ハイスクールD×D ~ もう一人の副会長は生徒会の切り札(ジョーカー)! ~
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第三話『副会長介入する!』
一誠サイド
「死んでくれないかな?」
………
……え?はい?
俺、兵藤一誠は生まれて初めてできた彼女、天野あまの夕麻ゆうまちゃんと楽しいデートをしていたはずだった。
今日までない頭を必死で捻って考えだしたデートコースを巡りながらいろいろな妄想をしながら、デートを楽しんでいたんだ。クライマックスはキス!?別れ際にキス!?とかもしやそれ以上のことも!?とか。
それでいつのまいか訪れた街外れの公園で、夕麻ちゃんが初デートの記念にお願いがあるといったので、喜んで聞こうと思ったんだが、
「………え?それって……あれ、ゴメン、もう一度言ってくれない?なんか、俺の耳変だわ」
聞き間違いだ。
そう思ってた。当たり前だ。だから聞き返したんだよ。
でも――――。
「死んでくれないかな」
また、はっきりと彼女はいった。笑いながら。そして、いつの間にか手に持っていた光の槍?彼女はそれを俺の方に振りかぶり、
「さよなら♪」
投げた。その光の槍はそのまま勢いよく俺の脇腹を―――――
「よっと」
ズバァ!
――――――貫かなかった。
「なっ!?」
夕麻ちゃんが投げた光の槍は、突如俺と槍の間に割って入った一人の人影によって切り裂かれた。
「やれやれ。どうやら間にあったみたいだな」
俺に背中を見せているその男は、この世の全ての暗闇を詰め込んだような、漆黒の大剣を肩に担ぎながらそう呟く。
「だ、誰よあんた!?」
夕麻ちゃんはその男を見ながらうわずった声でそう叫ぶ。どこか焦っているような、恐怖を感じているような、そんな声で。
「俺のことか?別にたいした者じゃない」
そこで俺はふと気づく。目の前の男が俺の知っている人物であることに。
「俺の名前は進藤羅来」
その人は、いつも俺たち三人組の邪魔をするイケメン(天敵)。
「そこのバカの先輩でもある」
でも困った時なんかはいつも相談にのってくれる優しい先輩でもあるその男。
「通りすがりの副会長さ…」
進藤羅来が、そこにいた。
「無事か、兵藤…」
気遣わしげに俺を見ながら先輩の口から発せられたその言葉に、今まで呆けていた俺は慌てて返答する。
「あ、は、はい!大丈夫です!!」
そんな俺の言葉を聞いて、進藤先輩は、くすりと笑う。
「その様子なら大丈夫なようだな」
……ハッ!しまった、俺としたことが。先輩の笑みに一瞬見とれてしまった。
しっかりしろ兵藤一誠!お前はエロに命をかけてきた男じゃないか!いくら先輩が中性的な顔立ちだからって、相手は男だぞ、男!いくらなんでもそれはないだろい「そろそろもどってこい(ガン!」「いってえええええええ!?!」
なんだ、なんだ!?急に頭に強い衝撃が!?!
顔をあげるとそこには呆れた顔をして進藤先輩がこちらを見ていた。
「なにを考え込んでいたかは知らないが、状況考えろばかやろう」
「す、すみません…」
俺の謝罪を聞いた先輩は、苦虫をつぶしたような顔をしてこちらを睨みつけている夕麻ちゃんに話しかける。
「それで?悪魔の縄張りに貴様のような堕天使がなぜいるんだ?答えてもらおう」
…悪魔?堕天使?先輩はなんのことを言っているんだ?
でも夕麻ちゃんは先輩の言っていることの意味がわかっているようで、嘲笑うような笑みを浮かべる。
「そんなこと、あなたみたいな下級悪魔にいう必要」
夕麻ちゃんがそこまでいった時、ヒュンと風を切るような音がしたかと思うと、先輩が持っていた黒い剣を、夕麻ちゃんの首元に添えていた。
「ヒッ!?」
先ほどまでの余裕はどこにいったのか、夕麻ちゃんの顔には恐怖の表情が浮かんでいた。
「(な、なんなのこいつ、この私がまるで動きが見えなかったなんて!?)」
そんな夕麻ちゃんを見据える先輩の目はあくまで冷静。そして冷徹だった。
――――――――――まるでなにも感情が無いかのように。
ゾクッ!
そんな先輩の目に、俺は一瞬恐怖を感じる。
俺たちはいつも先輩にとっつかまり、叱られ、しばかれているけれど、そんな中でも俺たちを見る先輩の感情は、決して嫌な感情ではなく、「まったくしょうがないな、こいつらは」というような、親が子供を見るような、呆れたそれでもどこか温かい感情だった。
しかし、今の先輩に瞳に宿るのは、そんな「見守る大人」のような意思ではなく、目の前の敵をただ排除するだけの、機械のように見えた。
そんなことを考えている俺のほうは見向きもせずに、先輩は夕麻ちゃんから視線を外さずに再び口を開く。
「勘違いするなよ女。貴様に拒否権はない。――――――――もう一度聞く。なにが目的だ?」
そんな先輩に、しかし意地があるのか夕麻ちゃんが未だ恐怖の感情を残しながらも無理矢理顔に挑戦的な笑みを浮かべる。
「も、もし答えないと言ったら?」
「簡単だ。その場合――――――――
――――――――貴様を切る。それだけだ」
その時の先輩の姿は、俺には死神のように見えた。
後書き
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