万華鏡
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第四十五話 運動会当日その四
「そういうの好きだから」
「だからなの」
「一緒って言われるとね」
弱いというのだ、これが。
そのうえでだ、彼女は琴乃の顔を見てこう言ったのだった。
「琴乃ちゃんもそういう攻めとか受けの話聞いたことあるでしょ」
「まあ何度かは」
「結構そういうの好きな女の子いるのよ」
「ボーイズラブとか?」
「歴史でもあるし」
日本の歴史では普通だ、そうした話も。
「ほら、織田信長にしてもね」
「あの人は特に有名よね」
前田利家に蒲生氏郷、森蘭丸とその相手も多い。
「武田信玄や上杉謙信もよね」
「江戸時代は普通だったから」
将軍達も楽しんでいた、徳川綱吉はそれこそ美少年の園にいてそこで学問や能を堪能していたのである。
「それがね」
「そのことは知ってるけれど」
「琴乃ちゃんはそういうこと興味ないのね」
「ううん、あまりね」
実際にそうだと答える琴乃だった。
「そういうのはね」
「だからなのね」
「うん、そうした趣味の女の子が多いっていうのも」
そうした話もだというのだ。
「知らなかったわ」
「男の子も萌えればね」
「女の子もなのね」
「そうなのよ」
そうなるというのだ、要するに。
「だからどっちもどっちなのよ」
「そういうことね、じゃあね」
「それじゃあなのね」
「お互い様ってことでね」
特に嫌悪したりせず割り切ってだというのだ、そうした話をしてだった。
そのうえでだ、皆着替える為にそれぞれの更衣室に向かった、琴乃も他の面々もすぐに体操服に着替えた、そうしてグラウンドに出ると。
もうかなりの数の生徒がいた、そしてそこには。
勿論琴乃以外のプラネッツのメンバーもいる、美優は白い上着と緑の半ズボンという格好だ。その姿で琴乃に右手を出して挨拶をしてから笑顔で言ってきた。
「よお、じゃあ今日はな」
「部活のリレーの時以外はね」
「ライバルってことでな」
つまり敵同士だというのだ。
「五人共な」
「そうよね、五人共よね」
琴乃も美優のその言葉に頷いて返す。
「一緒よ、ただね」
「ああ、正々堂々だからな」
「そうして勝負してね」
「そうしよう」
こう話してだ、そうしてだった。
景子もだ、笑顔でこう言うのだった。
「お互いベストを尽くそうね」
「勝ち負けも気になるけれどね」
里香もにこにことして言う。
「まずは全力を尽くしてね」
「正々堂々とね」
彩夏も言う、見れば景子は紫、里香は黄色、彩夏は赤とそれぞれ赤の半ズボン姿だ。その格好で話しているのだ。
その半ズボンの色についてだ、琴乃はふと気付いてこう言ったのである。
「今回は美優ちゃん以外色違いよね」
「ああ、あたしは緑だけれどな」
それでもだというのだ、その美優も。
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