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ワンピース*海賊と海軍、七武海と白髭。「永久の愛を」《1st》

作者:斎藤海月
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第一章
*エースとの別れ*
  雷が泣いた日。3

数分も経つとさすがのエースも息をかなり荒らし、


苦しそうに肩で息をしだした


そしてさっきまでは顔色が良かったはずなのに口から血がたくさん出始めた


リノ「エース…!!

もういいから!!もう謝らなくていいから!!」


そう言うとエースは言葉で言う代わりに首を横に振って


あたしの手を握った


ルフィ「エース!!」


今はもうあっちに行ってろ、とかいう状況じゃなく


さすがのミィルも発狂しながらもエースの血を止めようとしていた


レオン『ミィル落ち着け!!』


ミィル『だ、だってだってだって!!』


ルフィ「エース!!エース!!!」


エース「まだ…死んじゃあ…いねェーよルフィ」


ルフィ「死ぬなよ!!こんなとこで…死ぬんじゃねえよ!!」


リノ「エース…」


あたしがエースの左手を握ってて


蛆虫船長がエースの右手を強く掴む


さっきまでの少しだけ元気そうなエースの姿はもう無く、


今はかなり弱りきったエースがレオンの背中に横たわっていた


エースの命を表すかのようにさっき貰った指輪の炎が切なさそうにユラユラ揺れて


エースの左手の中指に嵌ってるあたしを表す雷は元気に揺れていた


ルフィ「世界に名を轟かせるんだろ…!?エース…!!」


エース「…悔いは…ねェ…」


ルフィ「嘘つけ!!!」


蛆虫船長の声に何も言い返せなくなったエースが切なさそうに黙る


二人の間で何が起こったのかは全然分からない


エースからは一回だけ、過去の話を聞いた事があったけど


何も言わずに二人の話に耳を傾けた


盾の外ではひたすらに誰かが盾を破壊しようとする音が聞こえても


丈夫な盾は壊れる事なく、盾の外でマールたちが暴れる姿が見える


ルフィ「お前・・・ぜってェー死なねェーって・・・言ったじゃねーかよ!!エース!!」


リノ「っ・・・」


エース「・・・ああ・・・そうだ・・・サボの件と・・・お前みてェーな弱い弟・・・守るべき存在がいたからな・・・

そうだ・・・お前いつか・・・ダダンに会ったら・・・よろしく言っといてくれよ・・・

俺が死ぬとわかったら・・・あんな奴でも懐かしい・・・」


ルフィ「だから・・・!!死ぬなって・・・!!」


エース「・・・心残りが・・・ある・・・

ルフィ・・・お前の夢の果てを・・・見られねーことだ・・・だけどお前なら必ず・・・やり遂げられる・・・俺の弟だ・・・」


あたしは涙が止まらなくて殆んど会話は耳には入って来なかった


ミィルがあたしに寄り添ってくれて


そんなミィルの気持ちにあたしはただただミィルを抱きしめて泣いていた


エース「・・・なぁルフィ・・・リノ・・・」


リノ「・・・何・・・?」


エース「俺は・・・この世に生まれてきても・・・良かったのか・・・?」


ルフィ「!!・・・当たりめーだろ!!」


蛆虫船長の言葉に一瞬だけ目を見開いたエースが嬉しそうに微笑むと、


エースがあたしを見るとエースを優しく抱きしめて言った


リノ「あたしには・・・エースしかいない・・・!エースしかいないんだよ・・・?

エース・・・生まれて来てくれて・・・ありがとう・・・!!」


震える声でも涙声だったとしても気にせずに


ありのままの気持ちをいうとエースの嬉しそうな声が耳元で聞こえた


エース「リノ・・・」


リノ「何・・・エース?」


エース「耳を・・・貸してくれ・・・」


リノ「・・・?・・・」


言われた通りにエースの唇の前に右耳を近づけると


あたしたちにしか聞こえないぐらいの声で言った


エース「__、_________。」


リノ「!!!・・・エース・・・!!」


左手で口元を抑えて涙を流すとエースが嬉しそうに微笑む


エース「・・・なあリノ・・・俺の・・・頼みを聞いてくれねーか・・・?」


リノ「頼みって・・・?」


エース「・・・自由に・・・生きろ・・・!」


リノ「!」


エース「自由に生きる事で・・・もう誰もお前を縛ったりはしない・・・

・・・お前を・・・苦しめる奴もいなくなる・・・」


あたしが何も言えなくて


何を言い返せばいいのかと悩んでいたらエースが目を閉じた


そして何も話さなくなったエースの姿に


あたしと蛆虫船長が顔を見合わせると蛆虫がエースを揺さぶった


ルフィ「エース・・・?エース・・・!」


リノ「エース…?」


エース「・・・もう・・・大きい声は出せねーが・・・後から皆に伝えてくれ・・・

親父・・・皆・・・そして・・・ルフィ・・・リノ・・・今日まで・・・こんなどうしようもねー・・・俺を・・・鬼の血を引くこの・・・俺を・・・愛してくれて・・・ありがとう・・・!!」


ルフィ「!」


リノ「っ・・・」


悔しそうにしたエースが涙を堪えると次の瞬間・・・


・・・・・・・・・嬉しそうに微笑んで目を閉じた


ルフィ「・・・エース・・・」


リノ「そんな…」


蛆虫船長の近くにあったエースのビブルカードが炎によって燃やされ、


残った紙の燃えカスが風によって飛ばされた


ビブルカードが消えて無くなった時はビブルカードの持ち主が死んだ証拠、


そしてあたしたちの前にいるエースがたった今、命を引き取った証拠


リノ「エース・・・エース・・・!!」


ルフィ「エース・・・!」


さっきまではあたしたちを守っていた盾が少しずつ力を失うように


盾にところどころの穴が開き始めた


あたしたちを守っていた盾がすっかり消えると


一瞬で戦場が静かになり、全視線があたしたちへと集まった


リノ「エース!!・・・お願いだから・・・死なないで・・・!!」


レオン『・・・リノ・・・』


リノ「ずっと・・・傍に居てよ・・・!!ずっとずっと・・・傍に居てよ・・・!!

エース・・・もう嫌いだなんて言わないから・・・!!お願いだから・・・目を・・・覚まして・・・!!」


冷たくなったエースの左手を両手で包んで言ったとしても


あの優しかったエースは戻ってこない


いつも変なことばっか言って何かと気にかけてくれたエースは戻ってこない


あたしが悪いのになかなか自分から謝ろうとしなくて優しく抱きしめてくれるエースはもう、戻ってこない


〝これで仲直りだ〟って言って優しくキスをしてくれるエースはもう、この世界にいないって事だけが分かると


涙は止まる事なくひたすらに流れ続けた


リノ「エース・・・!!エース・・・!!!こんなの嫌だよ…!!!」


エルノ「リノ・・・!!」


遠くから聞こえるエルノたちの声が今では耳に入る事はなかった


近くにいるレオンやミィルの声でさえもあたしの耳に届くはずはなく


目を瞑って思い出すのは今まで一緒に旅をしてきて、


色んな顔をしたエースの姿だけだった


笑った顔、


寂しそうな顔、


何かを考える顔、


泣きそうな顔、


悔しくて泣いた顔、


怒った顔ももう見る事は出来ない


聞こえていた蛆虫船長の声が行き成り聞こえなくなり、


さっきより一層、蛆虫たちの恐怖の叫びが聞こえる


レオン『なんだ・・・?』


ミィル『!アレを見て!!』


レオン『・・・?』


二人の声で顔を上げると


大きなマグマがあたしたちの方へと向かってくると


咄嗟にレオン、エルノ、ラフューが前に飛び出す


赤犬「今度はお前らだ!!麦わら!!

そして自分の犯した罪を思い知れ!!海姫!!!」


リノ「嫌……!また、離れるなんて…嫌だよ……!」


傍に居てくれるって、エース約束したじゃん


絶対にもう離れないからって


あたしが泣いて他の男の腕の中で慰めて貰うぐらいなら


喧嘩しても絶対に傍から離れないから、って…!


リノ「…ねえ…スキ、って……大好きって……言って、よ……!


あたしの名前、呼んでよ……!


置いてかないで…!


置いて行かないでよ……!


もう…独りは、嫌ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


ミィル『リノ!!』


大きな雷が敵味方関係なく無造作に落ちると


レオンたちが驚いた顔であたしを見た


エルノ「リノ止めろ!!正気に戻れ!!!」


レオン『リノ、お前はもう帰るべきだ!

こんな所にいるとお前自身が麦わらのようになるぞ!!』


さっきまでは聞こえていた蛆虫船長の声に、


目の前にいる蛆虫を見ると


気絶をして今にでも倒れそうになっていた


ミィル『リノ・・・もう・・・帰ろう・・・?』


リノ「っ・・・エース・・・が・・・!」


マルコ「リノ!!」


すぐ近くでエースとは違う暖かい炎が近づいて来ると


マルコは倒れているエースを見て息を呑んだ


けどまだ終わった訳じゃなかった


赤犬「まだだァァァ!!!」


倒れていたはずの蛆虫が起き上がると


さっきとは違った力強いマグマを身体に付けてあたしたちを襲おうとした時、


盾が蛆虫の行く手を阻むとすぐに落雷が蛆虫を狙った


何も出来ないあたしとは違って盾が尽く蛆虫の行く手を阻んでくと


四方八方から聞こえるこっちに向かって来る鉄砲の音に


落雷がピンポイントで全ての攻撃を落とす


今度はマリンフォード全体を破壊するかのように落雷が色んな所に落ち始めた


「うわああああ!!!」


「逃げろォォオォ!!!」


エルノ「リノ!!止めろ!!」


マルコ「リノ!!」


多分、マルコがあたしの肩を強く揺さぶっていたとしても


あたしは何も反応出来なかった


あたしたちが犬猿の仲みたいな感じだった時は


マルコがあたしに触れようと触れなかったとしてもすぐに電撃を浴びせていたのに


今だと何にも出来なかった 
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