問題児たちが異世界から来るそうですよ? ~無形物を統べるもの~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
Tain Bo Cuailnge ⑧ & 大祓 ⑦
「じゃあ、こっちから行くぞ!」
一輝は右手で湖札に殴りかかる。
湖札はそれを右手で応戦するが、ぶつかる前に一輝の左手のブレスレットが光り、組紐になって一輝の右腕に巻きつく。
そして、二人のこぶしはぶつかり、湖札がダメージを負った。
「いっつ・・・」
「まだまだ行くぞ!」
湖札は右手を押さえて下がるが、一輝はそれを追って攻撃を仕掛ける。
一輝は一切容赦せず、湖札に向けてこぶしを振るうが、湖札はそれをよけ続ける。
反撃してこないのは、喰らったらまずいと思っているからだろう。
そして、一輝が湖札の後ろにあった木に拳を当て、突き刺さった隙に湖札は距離を置く。
「それ・・・なに?結構ダメージがでかいんだけど。」
「なんでもないよ。ただのセスタスだ。ちゃんとした名前はあるらしいけど・・・それはいいか。」
「いや、神様に明確なダメージを与えるものが“ただの”、なわけないでしょ。名前は?」
「気になるのか。」
一輝はそういいながら、セスタスを構える。
すると、一輝の背後にタイヤの一つ一つが人の背丈の二倍はありそうな、巨大なダンプトラックのヴィジョンが現れ、
「製作者いわく、“象られた力”だそうだ。」
「だそうだってことは、製作者がいるの?」
「ああ、そうだ。」
一輝はそういいながら、セスタス・・・象られた力で殴りかかる。
が、さすがに湖札もそれを喰らう気はないので、よけながら一輝の腹に攻撃を喰らわせる。
思いっきり殴った後で隙だらけだった一輝は、それをもろに喰らって吹っ飛ぶ。
「いってー・・・なにすんだ!」
「さっきまでの仕返し。それは喰らったらまずいけど、避けやすいし、もう当たらないよ。」
「まあ、そうなるよな・・・仕方ない。」
一輝はそう言いながら象られた力をブレスレットに戻す。
「にしても・・・それは一体何なの?セスタスを持ち歩きやすくしただけ?」
「んなわけないでしょ。こんなことも出来るよ。」
一輝は左手を上に上げ、ブレスレットを起動する。
すると、ブレスレットは光り、姿を消す。
「!次はどこから・・・」
「こっちもいるぞ!」
一輝は獅子王と巨剣を抜き、湖札に斬りかかる。
「気をとられてたらもろに喰らうぞ!」
「警戒しないとか、無理だよ!」
湖札は消えたブレスレットを気にしながら、一輝の攻撃をかわし、攻撃を返す。
そのせいか、湖札の攻撃は一発も一輝に当たらず、一輝の攻撃をかわすのはかなり危うい。
「《そろそろかな。》霊格開放!ダイダラボッチ!」
一輝の持つ巨剣が巨人の姿になり、湖札に向かう。
「ああもう!何でこうもいやなタイミングで顕現させるかな!」
湖札は一瞬警戒を外し、ダイダラボッチを殴り飛ばそうとするが、
「戻れ!降り注げ!」
一輝はその瞬間にダイダラボッチを回収し、空から大量の剣を降らせる。
これが、先ほど一輝がブレスレットで行ったことだ。
「わ、ちょ、これをどう避けろと!?」
「避けさせるつもりはないぞ~!そのために数で攻めてんだ!」
もちろんだが、一輝の周りには一切降ってこない
そして、逃げ続けるのにも限界が来たのか、湖札は剣に当たるが、
「あれ?痛くない?」
「あ、やっぱり?そんな気はしてたんだよな。」
湖札は驚くが、一輝は大して驚いていない。
「どういうこと?」
「数を張れば威力が落ちるってこと。反比例みたいに片方が増えれば片方が減る。絶対量が決まってるんだろうな。」
「なるほどね。なら、私は別に避ける必要がないんだ。」
湖札はそうと分かると避けるのを止め、一輝に風の刃を大量に放つ。
「仕返し!」
「ってなるよな~。」
一輝は剣の雨をブレスレットに戻し、再び起動する。
今度は、分厚いガラスの覗き窓のついたタワーシールドだ。
一輝の背後に浮かび上がるのヴィジョンは、暴力鎮圧部隊。
一輝はその後ろに隠れ、覗き穴から湖札の様子を窺いながら風の刃を防ぐ。
「どうにかなりそう・・・だな。」
「だね。まあ、仕返し程度だからいっか。さっきの雨とそれにも名前が?」
「ふむふむ・・・雨のほうは、俺の勝手なイメージだからないって。でも、タワーシールドには“一九八四年”って名前があるそうだ。」
「何で年号?」
「・・・聞いてみたけど、“気分だ”だそうだ。」
「そんな適当でいいんだ・・・」
二人して呆れている。
そして、一輝が全て防ぎきり、一九八四年をブレスレットに戻すと、再び龍蛇の双剣を抜く。
「じゃあ、もういっちょいくか。」
「うん。まだゲームは終わってないしね。」
二人は再び、力をぶつけようとするが・・・
それは、大地の地殻から立ち昇る、それ以上の脅威によって妨害された。
ページ上へ戻る