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ヘタリア大帝国

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TURN98 サイボーグ外相その四

 ソビエト軍はヘリでの攻撃を止め砲撃戦に入ろうとする。ソビエト軍伝統のその攻撃にだ。
 横隊を何列も組む、そうして。
 一斉に射撃を浴びせようとする、しかし東郷にもそう来ることはわかっていた。
 彼は全軍にすぐにこう告げた。
「全軍散開だ」
「一旦ですね」
「ここは」
「これだけの砲撃に密集していては損害を増やす元だ」
 だからだというのだ。
「ここは散陣だ」
「了解です」
 こうして全艦隊の全艦艇が上下左右に散開した、そのうえで敵の攻撃を各個にかわす。これで敵から受ける損害は激減した。
 その枢軸軍の散陣を見てロシア妹が言った。
「考えましたね」
「うん、広範囲の一斉射撃にはね」
「こうしたやり方がありますか」
「そう来るとは思わなかったね」
「全くです」
 こう己の兄に語る。
「敵も愚かではありませんね」
「そういうことだね。与える損害は予想の半分以下かな」
 皆無ではないがかなり減っている。
「参ったね」
「はい、しかもです」
 ジューコフも二人に言う。
「敵は散開しながらもこちらに攻撃を合わせてきています」
「そうだね」
 ロシアも見た、枢軸軍はただ攻撃をかわしているだけではなかった、各個にその攻撃も仕掛けてきているのだ。
 まるでスナイパーの様に攻撃をしてくる、それによってだった。
「こちらは一隻、また一隻と」
「倒されていっているね」
「散陣ですか」
 ジューコフは呻く様に言った。
「敵ながら見事です」
「パイプオルガンにはこうするやり方があるんだ」
「こちらは散陣を組めません」
 訓練の違いだ、ソビエト軍にこの陣形はないのだ。
「このまま攻撃をするしかありません」
「それしかないね」
「はい、このままです」
 ソビエト軍は攻撃を続ける、こうしてだった。
 集中攻撃を続ける、だがやはり損害を期待以上に挙げられず。
 それが終わった時だった、東郷は再び全軍に命じた。
「水雷攻撃だ」
「ではここで陣をですね」
「各艦隊でな」
 組みなおすと秋山に言う。
「敵に向かいながら組みなおす」
「わかりました」
「そのうえで敵に接近したところで攻撃を仕掛ける」
「はい」
 秋山も応える、そうしてだった。
 全艦ソビエト軍に向かいながら艦隊に戻る、そのうえで鉄鋼弾攻撃を仕掛けた。枢軸軍の鉄鋼弾の威力は相変わらずだった。
 ソビエト軍の艦艇を次々に撃破する、これで勝敗は半ば決した。
 枢軸軍の損害はソビエト軍の予想の半分以下、ソビエト軍の損害はソビエト軍の予想通りだった。これではだった。
「同志ジューコフ元帥、これでは」
「うむ」
 ジューコフはゲーペの言葉に応える。
「今回もな」
「撤退するしかありませんが」
「戦術で敗れた」
 枢軸軍の散陣戦術にだというのだ。
「これではどうにもならない。だが」
「だが?」
「ただ破れるわけにはいかない」
 その隻眼に意地を見せて言う。 
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