転生者が歩む新たな人生
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第41話 修学旅行-3日目- その1
さて、修学旅行3日目である。
今日は生徒達は基本自由行動である。班毎に行動するように事前に目的地を提出してもらっているが、ぶっちゃけ時間内に帰って来ればどういう行動をとってもオレ達先生の方では把握しきれなかったりする。
なお、オレ達先生の方は全員生徒らに何かあったときに対処できるように基本旅館待機だったりする。
朝食も終わり、今日の行動予定を考えながら昨日崇宰さんに桜咲に宛てられた封書を渡すために探していると、ロビーで東西の戦争の引き金を無意識に引きかけた期待の魔法使いのネギが神楽坂と桜咲と朝倉とネギの肩に乗ったカモが仮契約カードについて認識阻害もかけずに話している。
今更過ぎるが魔法の秘匿はどこに行った………。
まぁ、ネギと話しても無駄だし、関わりたくもないので、朝の挨拶だけを交わし、桜咲に「昨日呼び出された関西のお偉いさんからの封書」とだけ話して渡し、自分に与えられた部屋に戻る。
これで特に問題が発生しなければ、ほぼ1日自由時間を満喫できるはずだ。
部屋でまったりしているとノックがされ、誰かと誰何すると先程封書を渡した桜咲らしい。
とりあえず、「どうぞ~」と言うと、「失礼します」と言った桜咲を筆頭に先程の4人が雪崩れ込んでくる。
相変わらずやかましい神楽坂がぎゃぁぎゃぁ騒いでいるが、応対すると話しが進まないのでスルーして桜咲と話す。
「どうしました?」
「実は………」
そう言いつつ先程の封書をオレに見せてくる。
内容はと言うと大別すると「今までの実績を鑑み、桜咲刹那の近衛木乃香の護衛の任を外す」「中部魔術協会の魔術師である遠坂暁に関西総本山までの近衛木乃香の護衛を依頼する」の2つだ。
………。
頭痛ぇ。
どうやら神楽坂達は桜咲が木乃香の護衛の任務をハズされ、オレが護衛を任され、木乃香を総本山まで連れて行くというのが納得いかないらしい。
任務については、まぁ仕方がない。西の大物からの正式な依頼だ。断れないし、旅館からどうやって抜け出すかという問題はあるが、原作と違い木乃香が魔法を知っており、ミッド式の魔法を使えるので、転移魔法を隠れて使えば4~5回の転移で安全圏に着くだろう。崇宰さんが西の姫とも言える木乃香の身の安全を考えたら妥当の依頼と言える。封書の内容を見る限り、桜咲の麻帆良での行動はかなり疑問視---8割方オレの報告が原因だろうが---されており、東に取り込まれていると判断しているようだ。
まぁ、神楽坂がぎゃぁぎゃぁうるさいのは木乃香や桜咲のことを思ってと考えればわからなくもない。
問題なのは関西呪術協会からの指令とも言えるこの封書の内容をネギ達に見せる桜咲だ。
例え親しくても別組織というか敵対組織の人間に組織からの指令を見せるとか何を考えているんだろう?
これはもう東に取り込まれていると崇宰さんが判断しても仕方がないだろう。
仮に桜咲が「関西呪術協会の意向よりも木乃香との友情を優先する」と考えているなら何故この封書をオレに見せるんだろう? 無視して行動すればいいのに………。
ホント何考えているのかわからない。
「関西呪術協会の依頼はわかりました。打ち合わせするのでとっとと出てって下さい」
終いには朝倉やネギまで騒ぎ出すので、「西の事情に東の人間が口を挟むな」と言ったんだが、友情がどうの、西の人間は信用できないだの言いたい放題だ。
事が木乃香のことでなければ学園長にでも連絡して丸投げするんだが。
そうも言っていられないので、学園長に「ネギ達が関西の任務を妨害するので何とかしてくれ」と電話する。
学園長にとっては強硬派がここまで強引に行動するのも、ネギが2連続で西を刺激するバカな行動を取るのも想定外だったんだろう。ネギ達にかなり厳しめのことを言ってこの場を治めた。
まぁね。知らなければともかく、ここで強引に西からの正統な依頼であるオレの邪魔をして、木乃香の身に何かあったら本当に戦争が起きる。それを考えるとネギの行動はヒヤヒヤものだろう。
とにかくそんなわけでオレが木乃香を護衛して総本山へ連れて行くことになった。
未練がましく「親書を届けるのと一緒に行こう」とふざけたことを言うので、その親書がどんなに西の人間を刺激しているのか説明してやった。
朝倉はそこそこ頭が回る方なので、もしかすると自分が昨夜しでかしたことがどいういうことなのか認識したのかも知れない、顔を真っ青にしていた。
ネギは魔法使いという幻想を、神楽坂は学園長や高畑といった身近な身内を信じたいため、「嘘だ!」と反論してきたが、別にこのことについてオレは2人と話したいわけじゃない、「信じないなら好きに行動すれば?」と突き放す。
桜咲だけは思い当たる節があるんだろう、驚愕していたが。
☆ ★ ☆
とにかく依頼を果たすために木乃香には念話で話す。
大体の事情は察したんだろう「(わかった)」と返答が来た。
その後、崇宰さんに連絡し、「木乃香の親が怪我をした」と旅館に電話してもらう。
後はもうとんとん拍子であれよあれよという間に木乃香は実家に顔を出し、付き添いのためオレが同行するとという話しにする。
桜咲が「友達だから付いて行く」と随行しようと悪あがきするが、日頃木乃香と仲良く行動していないので、「他人の家庭のことだから身内だけで」という正論に屈する。オレはまぁ教員としての付き添いだ。元々木乃香の地元だから必要あるかどうかというラインなので、担任でなく副担任としてオレが付き添うというカタチだ。
なお、千雨には念話で、龍宮と長瀬には会って事の次第を話し、自由時間及び旅館でのクラスメイト達の護衛を依頼しておく。まぁ、強硬派も問題の焦点である親書と木乃香が離れれば、襲ってくることは無いだろうが、念のためである。なので自由時間については一緒に同行するクラスメイトのみという範囲だが。
で、生徒達が動き出す時間の前にタクシーを呼んでとっとと移動する。
これでネギ達は一緒に行動できない。
まぁ、がんばって親書でも何でも届ければいいさ。
その後、どうなるかは知らんがな。
ちなみに旅館の最寄り駅でタクシーは降り、2人でさっと人影が無いところに移動し、封時結界を極小の範囲で張り、ミッド式の転移をしたので、追いかけるのはさすがに無理だろう。
後書き
刹那自爆回です。
次回は戦闘があるかも?
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