Element Magic Trinity
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ファントムMk2
「よっしゃー!」
「ジュピターは壊れたぞー!」
「はっはーっ!ナツをなめんなよ!」
ジュピターがナツによって破壊された事により、ギルドメンバーは歓喜の声を上げる。
「これで恐れるものはなくなった!敵を殲滅しろォォ!」
クロスの指示にメンバーは勢いづき、幽兵を倒していく。
一方、こちらはナツと兎兎丸。
「もうお前の魔法は見切ったぞ」
「たぞ」
「くっ・・・」
ガラガラ・・・とジュピターのラクリマ、壁や天井の瓦礫が崩れ落ちる。
が、その時、突如ファントムのギルドが揺れ始めた。
「何だ?」
「ま、まさか、アレをやる気か!?ここは水平維持の機能が無い部屋なんだぞ!」
「水平!?ぬぉっ」
その変化は、外から見えていた。
「え!?」
「た、立ち上がった!?」
「今度は一体何を・・・」
ヒルダはセルリヒュールから砲撃を放ちながらファントムギルドに目を向ける。
するとファントムギルドは、徐々に変形していった。
「お・・・おい・・・」
「何なの、アレ・・・」
スバルとサルディアが震える声で呟いた。
「うあああっ!」
水平維持機能の無い部屋にいたナツは転がっていく。
ゴン、とハッピーに小さい瓦礫が当たり、ポテッと気絶する。
「ハッピー!・・・おぷ」
ナツは慌ててハッピーの方を向くが、自分は揺れているせいで酔ってしまう。
「終わったな・・・これぞ我がギルドの最強兵器・・・」
兎兎丸も若干震えながら笑みを浮かべた。
「超魔導巨人ファントムMk2」
「な、何だよ、アレ・・・冗談だろ・・・?」
「巨人・・・」
これにはさすがのクロスも驚きを隠せない。
他のメンバーも驚きで絶句し、ロキが小さく呟いた。
ギルドの中にいるルーシィに変身したミラも驚く。
すると、巨人は足を上げ、ギルドに向かって歩いてきた。
「向かってきたぞ!」
「まさかギルドを踏み潰すつもりなの!?」
「そ、そんなの・・・私の魔法でも防ぎきれないぞ!」
「狼狽えるな!落ち着くんだ、お前達!」
狼狽えるスバル、サルディア、ヒルダにライアーが喝を飛ばす。
それに続くように、クロスも声を張り上げた。
「そうだ!今は目の前の敵に集中しろ!あの巨人はドラグニルが必ず止めてくれるはずだ!」
「だ、だけどさぁ、クロス君・・・」
「確かナツって、乗り物・・・」
「あ」
サルディアがおずおずと口を開き、スバルが困ったように呟き、クロスはナツの最大の弱点を思い出す。
「・・・全く」
ティアは呆れたように肩を竦め、呟いた。
一方、兎兎丸を倒し、ジュピターを破壊したナツは・・・
「お・・・おお・・・おぷ・・・」
完全にグロッキー状態と化していた。
「ど、どうしたんだ?コイツ・・・」
突然フラフラとし始めたナツを、戸惑ったように見る兎兎丸。
「お、おお・・・コレ・・・動いてねぇ・・・か?」
「コイツ、乗り物に弱いのかっ!しめた!逆転のチャンス!」
それを好機と見た兎兎丸は、右手の指を5本、左手の指を2本立て、そこから7色の炎を出す。
小さい炎は徐々に大きくなり、一体化する。
「いくら炎が効かんといっても、その状態でくらったらどうなるかな。我が最強魔法、七色の炎!」
「おおお・・・」
「くらえ!」
そう言って炎をナツに放つ・・・事は不可能だった。
「え?」
突然、兎兎丸の手首辺りまでが凍ったのだ。
「ええっ!?ちょっ・・・何よコレェ!」
その氷は徐々に兎兎丸を覆っていき、最終的には全体を覆い尽くす。
「お?」
そして凍った兎兎丸は巨大な獣の腕に捕まれた。
そしてそのまま。
「ああああぁぁぁぁぁぁ・・・!」
空の彼方へ飛んでいった。
ナツの視線の先には、4人の男・・・否、3人の男と1人の漢。
「情けねぇなァ、ナツさんよォ」
「仕方ねーか。お前乗り物苦手だもんな」
「漢なら乗り物なんぞ逆に酔わせてやれぃ」
「ナツ!大丈夫?」
そこには、グレイ、アルカ、エルフマン、ルーが立っていた。
ハッピーはグレイに抱えられている。
「おおっ!かっこよすぎだぜ!お前等・・・うぷ」
「これはジュピターの残骸か?」
「グッジョブじゃねーか、ナツ!」
「あい!」
「それにしてもさぁ・・・何で突然動いたり傾いたりしたの?エルフマン」
「俺に聞かれても知らん」
いきなりギルドが動き出した事に疑問を持つ一同。
すると、突然重々しい音を立ててギルドが止まった。
「ん?」
「止まったーーーーーっ!」
その瞬間元気になるナツ。
「動いたり傾いたり・・・一体何がしてぇんだ、ファントムは」
「オイラ、ちょっと外の様子見てくるーーー!」
アルカが首を傾げ、ハッピーは外へ飛び出していった。
外では、歩みを止めた巨人が何やら文字を書き始める。
「む、何だ?文字を書き始めたぞ?」
巨人が書く文字を見て首を傾げるクロス。
するとアイゼンフロウが大きく鳴き、それを聞いたサルディアが声を荒げて叫んだ。
「クロス君!アイゼンフロウが、あれは魔法陣だって!」
「何だと!?」
「つー事は、あの建てモン自体が魔導士っつー事かよ!?」
驚愕するクロスとスバル。
更にその魔法陣を見たヒルダが口を開いた。
「この魔法陣は煉獄砕破・・・!?禁忌魔法の1つじゃないか!」
「だとしたら、このサイズはマズイぞ!」
「えぇ・・・カルディア大聖堂辺りまで、暗黒の波動で消滅するわね」
ヒルダの言葉にライアーが慌て、ティアは驚愕の色を滲ませながら冷静に呟く。
それを聞いたハッピーは大急ぎでファントムギルドへと戻って行った。
「大変だー!ギルドが巨人になって魔法を唱えてるんだ!」
「ウソつけ!」
「ウソなんかつくかーーー!」
「とりあえずナツは黙って!ハッピー、その魔法って何なの!?」
ルーが無理やりナツを黙らせる。
「カルディア大聖堂まで消えちゃう魔法だって!」
「街の半分じゃねぇか!」
「そんな魔法有り得ねーだろ!」
「いあ・・・禁忌魔法ならあり得ると思うぞ!」
ハッピーの説明を聞いた5人は顔を見合わせ・・・
「止めるぞーーーー!」
「手分けしてこの動くギルドの動力源を探すんだ!」
「うおおおおっ!面白くなってきたァァァッ!」
「次から次へと飛んでもねぇ事をしてからにィ!」
「ファントムのバカーーーーー!」
巨人を止める為に手分けして動力源を探し始めたのだった。
一方、外ではクロスがが戦いながら、ミラと魔法陣について話していた。
「ミラジェーン・・・あの魔法が発動するまでどれくらいだ?」
「10分・・・ってとこかしら・・・」
「10分、か・・・長いようで短いな」
ふぅ、と溜息をつき、剣を振るう。
「何とかして動力源を壊せないかな」
「中にいる奴等も同じ事を考えているはずだ」
「ナツ以外にもいるの?」
「あぁ・・・フルバスターとシュトラスキー、それからイレイザーとストラウスがいる」
それを聞いたミラは目を見開いた。
「エルフマンとアルカ!?何で!?」
クロスは剣を地面に突き刺し結界を張ってから、ミラに目を向けた。
この結界の中に入ろうとしたら稲妻が身体に直撃する仕組みだ。
「何でという事もないだろう・・・あの2人だって」
「無理よ!」
クロスの言葉を遮り、ミラが叫ぶ。
「エルフマンは戦えないの!クロスだって知ってるでしょ!」
「戦えるだろう?支部に乗り込んだ時は活躍したと聞いたが」
クロスの言葉にミラは俯き、口を開く。
「アルカは戦えるけど・・・兵隊相手ならともかく、向こうの幹部との戦闘となったら・・・今の2人じゃ・・・」
それに対しクロスは小さく溜息をつき、剣を抜いた。
一振りし、小さく呟く。
「ミラジェーン・・・『あんな事』があって、君もストラウスもイレイザーも深く傷ついたけどな、あの2人はあの2人で前に進もうと努力しているんだ」
そう呟くと、再び戦場に戻って行こうとする。
が、何を思ったのかミラがギルドを飛び出し、戦場に出てきた。
「ミラジェーン!」
クロスがぎょっとしたように呟く。
「ミラちゃん!」
「バカ!ここは危ねぇって!」
「早く戻れ!」
変身魔法を敵に悟られないように小声で戻るよう促すサルディア、スバル、ライアー。
そんな3人の制止を振り切り、ミラは両手を広げて叫んだ。
「あなた達の狙いは私でしょ!今すぐギルドへの攻撃を止めて!」
奴等の狙いはルーシィ。
そのルーシィが戦場に出てくれば相手は攻撃する事を躊躇う・・・上手くいけば中止してくれるだろう、というのがミラの考えだ。
しかし・・・
『消えろ。ニセモノめ』
ファントムから返ってきた答えはミラが予想もしなかった答えだった。
『はじめから解っていたんですよ、そこにルーシィがいない事は。狙われてると知っている人間を前線に置いておく訳がない・・・とね』
「くそっ・・・」
全てを見透かしていたジョゼの言葉にクロスは悔しげに呟き、ミラは己の無力さに涙した。
一方、ファントムギルドのとある部屋では。
「ぬおおおおっ!漢エルフマン!妖精の尻尾はこの命にかえても守ってみせるゥ!」
「うおおおおっ!面白れぇが絶対ルーシィは渡さねぇー!渡さねぇぞー!」
叫びながらエルフマンとアルカが走っていた。
「それにしても何て部屋じゃい!」
「壁中に天使像があるぞ!」
カッカッカッカッとエルフマンの下駄の音が響く。
その時、2人の背後の地面がもこもこっと山を作った。
「む」
「ん?」
その山から、ぬぽんっと『大地のソル』が姿を現す。
「やあ」
「大丈夫だ。ストラウスもイレイザーも戦える・・・」
涙を流すミラを励ますように、クロスが呟いた。
後書き
こんにちは、緋色の空です。
次回はアルカが大活躍!・・・のはず!
感想・批評、お待ちしてます。
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