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万華鏡

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第四十四話 高校の運動会その三

「やっぱり性格だからね」
「性格悪い奴って性別問わずいたくないし」
「交際相手、特に結婚相手としてはね」
「いい人じゃないとね」
「ルックスよりもまずはね」
 そうしたものが大事だというのだ、このことはその通りだった。
「性格よね」
「絶対にそれよね」
「それが第一よね」
「里香ちゃんもそう思うわよね」
 こうした話の後でだ、クラスメイト達は里香に話を振った、里香は話を聞きながらずっと描き続けているのだ。
「やっぱり」
「うん、私も好きなタイプの人はいるけれど」
 それでもだとだ、里香も話すのだった。
「それでもね」
「性格よね、やっぱり」
「それよね」
「うん、性格が悪い人は」
 里香は眉を曇らせてそのうえで話した。
「どうしてもね」
「付き合っても大変だからね」
「意地悪い奴とかあまりにも自分勝手な奴とか」
「ダメンズ?古い言葉だけれど」
 所謂駄目男である、駄目男にも色々だが中には本当にどうにもならない輩がいる。
「暴力振るう奴とかね」
「偉そうにしているだけの奴とか」
「人間誰でも欠点はあるけれどね」
「それでもよね」 
 もう話すのだった、今絵を描いている面々で。
 その中でだ、里香は今描いているその三代将軍を見て言った、同じ三代将軍といっても室町幕府や江戸幕府の将軍とは比べられない。
「こうした人はね」
「特にこの人の親父さんはね」
「またあの人の話になるわね」
「けれど実際に酷いからね」
「そうなのよね」
 その酷さ故にどうしても話題になる、いい話ではない。
「確かあれでしょ?初代も元々偽物だったのよね」
「あれ本名じゃないらしわよ」
 あの国の国家主席として公表されていた名前は嘘だというのだ。
「何かソ連にいたって?」
「ゲリラ戦の英雄だったとかじゃなくてね」
「そもそも年代が合わないのよね」
 その抗日戦の英雄とするなら若過ぎたのだ、それで最初からおかしいという指摘があるにはあったのだ。
「だからどう考えても偽物ってね」
「実際は山賊か何かだって聞いたわ」
「えっ、泥棒だったの」
「そうみたいよ」
 山賊にしろ強盗にしても少なくとも抗日共産ゲリラなどではなかったことは事実だ、間違っても何処かの山を拠点として戦ってはいない。
「山で白馬に乗ってる絵もあったわね」
「あっ、それ有り得ないわ」
 里香がその話、はっきり言えば質の悪い架空戦記を否定した。
「山で馬はね」
「動きにくいからよね、山で馬は」
「それでよね」
「それもあるけれど」
 馬は平地で乗るものだ、だからモンゴルで馬が足になっているのだ。
「白馬は目立つし」
「滅茶苦茶目立つわよね」
「白いだけに」
「しかも馬は食べるから」
 牛馬の如く喰らうという言葉がある、とにかく馬草を大量に喰らう。それで飼うにはコストもかかったのである。
「とても。山でゲリラをして乗るのはね」
「有り得ないわよね」
「どう考えても」
「私軍事関係は詳しくないけれど」
 だが馬のことは知っている、それで皆に話すのだ。 
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