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ヘタリア大帝国

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TURN97 ソープ帝国その四

「枢軸側に降伏を打診しろ、すぐにな」
「それしかないね」
 モンゴルもランスのその言葉に頷く、こうしてだった。
 動きを止められ奇襲に失敗した元軍は枢軸軍に降伏を打診した、それを受けてだった。
 東郷は穏やかな顔でこう言ったのである。
「これで終わりだ」
「降伏を受諾されるのですね」
「ああ、そうする」
 隣にいる秋山に答える。
「いつも通りな」
「わかりました、それでは」
「戦わずに済むに越したことはない」
 東郷らしい言葉をここでも出す。
「そういうことでな」
「では」
 こうして秋山は元軍の降伏は受諾された、かくして元での戦いは僅か二月で終わった。その元に対して。
 東郷は降伏受諾と講和の場でこうランス達に言った、首相の伊藤と外相の宇垣、そして陸相の山下も同席している。内相の五藤は外交に関係がないのでいないが。
「そちらさえよければ枢軸に参加してくれないか」
「おい、いいのかよ」
 ランスは東郷の申し出に驚いた顔で返した。
「領土の割譲はなしだよな」
「そうだ」
「それに賠償金もなしでな」
「そのうえでだ」
 枢軸に参加して欲しいというのだ。
「太平洋経済圏に入ってもらいたい」
「また随分寛大な条件だな」
「枢軸に入るということは戦ってもらうということだが」
「それは常識だろ」
 ランスはこう東郷に返した。
「負かした相手を戦場の楯にするのはな」
「そこまではしないがな」
 東郷は楯にすることも否定した。
「戦ってもらうにしてもな」
「本当にそれでいいのかよ」
「その通りだ」
 あくまでこう言う。
「元も太平洋経済圏の一員になってもらいたい」
「ううん、こっちも一国だけじゃ限界があるしね」
 モンゴルは東郷の言葉に考える顔で返した。
「悪い条件じゃないね」
「はい、領土の割譲も賠償金もありませんし」
 このことはシィルも言う、今も馬の姿だ。
「連合国との戦争の参加で済むのなら」
「いい条件だね」
「敗戦国とは思えないまでの」
 そこまでの好条件だというのだ。
「ここは受けましょう」
「うん、コアイもそう思う」
 コアイもそれで賛成する。
「滅ぼされずに済むし」
「まあそれでいいか」
 ランスも腕を組んだままで頷いた。
「それじゃあな」
「この条件でいいですな」
「ああ、わかった」
 伊藤の言葉にも応える、こうしてだった。
 元も枢軸側に加わることになった、無論そこにいる者達も。
 ランスは元の枢軸への参加を決めたうえでその歓迎レセプションの場で東郷達にこう言ったのである。
「俺は元々こっちの世界の人間じゃないがな」
「ああ、そうらしいな」
「たまたま別の世界へのゲートを見つけてな」
 そこから来たというのだ。 
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