| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

久遠の神話

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十五話 刃の使い方その一

                    久遠の神話
               第五十五話  刃の使い方
 王は広瀬が出した蔦達を見ていた、ニオイツタによく似たそれは蛇の様に蠢きそのうえで彼を前から百八十度で覆おうとしていた。
 その蔦を出してからこう言う広瀬だった。
「このまま覆ってだ」
「窒息させる」
「若しくは締め上げる」
 そうしたものだというのだ。
「あんたをそれで倒す」
「木の力といっても色々だね」
「植物全体を使うものだ」
 それは木だけではないというのだ。
「時には花も使う」
「いいね、私も花は好きだよ」
「ロマンチストか」
「中国人は昔から花が好きでね」
 このことは事実だ、国花は梅であり牡丹や蓮といった花も昔から愛されており漢詩にも多く歌われている。
「特に薔薇が好きだよ」
「薔薇か」
「そう、薔薇がね」
 それが好きだというのだ。
「料理に飾るのもいいね」
「中華料理に薔薇か」
「今考えてるんだよ、中華料理に薔薇は斬新だね」
「フランス料理ならよくあるがな」
 薔薇は食用花だ、だから料理にも使われるのだ。
「中華料理にはないな」
「そうだよ、だから考えてるんだよ」
「面白いな、その料理を俺も食いたくなった」
「それはどうも。その時はご馳走するよ」
「なら今のうちに降伏しろ」
 蔦に潰されるより前にだというのだ。
「早いうちにな」
「やれやれだね。私はこれ位は何でもないんだがね」
「破れるというのか」
「そうさ、楽にね」
 ただ破れるだけでなくそこには余裕もあるというのだ。
「だからね」
「なら破ってみるのだな」
「そうするよ。そう、刃は絡まれれば使えない」
 王もこのことはよくわかっていた。
「しかし絡まなければそれでいい」
「斬るか」
「こうしてね」
 王は持っているその剣を今回も肩の高さに置いた、だが今度は真横だった。
 そこに置いてそしてだった。
 剣をその場所から左に半月で大きく振った、すると振られると共に。
 剣は巨大化した、それまでは一メートルもなかったがそれが六メートル程度になった。
 その巨大な剣を何度も振る、ただ巨大ではなかった。
 かなりの速さで振る、その剣でだった。
 蔦達を全て断ち切った、王はそのうえで剣を右肩に抱えて笑いながら言った。
「こういうことだよ」
「巨大化か」
「これも私の力なんだよ」
「それも金の力か」
「その通り、私の力は金属を自在に操れる力だからね」
「金属である剣もか」
「こうして巨大に出来るんだよ」
 そうなることだった。
「こうしてね」
「そうだな」
「さて、ダイアだけれど」
 王は出したそれの話もした。
「わかっているね」
「この世で最も硬いな」
「そう、最高の硬度だよ」
 話されれるのはこのことだった。
「勿論木よりもね」
「硬いな」
「ずっとね」
「それでか」
「このダイアは防げるかな」
 こう言うのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧