| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

久遠の神話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十六話 中華街その十一

「扇な」
「中国風の扇ですね」
「それはどうだろうな」
「あっ、いいですね」
 上城は中田のその提案に明るい顔になり頷いた。
「それは」
「そうだろ、扇って女の子向けだしな」
「中華風だと中々格好いいですよね」
「ああ、だからな」
 それでだというのだ。
「いいと思うだろ」
「そうですね。実は最近学校で扇流行ってるんです」
「扇ぐ為にか」
「はい、後お洒落で」
「じゃあ丁度いいな」
「ですよね、それで中国風の扇ですか」
「お洒落でいいだろ」
 中田は中国の扇が結構好きだ、その個人的な感情も入れて言う。
「だからな」
「ですね。それじゃあ」
「女の子に扇tって絵になるんだよ」
「制服でもですよね」
「あれで結構な、特にな」
「和服だと」
「和服には扇だよ」
 この場合は当然日本の扇になる。
「まさにな」
「ああ、和服には」
「元々日本で出来たものだしな」
 扇の起源は日本だ、とある半島が言いそうだが違う。
「だから和服にはな」
「余計に合うんですね」
「あの娘和服は着るかい?」
「あっ、それは」
 上城は中田の今の言葉にも気付いた顔で応えた。
「実は」
「あるのかい?」
「殆どないというか」
 むしろ、と上城は話に入れて言う。
「着物を着たことは」
「ないよな」
「剣道着はあります」
 剣道部のマネージャーだからだ。
「そっちは」
「まあそれも着物だけれどな」
「それでも」
 着物はというのだ。
「ないです」
「今着物ってないからな」
「ですよね」
「浴衣位だろうな」 
 中田は考える顔で言っていく。
「それか新年の振袖な」
「日常生活で着てる人いないですよね」
「ああ、もういないな」
 中田は上城に言う。
「ましてや学生さんやOLになるとな」
「やっぱりいませんね」
「制服があるからな」
 それが通常の服になる、着物を着ることもなくなる。
「どうしてもそうなるんだよな」
「和服って動きにくいですし」
 それにだった。
「洗うのも手間がかかりいますしね」
「ああ、和服は本当に着てる人も機会も減ったよ」
「そうですよね」
「だから扇子もな」
 日本のそれもだった。
「中々難しいかもな」
「制服だと特にでしょうか」
「どうだろうな、何だかんだいってもな」
 上城は考える顔で言っていく。
「制服に扇もな」
「合います?」
「実際に見てみないとわからないな」
「そうですか」
「ああ、ちょっとな」
「じゃあとりあえずは」
 上城は考える顔で中田に言う。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧