戦姫絶唱シンフォギア ~かりそめの復讐鬼~
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第一話 最後の光景、そして…
前書き
今回はほぼ原作通りです
____。
それは___それは、秋の空が青く感じられた日だったことを覚えている。
隣で静かに涙を流す少年がいた。俺はといえば、動くこともできず、ただじっと消えていくのを待つだけだった。
己という存在が消失していく。
塵も残らない。
__詰まるところ。俺は、復讐も果たせぬまま無意味に死んでくのか。
__死にたくない!
__このまま終わりたくなどない!
__このまま終われれば、終わってしまえば。
__俺は俊介に顔向けできない!
叫びは誰にも届かず__俺の意識は暗闇へと落ちていった。
二度と目の覚めぬ眠りのはずだった。
___
_____
_______
「__________。」
明けない筈の眠りから覚めたとき、世界は歌に包まれていた。
____side out
___side 響
その日、あの惨劇の日___私の…私たちの運命が大きく変わった。
その日は晴れ晴れとした空だった。
私、立花響は親友の小日向未来に誘われて人気絶頂中の「ツヴァイウィング」のライブに来ていた。
「未来、今どこー?」
でも、この日は珍しく未来が約束の時間を過ぎてもなかなか来なかった。
会場にはまだライブが始まってもないのに人がごった返していて、この調子だとまだまだ増えそうだ。もしかしたら人の波に飲まれて道に迷っているのかと思って電話をかけた。
「ゴメン!ちょっと行けなくなっちゃった!」
「うええ!?どうして!?今日のライブって未来が誘ったんだよ!?」
「盛岡のおばさんが怪我をして…。お父さんが今から車を出すって」
おばさんが!?心配になって容体をを聞いてみると怪我自体はたいしたことないみたい。
でも大事を取って未来のお父さんが病院まで送って行くらしい。
たしかにそれじゃあライブどころじゃないよね。だけど…
「私よく知らないのに〜」
しかも始めてライブを見にきたから結構心細いよ〜!
「本当にごめんね」
「えへへ、冗談だよ。気にしないで未来、おばさんにお大事にって伝えておいて。それから無理しちゃダメだよって」
「うん、伝えておくね。ありがとう響」
ブツン__と電話が切れた。
そっかー…未来これないのかー…。
仕方ないけどこれって
「私って、呪われてるかも」
ついついそう言ってしまった。
とほほ…。
「こうなったら一人で楽しんでやるー!」
__その後、私はライブ用のグッズを買って会場へ向かった。
_____
__________
会場の4階の席について20分。開演時間と同時にたくさんの白い羽が宙に舞い、下ステージに、ツヴァイウィングの天羽奏さんと風鳴翼さんの二人が現れた。
音楽が鳴り出し二人が歌を歌い出す。
「___すごい。ドキドキして目が離せない、すごいよ!これがライブなんだ!」
気づけば私はツヴァイウィングのライブ…歌に夢中だった。
「まだまだいくぞー!」
ステージの奏さん叫ぶ。会場は今日一番の大盛り上がりだ。
___誰もが今日のライブを、このまま幸せな気持ちで終えると…そう思っていた。
ドォオオン__!!
突然の爆発音。
大量の土煙。
会場中に悲鳴が響き渡る。
「ノイズだー!」「いやあああ!」
いつの間にか会場のあちこちに異形の怪物が現れていた。
_ノイズ。テレビでしか見たことない正真正銘の化け物。
人間だけを襲い、そして__
「助けてくれ!」「死にたくない死にたくない、いやあああ!」「うわああ、あああ!」
襲われた人間は炭になってしまう。
テレビで見たこと聞いたことそのままに、ノイズは会場の人たちを炭にしていった。
「…あ…ああ」
私はその嘘みたいな光景に逃げることもできなかった。
運良く、4階にいたのと、近くにノイズが現れなかったおかげで私はまだ生きていた。
『優しい手に包まれ…』
歌が聞こえた。
もうノイズだらけになっているはずの1階の中心…そこから歌が…。
「あれは…え?」
その歌声、姿は間違いなくツヴァイウィングの二人だった。
二人は_ノイズを相手に鎧と武器を手に戦っていた。
誰が信じられるの__?
あのツヴァイウィングが戦うなんて__。
ピシ__。
「え」
某然と二人を見ていると、下から音が聞こえてきた。
見ると足元に亀裂が走ってきて__
「きゃああ!!」
そのまま崩れ、戦場となっている一階に落ちていった。
_______
「…っ痛」
膝から血が出ている。
「うああ…」
目の前にはノイズの群。
5……6……9…。
数えるのも馬鹿らしい数。
一体でも絶望的なのに、三体のノイズがこっちに向かってきた。
「うあ、うわああああ!」
私は死を覚悟して強く目をつぶった。
「うおおお!」
ザシュ__。
いつまでも襲ってこないノイズを不思議に思い、目開けると
鎧を纏い槍を持った奏さんと
上下に別れたノイズが目の前にいた。
__奏さんが、私を助けてくれたんだ。
「駆け出せ!」
奏さんが叫んだ。
慌てて頷き、痛む膝で出来るだけ速く走り出す。
速く。速く。速く逃げないと__!
会場の出口までノイズはいなかった。
そこから逃げられる!
ドドン___!
勢い良く何かが壊れる音。
___________ドッ
___吹き飛ぶ私の体。
___胸から噴き出す大量の血。
そのまま私は後ろの瓦礫に叩きつけられ、前のめりに倒れた。
…もう私には何かを考えることができなかった。何故私が倒れているのかもよく分からない。
「おい!死ぬな!」
朦朧とする。
「生きることを諦めるな!」
その言葉で、何とか目を開けた。
私の肩を支える奏さんが必死の形相で顔を覗き込んでいた。目を開けた私を見て安心したような顔をしていた。
そのまま私を瓦礫に持たれかけさせ、ゆっくりとノイズへと歩いて行く。
『_____』
「…歌が聞こえる」
不思議な歌。
それは最後の歌だった。
暗くなっていく私の意識その中で見たもの___それは、、、
一斉に崩れていくノイズと
ノイズと同じように崩れていく奏さんの姿だった。
___
____
_____
「……私…生き…てる」
次に目が覚めたとき目に写ったのは天井と。眩し過ぎる照明だった。
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