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八条学園怪異譚

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第四十三話 白蛇その十四

「その先生もじゃ」
「太ったとか?」
「髪の毛がなくなった」
「確か先生今三十四よね」
 つまり茉莉也の担任だった頃二十九歳だったというのだ、三十四でもまだまだこれからという頃からであろうか。
 だが、だ。その先生の場合はというと。
「それでなの」
「嬢ちゃんが卒業してからのう」
「一気にきたのね」
「今では落ち武者状態じゃ」
「ううん、そこまでなの」
「人は太り禿げる」
 そうなっていくというのだ。
「だから注意するのじゃよ」
「私もなのね」
「そういうことじゃ。さて」
 そんな話をしているうちに夜の小学校の校舎の中に入り一年三組の教室に入った、そしてでだった。
 三人で教室の中央を開けた、うわばみも本来の姿に戻った。徐々に巨大化して色も変わった、巨大なアオダイショウの姿になった。
 それでだ、酒とつまみを出した。二人の持ってきた焼酎とつまみもだ。
 つまみは柿の種等だ、うわばみはその柿の種とピーナッツを食べ焼酎を飲みながら二人にこんなことを言った。
「この焼酎もじゃ」
「好きなのね」
「美味しいのね」
「結構好きじゃ」
 言いながらさらに飲むうわばみだった。
「芋なり黒糖なりな」
「そうなのね、持って来てよかったわ」
「重かったしね」
 四リットルだ、背負っていてもそれなりの重さがある。
「そんなに美味しいのね」
「じゃあどんどん飲んでね」
「二人も飲んでくれ」
 うわばみは上機嫌で二人にこうも言った。
「今日は大阪の酒じゃよ」
「ああ、これなの」
「このお酒なのね」
 二人はおちょこの中の酒を飲んだ、その酒がだというのだ。
「大阪のお酒なの」
「そうだったの」
「大阪は昔から酒の名産地じゃった」
 それこそ摂津、河内、和泉と呼ばれていた頃からだ。とはいってもその頃はまだ濁酒だった。
「酢も作っておった」
「お酒から出来るからね、お酢って」
 愛実が言う、食堂の娘である彼女がだ。
「それでなのね」
「ふむ、わかるか」
「だってお家でいつも使ってるから」
 その酢をだというのだ。
「まあ最近お酢も色々あるけれどね」
「酒の酢だけではないのか」
「色々あるわよ、りんご酢とか蒲萄酢とかね」
 そうしたものが色々あるというのだ。
「何種類もね」
「そうなのか」
「スーパー行けばそれこそね」
 所帯の話をどんどんしていく、愛実の真骨頂である。
「数えきれない位あるから」
「詳しいな」
「だってね、普通に目に入るから」
「そうなのか?」
 普通に目に入るというこ言葉にだ、うわばみは突っ込みを入れた。
「目に入るのか」
「入るでしょ、スーパーに行けばね」
「そうそう、お塩とかお砂糖とかもね」
 聖花はこうしたものを話に出す、この辺り二人は一緒だった。
「一杯あるわよね」
「何種類もね」
「ううむ、塩は塩、砂糖は砂糖だけではないのか」
 当然酢もその中に入る、うわばみはこのことを知り唸るばかりだった。 
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