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万華鏡

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第四十三話 クラスではその一

               第四十三話  クラスでは
 琴乃は運動会においてはクラスでは特に出番がなかった、本当に何もなかった。
 それでだ、こうクラスメイト達に言うのだった。
「私の出番は次なのね」
「そう、文化祭ね」
「その時に頑張ってもらうから」
 クラスメイト達も琴乃にこう返す。
「だからね」
「ちょっと待ってね」
「そうなのね、それじゃあね」
 琴乃も彼女達の言葉に頷く、そしてだった。
 運動会ではこれといって何もしなかった、発言もしなかった。クラスでは体育会系の部活の面々が元気だった。
 だがその彼等もだ、こう言うのだった。
「じゃあ文化祭の時頼むな」
「そっちは文化系の人達に任せるから」
「運動会はこっちで仕切らせてもらうけれど」
「次は頼むわよ」
 こう言うのだった、そうした順番は決まっていた。
「あと応援宜しく」
「これは皆でやろうね」
 その応援の話になった、それはというと。
 文化系の面々もだ、こう言うのだった。
「そうそう、応援もポイント高いからね」
「そういうのも得点になるからね」
 八条学園の運動会は応援も得点に入る、それで皆応援も必死になるのだ。
「やっぱりチアリーディング?」
「それか応援団?」
「どっちも服あるし」
「それじゃあな」
 応援団の服はあの伝説の長ランである、今では巷で見ることはなくなった。だがそれを使おうという話も出て来たのだ。
「長ランにボンタン?」
「男も女も」
「それで襷もして」
「ハチマキもして」
 こう話すのだった、このことは体育会系も文化系もなかった。
「あとは着物ね」
「ああ、団長さんはね」
 応援団の特徴だ、大学の応援団は団長は着物なのが伝統だった。袴である。
「それも着てよね」
「やっぱりそうしないとね」
 団長はというのだ。
「それじゃあやっぱり」
「着物も用意して」
「衣装部に貸してもらって」
「うちの衣装部本当に色々な服一杯持ってるからね」
「有り難いよね」
 こう話すのだった、だが。
 ここでだ、女の子の一人がこんなことを言ったのだった。
「ただ、服を借りるのもいいけれど」
「?何かあるの?」
「服を借りて」
「いや、何か服に付いてたらね」
 そうなっていればというのだ。
「危なそうだから」
「ああ、インキンとかか?」
 ここで男子生徒の一人が応えた。
「それか?」
「まあね、それよ」
 女子生徒も苦い顔で応える。
「それが問題なのよ」
「女の子でインキンは言えないよな」
「頭ではわかってたけれどね」
 だが言葉としては出せないというのだ。
「その辺りはね」
「女の子が言えないからな」
「悪いわね、代わりに言ってくれて」
「いいさ、とにかくな」
 服の問題もあった、借りるそれのだ。
「服を借りてもな」
「そう、ちゃんとクリーニングしないとな」
 駄目だというのだ、肝心なのはここだった。 
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