Angel Beats! the after story
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記憶戻しの野球試合編
記憶戻しの野球試合①
夏も甲子園の準決勝を迎えている。
じりじり照りつける日差しに額に汗が出る。
口の中は土の味が微かにする。
後ろには頼もしい仲間。
味方ベンチからは声援が聞こえてくる。
俺もその周りの影響か心に熱い何かが込み上げてくる。
その中、俺たちは野球の試合をしていた。
キャッチャーの声が聞こえる。
「4回しまっていこーー」
威勢のいい掛け声にみんなが答える。
「「「「おおーーー」」」」
「音無ーー肩の力抜いてけー」
セカンドを守っている日向が俺に向かってアドバイスしてくる。
肩に力が入っていたのだろう、俺は日向に言われた通り深呼吸をし肩の力を抜く。
「おう」
俺も大きい返事で返す。
「音無くーん、いくら草野球でも、自分の全てを一球一球に込めるのよー」
「音無さーん、がんばってー」
「音無っちー、日向先輩の足引っ張らないでくださいよー」
ベンチからは声援が聞こえてきた。
「プレイボール」
審判の合図がもっと俺の心を熱くする。
そして、バッターボックスに打者が入りバットを構える。
絶対打ち取ってやる。そう思いながら俺はボールを握っている右手に力を込める。
立っているマウンドで振りかぶる俺はゆりに言われたことを思いだしながら一球一球に全てを出す気持ちで俺はボールを投げた。
☆
時は遡って日向たちと出会ってから3日たったある日、俺のケータイが鳴った。
「もしもし」
「音無、俺だ日向だ!今すぐきて欲しいんだ。」
「ちょっ、待てよまず説明しろ」
「すまん。説明はあっちでするからだから早く来てくれ。」
重要な用事なんだろうと察した俺は細かいことを気にせず続きを聞く。
「分かった。どこに行けばいい?」
「場所はだな───」
「わかったすぐに行く。」
「待った。動きやすい服装でこい」
「わかった」
俺は急いで支度をし家を出た。
今俺は河川敷近くの野球場にいる。
野球場といってもドラ○○○なんかに出てくるような場所だ。
そこで何をしているかと言うと、当たり前のように野球の練習をしていた。
「ってどういうことだよ!」
俺は手にしていたグローブをおもいッきり地面に叩きつける。
「どういうことだ日向!、説明しろ!」
俺は暑さのせいでもっとイライラする。
「悪い悪い騙すつもりはなかったんだよ。たまたま試合前にメンバーが1人かけてさ」
「なんで俺なんだよ!他にいるだろ」
俺の怒りはピークに達していた。
「しょーがないだろ、俺のケータイに入ってる連絡先はここの連中と
お前の友達とお前とユイしか入ってないんだからよ!」
それを聞いた瞬間
「あの、その、なんかあんなに怒って悪かったなごめん。」
どんだけ寂しいやつなんだよと思いつつ怒り鎮める。
「いや、こっちこそ騙したような真似してごめんな」
「お互い様だろ」
「ほんっとお前っていい奴だな」
俺らのところにくる人が見えた。
「こんな午前中から一線超えるようなことしないでくれる。」
向かってきた人はゆりたちだった。
そんなことよりもさっきの言葉を否定する。
「「俺たちはそんな関係じゃね!」」
息のあった俺と日向の言葉が余計に怪しくしたらしい。
「やっぱりね」
「音無さんまさか…」
「先輩嘘ですよね、私より音無っちを選ぶなんて」
思わぬ方向に話が進んでいる状況に俺と日向は言葉が出なかった。
「ユイちゃん、男ってこんなものよ」
なんとしてでも誤解を解くために俺らは全力で弁解する。
「誤解だ、かなで!俺と日向はそんな気持ち悪い関係ではなく、
もっと純粋に「付き合ってる」んだ。ってゆりお前俺の言葉にかぶせてくんな!」
俺はゆりの方を見るとゆりはとぼけて口笛を吹いている。
(甘いな音無弁解というのはこうするのさ)
日向は小声でそんなことを言いユイの前に立つ。
「ユイ、聞いてくれ!俺の性癖はいたってノーマルだ、だから俺は
「音無」が好きだ!」ってうおォい、ゆりてめぇーなんで言葉をかぶせてくんだよ!」
またしてもゆりは口笛を吹いている。
そんな俺たちの弁解を聞いた2人はというと
「安心してください。私は音無さんが誰と付き合ってようと私たちは友達ですよ。」
かなでの優しすぎるその言葉に違う意味で涙が出てくる。
そして日向たちはというと
「やっぱり先輩は私より音無っちの方が好きだなんて私たちの関係は遊びだったんですか…」
「ちっがーーう!断じて違うぞ!俺が好きなのは「音無」だーーー!ってまたかよ」
今、弁解をすることを諦めた俺は日向に同情しながら見ている。
「そ、そんな 夕日に向かって叫ぶみたいに断言されたら私もう…」
もう諦めたらしい日向は上を向いて自分の青春に別れを告げていた。
そんなとき、ゆりが笑顔でいう。
「かなで、ユイちゃんもうこの辺にしときましょ、あまりからかいすぎると可哀想だからね」
「からかう」という言葉に俺と日向は反応した。
「私も見てて可哀想になってきちゃいましたから。」
「先輩たちの慌ててようマジで面白かったすよ。」
突然の変化に戸惑っが俺たちはようやく今の状況に納得がいったが
「「ふ、ふ、ふざけるなーーー!!俺たちがどれだけ泣きたくなったかわかってんのかよ」」
「音無、お前はまだいいだろ俺なんて青春とお別れしてたんだぞ」
俺たちは力なく地面に座り込んでしまった。
「からかったりして悪かったわね、ユイちゃんがどうしてもしたいっていってたからついね」
「ほんとにごめんなさい音無さん、日向さん」
「先輩の壊れっぷりよかったっすよ。」
いきなり日向が立ち上がりユイの前に立つ。
「お前が、お前が仕組んだのかよーー!」
日向がユイを綺麗な卍固めで攻撃している。
「ギブギブ先輩許してください。」
ようやく日向の気が収まったのだろう、ユイに向かって何か言おうとしていた。
「俺は怖かったんだぞ、ユイと一緒にいられないと考えると正気を保てなくなっちまう。」
「先輩そんなに私のことを思ってくれるなんて…」
いきなりユイが頭を下げて謝った。
「ごめんなさい。私、先輩の気持ちも知らないでこんなことしてほんとにごめんなさい。」
ユイが正直に謝ったからだろう、日向の顔はいつもの優しい顔に戻っていた。
「ユイ…」
「先輩…」
ものすごくいい感じのところに1つの野球ボールが飛んで来た。
「痛っ!」
ボールは綺麗に日向の顔に当たり日向は痛さに悶えていた。
「大丈夫かーー日向ーー。」
多分、日向の入ってる野球サークルの仲間が間違えて投げてしまったのだろう。
「大丈夫だーー」
大丈夫ではなさそうだが本人が言うのだからそうに違いない。とそんなことを思っていると
ゆりが
「ねぇ、あんたたちそろっと野球の練習しといた方がいいじゃないの?」
日向はすっかり忘れていたのだろうゆりのおかげで気づいたらしく慌てる。
「そうだった。音無早く肩をあっためにいくぞ!」
「まだやるとは言ってないぞ。」
日向は急に立ち止まり地面に土下座した。
「音無一生の願いだ試合に出てくれ頼む。」
土下座まで見せられた俺は渋々返事をする。
「あーもう、分かった出てやるよ。」
「ありがとおーー音無!」
「肩あっためるならサッサっと行こうぜ。」
「おう。」
俺たちはグローブを手にし肩をあっために行くのだった。
後書き
1話完結の話にしようとしましたが、あれもこれもしたいという欲で
2、3話ぐらいの話になりそうです。
続きも出来る限り早く更新するのでウキウキしながら待っていてください。
では、記憶戻しの野球試合編の始まりです。
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