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万華鏡

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第四十三話 クラスではその七

「衛生管理も部活のうちだからね」
「そうですね、じゃあ御願いします」
「そのことは」
「しかも夏にも着てたから」
 このことも問題だった、夏のすぐ後が秋で運動会はその秋に行われるものだからだ。
「そのまま着たら匂いがね」
「着ぐるみの中って凄い匂いがするんですよね」
「そうみたいね」
 部長は彩夏の問いにも答える。グラウンドの木陰に座ってそれぞれが用意しているドリンクを飲みながらの会話だ。
「だから余計にね」
「ちゃんと洗うなりしてもらってですね」
「そうしてもらってからですよね」
「中には洗えそうにもないものもあるけれど」
 具体的には怪獣の着ぐるみの様なものだ、これを洗うのはというのだ。
「けれどね」
「それでもですね」
「どうにしかしてもらうんですね」
「ええ、衛生の為にもね」
 是非にというのだ。
「そうしてもらいましょう」
「よし、それじゃあ」
「それで」
 こう話してそしてであった、着ぐるみのことも部長がよしと言った。こうした衛生のことも話されるのだった。
 この日の部活は休憩の後で音楽の演奏の練習をしてから終わった、それでシャワーを浴びてすっきりとしてだった。
 プラネッツの五人も帰路についた、その中で。
 琴乃は横一列に並んだ五人の中央、自分の左隣にいる美優にこう尋ねた。
「美優ちゃんクラスの競技何に出るの?」
「ハードルな」
「それに出るのね」
「ああ、二百メートルのな」
 美優は舞台的な距離のことまで話した。
「それに選ばれたよ」
「そうなの」
「あたし運動神経いいって言われてな」
 クラスメイト達にだ、そう言われてというのだ。
「選ばれたのよ」
「そうなの」
「自分ではそうは思わないけれどな」
 鞄を左手に持ち首を捻っての言葉だ、腕も組んでいる。
「それでもなんだよ」
「選ばれたの」
「ああ、そうなんだよ」 
 こう琴乃に話す。
「微妙だと思うけれどな、あたしは」
「いや、美優ちゃん運動神経いいわよ」
 美優の左から景子が言ってきた。
「部活でもわかるわよ」
「ああ、走る時にか」
「瞬発力もジャンプ力もあるから」
 サーキットトレーニングから見てわかったのだ、こうしたことは。
「いけるわよ」
「そうか?」
「というか美優ちゃん中学の時運動部だったでしょ」
「陸上部な」
 そこだったと話すのだ、尚琴乃はバスケ部だった。
「結構走ったよ、あの頃は」
「だから選ばれたんじゃないの?」
「そうか・うちの部も運動部多いけれどな」
 美優は首を捻りながら景子に応えた。
「それでもか」
「多くても他の競技にどんどん投入するんじゃないの?」
「そういえばうちの体育委員張り切っててな」
 運動会に勝つ為にだ、燃えているというのだ。 
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