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魔法少女リリカルなのは~過去を捨て今を生きる者~

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空白期編
  ノリが探偵

 
前書き
みなさんどうも、声優の神谷○史さんを本気で尊敬している作者です。
いい声してるよね、神○浩史さん。好き。うん、イケボ。
小野○章さんも好き。愛してるといっても過言ではない。
あと杉○智和も割と好き。キ○ンの声優だし。

それではっ
 

 
そんな毎日が続いていた中。
今日は一ヶ月の中、最初の土曜日で、母さんと父さんが帰ってくる日だった。

「ほら美愛、お皿並べてー」
「へーい」
「アリシア、そっちの鍋に少し塩入れとけ。ちょっと味薄かった」
「はいはーい。あ、陽龍。塩ってどこだっけ?」
「あ、それならこっちにあるよー」
「ありがと、美愛。じゃあ次は・・・」

二人が帰ってくるのは夜だから、オレたちでできるだけ豪華な食事を作っていた。
帰ってくるのは六時頃、今は五時四十分。
あと二十分。

「アリシア、あとどれくらいで終わりそう?」
「んー、デザートを含めると・・・十五分ってとこかな」
「おっけー余裕!ならこっちは仕上げに入るぞ」
「わかった」
「・・・二人の会話についてけない私はコップにジュース入れとこ」

そしてオレたちは余裕をもって迎えられるよう、少し作業を急いだ。


「たっだいまー!愛しの子供達よーーーっ!」

地下の転移装置から現れ、すぐさま抱きついてこようとする父さんを華麗にスルー。

「おかえり、母さん」
「ただいま。あら、今日も美味しそうな香りがするわね」

母さんは倒れる父さんを踏んづけながら優しく微笑む。
うん。下で「ぐえっ」とか言ってる父さんがいなければ絵になる光景だ。

「ほらほらおかーさん、はやく行こっ!今日も今日とておにぃとアリシアが頑張ってたんだよ!」
「美愛は頑張らなかったのね」
「うっ・・・わ、私はお皿を並べたり、ジュース入れるのに忙しかったんだよ!」
「まあ、美愛が料理しても困るだけだからねー。でも、今回はすっごい自信があるんだ!」

勢いが弱くなる美愛とは裏腹に、アリシアはドヤッという効果音が聞こえそうなくらいの表情。

「それは楽しみね。じゃあ行きましょうか」

母さんがそう言い、オレたちは地下を出て料理の待つリビングへと向かった。

「うぅ・・・お父さんは、お父さんは悲しいぞぉ・・・」

そんな悲しげな声など聞こえなかった。うん。


そして夜。
風呂上がりにリビングに入ると、母さんと美愛がソファに座って何かをしていた。

「ほら、ここの構造がこうなるから・・・」
「あ、ってことは、これはここに繋がるのか」

何かのモニターを開きながら母さんが美愛になにかを教えている。

「デバイスの構造について話してるみたいだよ」

二人がいるのは反対方向から声がしたから振り返ると、そこにはアリシアがいた。

「デバイスの構造?」
「うん。お母さんが仕事の残りをしてるのを見て、気になったんだって」

母さんの話を聞く美愛は、普段からは想像できないくらい真面目で、そしてなにより楽しそうな顔をしていた。

「じゃあここのコードは・・・ここに繋がってるのかな?」
「ああ、そこのコードはそっちじゃなくて、その手前のやつに・・・そう、そこ・・・って、あ。美愛、少し待って。通信が来てる」

すると、デバイスの構造が書かれているモニターの上に、誰かの顔が現れる。

「あら、カオリじゃない。どうかしたの?」
『・・・けて。助けて、イオリ・・・!春香が、春香が攫われた・・・ッ!』
「攫われた・・・?カオリ、あなた今、どこにいるの?」

カオリと呼ばれた女性は泣きそうな顔をしながらも、母さんの質問に答える。

『ヴァレスティア本社・・・お願いイオリ、春香を助けて・・・』
「本社ね?わかった、今すぐ行くから待ってて。大丈夫、絶対に助けてみせるわ」

そして通信は切れた。

「あら、陽龍とアリシアもいたのね。お母さんはこれからカオリ・・・妹のいる場所へ行くわ。あなたたちは・・・」
「行く」
「わよねぇ。いいわ。でも、これは遊びじゃないってことをしっかりと覚えておいて。じゃあ唯彦さんを呼んでくるから、準備をしていらっしゃい」

母さんはそう言ってリビングを出ていった。
そしてオレたちも何も言わず、部屋に戻って出かける支度をした。


「さ、ここが私の実家、ヴァレスティア家が営んでいる会社の本社よ」

転移した先で見たのは、何十階もある、海鳴ではなかなか見られないものだった。
母さんと父さんはそんなもの見慣れているのか、驚きもせずに中に入っていく。
そしてエレベータに入ろうとしたとき、警備員らしき人が話しかけてくる。

「すみませんが、ここから先は関係者以外は立ち入り禁止となっています」
「イオリ・ヴァレスティアよ。あなたは仕事に戻りなさい」
「し、失礼致しました!」

母さんは警備員相手にも堂々と接し、エレベーターを動かした。
オレの見間違いじゃなかったら、あの警備員の人、デバイス片手に持ってたと思うんだけど・・・。

「ほら、行くわよ」

・・・気づかなかったことにしよう。


「カオリ、いる?」

母さんは社長室と思われる豪華な扉を開け、言う。

「イオリ・・・?ええ、ここにいるわ」

すると中から弱々しい声が聞こえてきた。
部屋の中に居るのは通信の時に見たカオリさんだけだった。

「あら、そこにいる子供たちは・・・?」
「私の子供達よ。三人とも、挨拶して」

母さんに言われ、オレたちは挨拶を始める。

「浅賀陽龍です」
「双子の妹、美愛です」
「アリシアです!」

カオリさんはアリシアが名乗ったとき、少し不思議そうな顔をした。

「アリシア・・・?地球の、特に日本が好きなイオリの子が・・・?」
「わたしは養子だからだよ!・・・です!」

アリシアの敬語が敬語じゃなくなっていた。
テメーはどこの肉食リスだよ。

「というか母さん、春香って誰?」

今更だけど、ずっと気になっていたことを聞いてみる。

「ああ、まだ知らないのよね。春香・ヴァレスティア。カオリの娘で、今は九歳で、三人の一個下よ」
「春香・・・コッチの人なのに春香なんだ?」
「イオリの日本好きが私にもうつったのよ・・・。春香はとても頭のいい子で、教えてないことも知っていて、知らないことがあったら自分で調べる子よ。むしろ私の方が教えられることもあったわ・・・。なのに、なのにアイツが春香を・・・!」

カオリさんは顔をうつむかせ、拳を握る。

「アイツ・・・?」
「無限の欲望、ジェイル・スカリエッティ・・・」
「ジェイル・スカリエッティですって!?」

カオリさんの言葉に、母さんはとても驚く。

「ねえ、そのジャストミートってそんなにスゴイの?」

名前をしっかりと覚えられないかわいそうな美愛が尋ねる。

「無限の欲望、ジェイル・スカリエッティは管理局ではとても有名な次元犯罪者なのよ。でも、なんで・・・」
「わからない・・・でも、ジェイル・スカリエッティから通信が来ていたのよ・・・」

そういってカオリさんはその通信を大きいモニターに映して見せる。

『やあ、カオリ・ヴァレスティア。知っているかもしれないが、私は無限の欲望、ジェイル・スカリエッティ。キミの娘、春香・ヴァレスティアは貰っていく。返す気はないが、それでも足掻くというのなら明日の朝までに私の子供たちの誰かを見つけてみるといい。ヒントを授けている。それでは』

そして通信は切れた。
なんだよ、これ・・・。

「これが、今日の夕方・・・イオリに連絡する少し前に、机に置いてあったの。部屋は鍵をしていたのに侵入され、防犯カメラも作動しているのに何も映っていなかったわ」

カオリさんはその時の様子を教えてくれる。

「さすがは無限の欲望といったところかしらね・・・。なら、春香ちゃんを助けるには、その「子供達」を探すしか方法はなさそうね」
「子供「達」ってことは複数いるってこともわかるわ。ただわからないのは、どこにいるのか・・・。アイツはなにも言っていなかった。会社内にいるかもしれないし、外かもしれない・・・」
「いや、でも外っていうのは考えにくいわ。たぶん会社の中のどこかに潜んでいる可能性が高いわ。特に探さないといけないのはやっぱり、この社長室。なにか細工が施してあるかもしれない」
「さすがイオリ。推理力が高いわね。サーチを使ってもいいけど、魔法に反応しない可能性も考えられる。手探りの方が一番効率的かしら」
「でも一応サーチもしたほうがいいかも。陽龍、少し手伝ってくれるかしら」

あの姉妹の探偵顔負けな推理を見てボーっとしている中、急に話しかけられたオレは少し戸惑ったが、すぐにサーチを発動する。

「ヤミ、どこかおかしなところはあるか?」
<・・・いえ、どこにも反応はないです。でも、あの植木鉢がある近く、なんの反応もなく、逆に不審です。少し調べたほうがいいかもしれません>

ヤミの言う植木鉢はカオリさんのいるすぐ近くに置いてあるものだった。
カオリさんは植木鉢を実際に触って、おかしなところがあるかを確認する。

「特におかしな場所はないけど・・・あら、この枝、なにかついてる・・・?」

何もないかと思われた植木鉢だったが、植木の枝に何か紙のようなものがついていたらしい。
カオリさんはそれを手にとって見てみる。

「手紙・・・?えっと、『これを見つけられるとは、少し驚いた。そんなキミにヒントを与えよう。子供のうち一人は、屋上にいる。無限の欲望、ジェイル・スカリエッティ』ですって」

一言言いたい。
お前はオレたちを探偵にでもしたいのか。
完全にノリが探偵みたいになってきてるじゃねーか。

「と、とりあえず屋上だよね?私たち、行ってくるよ」

なんとなく雰囲気に負けそうになっていた美愛が口に出す。

「なら頼むわね。三人とも、気をつけて。私たちはまだこの部屋を探してみるわ。カオリ、あなたもまだ探すわよ」
「わかってるわ。イオリ、足を引っ張らないでよ?」

・・・うん、もうこの二人は探偵でいいと思う。
そしてその中、一人残される影の薄い父さんに少しだけ同情。誰も気づいてくれないもんね。

「陽龍、早く行くよ?」
「ああ、わかった」

そして誰も気づかない。ミッドと地球では時差があるのだろうが、今の時間、地球はもうすぐ十二時になることを。


「ところでおにぃ、屋上ってどうやっていくの?」
「おま、知らないで出てきたのかよ」
「いや、流れで」
「美愛、流れで動いてたらそのうちに後悔しちゃうよー?」
「ガーン。アリシアに諭された」
「でも、美愛よりアリシアのが普通に成績いいよな。授業態度含めて」
「おにぃに言われるととても言い返せない・・・」
「えー、じゃあわたしに言われたら言い返せるんだー」
「・・・ごめんなさい。どっちに言われても言い返せないです」
「「よろしい」」

とかいう会話が部屋をでてすぐにあったそうな。
 
 

 
後書き
そんなわけで事件発生。
美愛の扱いは別にひどくないです。デフォです。
そしてジェイルスカリエッティ略してスカさんがまさかの登場。
わーい、変態科学者(すかさん)だー。

それではっ
 
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