはっ!争う事でしか物語を結べぬ愚かな生き物共め!」
突然そう叫んだかと思うと、足元にあった資材を蹴り飛ばした。
「マカロフのバカタレ!そんなに死にたきゃ勝手に死ねばいいっ!」
箒を手に持ち、周りの資材を当り散らしていくポーリュシカ。
すると、その資材であるリンゴが1つ、コロコロと転がっていく。
そしてそこには、顔すらも確認できないほどに全身を覆い隠した男と、茶髪のセミロングを靡かせる少女。
「ミストガン・・・メープル」
「いただいても?」
ミストガンは転がってきたリンゴを手に取る。
「そうか・・・こんなに早くマカロフが回復するのはおかしいと思っていたんだ。マカロフの魔力をかき集めてきたのはアンタだね。メープル、アンタもかい?」
「参加するつもりはなかったんですよ?私はギルドの人間ではありませんし・・・でも、先生の昔からのお知り合いの為なら、少しはお力添えしようかと」
茶髪の少女『メープル・エレシャリオン』は風に靡く髪を押さえ、微笑む。
と、そんなメープルの横で、ミストガンはしゃりしゃりとリンゴを食べ始めた。
「勝手に食うんじゃないよっ!」
「巨人は動いた。戦争は間もなく集結する」
しゃくしゃくとリンゴを食べながらそう言うミストガン。
「人間同士の争いを助長するような発言はしたくないけどね。アンタも一応マカロフの仲間だろ、とっとと出て行きな。そして勝手な争いでもしてるんだね」
「先生。今回私達は裏方に徹すると決めたんです。私達の役目はもう終わった」
メープルがそう言った瞬間、強い風が吹く。
すると、2人の足元に置いてあった何枚もの布は一気に空へと舞いあがる。
(ファントムの旗!?まさか・・・ファントムの支部を全て2人で潰して回った!?)
「リンゴをもう1つ頂きたい」
「こんなゴミを置いてく気じゃないだろうね!」
ポーリュシカが叫ぶ。
どよどよ・・・と晴れていた空が曇り始めた。
「本当・・・アンタ達には呆れるよ」
しゃり、と2つ目のリンゴを食べ始めるミストガン。
「強すぎる力は悲しみしか生まない・・・そしてその悲劇の渦の中にいる事を、怒りが忘れさせてしまう」
「・・・そうですね。ですが、その悲劇を終わらせるのもまた力・・・」
顔を俯かせそう呟くポーリュシカにメープルが呟き、ミストガンは空を見上げる。
「私はそれをも包み込む聖なる光を信じたい。全てを導く聖なる光を」
聖十大魔道が2人。
1人は幽鬼の支配者のギルドマスター、ジョゼ・ポーラ。
1人は妖精の尻尾のギルドマスター、マカロフ・ドレアー。
「・・・なんだ・・・?この温かいような・・・懐かしい様な魔力は・・・」
「!」
「おじー・・・ちゃ、ん?」
「ん・・・んあ・・・」
すると、先ほどまで気絶していたグレイ、エルフマン、ルー、アルカ、ミラが目を覚ます。
「全員この場を離れよ」
「マスター!?」
「何でここに!?」
重症のはずのマカロフがここにいる・・・それに驚くグレイ達。
「言われた通りにするんだ」
「エルザ・・・」
「フン」
エルザはキッとジョゼを睨みつけ、倒れているグレイに駆け寄った。
アルカもすぐにとてつもない素早さでミラを抱え、ルーもよろめきながらも立ち上がる。
「行こう、立てるか」
「で・・・でもよォ」
その場を離れようとするエルザに反論するグレイ。
「あなたが出てきた以上、ザコにはもう用はありません。しかし後で必ず殺してあげますよ」
ジョゼがそう言うが、マカロフは何も言わない。
「私達がいたのではマスターの邪魔になる。全てをマスターに任せよう」
エルザのその言葉を聞き、全員はその場を立ち去った。
そしてその場にはマカロフとジョゼ・・・2人の聖十大魔道が残される。
「こうして直接会うのは6年ぶりですね。その間に妖精の尻尾がここまで大きなギルドになっていようとは」
ジョゼが口を開く。
「ふふ、もう潰れちゃいましたがね」
「ギルドは形などではない。人と人との和じゃ」
そう返しながら、マカロフは魔法陣を描く。
「しかし嬉しいですねぇ・・・聖十大魔道同士がこうして優劣をつけあえるなんて」
ジョゼも構える。
「全てのガキ共に感謝する。よくやった」
ジョゼの言葉を聞き流し、マカロフは尚も魔法陣を描き続ける。
「妖精の尻尾である事を誇れ!」
マカロフがそう叫んだ瞬間・・・強大な魔力が広がった。
雲が渦を巻く。
湖が突如荒れ始め、外で幽兵と戦っていたメンバーは驚愕する。
「なんだ!?」
「空が・・・」
「ひィイ!」
「うああ!」
雷が鳴り、稲光が走る。
「オイ!地面が!」
「地震!?」
「どうなってんだーーーーーっ!?」
それと同時に地震も起き始め、メンバーは更に慌てだす。
「ヒルダ」
「・・・とてつもない魔力を感じる。ここにいる私達全員が合わさっても足りないほど、強大な魔力だ・・・」
「そんなに強い魔導士・・・あの人しかいないよね」
「あぁ・・・俺達の親以外、あれほどの魔導士は思い当たらん」
スバル、ヒルダ、サルディア、ライアーはそう呟き、崩れた巨人を見上げた。
ジョゼの左肩が貫かれる。
マカロフの魔法によって。
マカロフの左肩が貫かれる。
ジョゼの魔法によって。
「デットウェイブ!」
ジョゼの右手に怨霊の様に不気味な魔力が集まり、地面を割りながらマカロフに向かう。
それを見たマカロフは印を切り、構える。
「はああああっ!」
それにより、巨人を中心に凄まじい量の魔力が溢れた。
「うおおっ!」
「ドラグニル!」
突然ギルドに広がった強大な魔力により、ナツは吹き飛ばされ少し下の床に落ちる。
瓦礫が落ちてきて当たり、「いてっ」と小さく呟いた。
同じ地点にいたティアは、クロスによって抱えられている。
「大丈夫ー!?」
「何だろ、今の・・・」
「解らない・・・強くて大きい魔力だが、不思議と温かい・・・」
ギルド全体から感じられる魔力にハッピーとクロスが戸惑っていると、ナツがニヤッと笑い、ティアがフッと口元を緩めた。
「こんな魔力の持ち主なんて・・・1人しかいないじゃない」
「おう・・・こんな魔力、じっちゃんしかいねぇ」
激しい戦いの末、マカロフとジョゼは互いに傷だらけの姿で睨み合っていた。
「たいしたモンじゃ。その若さでその魔力、聖十の称号を持つだけの事はある」
マカロフがゆっくりと口を開いた。
「その魔力を正しい事に使い、さらに若い世代の儀表となっておれば、魔法界の発展へと繋がっていたであろう」
「説教・・・ですかな?」
すると、マカロフは巨人へと姿を変えた。
火、水、風・・・様々な魔法を使う事の出来るマカロフが得意とする魔法、それがこの、巨人である。
「妖精の尻尾審判のしきたりにより、貴様に3つ数えるまでの猶予を与える」
左肩から血を流しながら、マカロフは巨人と化していく。
「ひざまずけ」
「は?」
マカロフの言葉に意味が解らない、というように言葉を返すジョゼ。
それを無視し、マカロフは3つ数え始める。
「一つ」
マカロフの言葉に、ジョゼは笑い声を漏らす。
「ははっ、何を言い出すのかと思えばひざまずけだァ!?」
「二つ」
「王国一のギルドが貴様に屈しろだと!?冗談じゃないっ!私は貴様と互角に戦える!いや、非常になれる分私の方が強い!」
ジョゼの口調が荒れる。
「三つ」
「ひざまずくのは貴様等の方だ!消えろ!チリとなって歴史上から消滅しろ!フェアリィィティィル!」
ジョゼが叫び終えたと同時に、マカロフはパン、と手を叩く。
「そこまで」
地面から強い光と、強い魔力が溢れる。
「妖精の法律、発動」
その瞬間、眩しい輝きがファントムのギルドから溢れたのだった。
後書き
こんにちは、緋色の空です。
フェアリーテイルの再放送を見ながら更新しているのですが・・・。
今回、星降ル夜ニなんです。
という事は、アイスメイク大好きな私にとってはグレイもリオンも出るんで見逃せないんですけど・・・レイヴンテイルのナルプディングがね・・・グレイばっかり狙うんで、1人ムカついているんです。あー、もうっ!
感想・批評、お待ちしてます。
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