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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~

作者:biwanosin
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煌焰の都

さて、煌焰の都にいる問題児達は、耀の突風に運ばれ、煌焰の都の象徴である、巨大なペンダントランプの上に乗った。
その際にヒビが入ったような音がしたが、問題児達が気にするわけがない。

「おお!思った以上に絶景じゃねえか!」
「ええ。炎と硝子の街だけあって、まるで地上の宝石箱だわ。」
「うん。アンダーウッドとは対照的な景観。」
「ここから眺めてるってのも大きいよね。」

一番目立つように設置したものの上から眺めれば、景色もすばらしいものになるだろう。

そんな風に眺めていれば、当然注意をするものも出てくるが、問題児達はそんなことを気にもせず、真面目に悪戯を決行していく。

「さて、そろそろ弁当にするか?」
「うん、一輝、お願い。」
「了解。」

一輝は、倉庫の中から城下で買っておいた弁当を全員分取り出し、配っていく。

仲良く昼食を取りながら、歓談を始める。
ちなみに、一輝の弁当はラーメン。カップなどではなく、普通の完成品だ。
いくら時間がたっても伸びず、冷えず、こぼれることもないあたり、箱庭は凄い。

「そういえば、春日部はまだ参加するゲームが残ってるんだろ?」
「うん、火龍誕生祭でも参加した“造物主の決闘”。今回はリベンジ。」
「ふふ。今回こそ勝てると良いわね。」
「楽しそうだな~。俺も参加すればよかった。」
「何か創作系のギフトはあるのか?」
「お札がOKだったらしい。」

そんな会話をしているうちにも、耀は三つのおにぎりを頬張り、頬袋をいっぱいにしている。
下のほうでいまだに怒鳴っている人がいるが、四人にとってはBGMでしかないので、気にしない。

「で、十六夜はこれからどうするんだ?」
「俺?今日は散策にでも行こうと思ってたし、特に予定はないな。お嬢様に付いて行ってからはノープラン。」
「あら、珍しい。普段は考えすぎなくらい計画的に過ごしているのに。」
「そうか?一人で魔王に挑んで行った一輝に比べれば、たいしたことじゃねえだろ。」
「それ、今は関係ねえよな。」
「まあ、一輝はやりすぎだけど、」
「オイ。」
「たまにはそういう日があってもいいと思うよ。十六夜は普段から色々考えすぎだし、一輝は考えずに動きすぎ。もう少し周りの速さに合わせて生きて欲しい。」
「それはなんとも難しい注文だな。俺としては今でも十分に歩幅を合わせて生きているつもりだぞ。少なくとも、一輝よりは歩幅を合わせてるはずだ。」
「俺がまったく合わせてないみたいに言うな。お前よりはよっぽどましなはずだ。」

まあ、二人とも何でもかんでも解決していこうとするので、そこまで違いはない、と思われる。

「さて、そろそろ別行動に移るか。俺とお嬢様はジャックたちと合流してくる。」
「私はゲームに参加。一輝は?」
「メイドたちも、何か色々とやりたいことがあるらしいから、自由にしてるし、適当に散歩でもするよ。」

まあ、そのやりたいことが一輝関係ばかりなのだが、本人は知る由もない。

そんな気楽に話す四人の背後には、憤怒の闘気を纏い、仁王立ちをする黒ウサギがいるのだが、やはり四人は無視をし、弁当を食べきる。

「では、ここで一時解散とするか。」
「だな。いや~散歩しがいがありそうだ。」
「で、飛鳥はどうするの?」
「どうするも何も、私は皆と違って一人じゃ降りられないわ。誰かに下ろしてもらわないと。」
「なら、確かまだ水があった
「その前に黒ウサギが叩き落してあげます、この問題児様方あああああああ!!!」

スパパパパァアン!!!!と、勢いよくハリセンが振るわれ、四人はペンダントランプから叩き落される。

「じゃあ、俺はもう行くな。」
「「「行ってらっしゃい。」」」

それでもなお、問題児達は通常運転である。
だが、そうも行かず、

「待たんかー!」

しばしの間、亜龍との鬼ごっこをすることになった。



         ===================



「あー・・・疲れた・・・」

一輝は、黒ウサギたちとは別ルートで逃げることでお説教を回避し、一人散歩をしていた。

「にしても・・・やっぱり凄いよな、ここ。」

一輝の視線の先には、七色の炎を放つキャンドルランプ、それに群がる炎の微精霊、極寒の土地にはとても似合わない。

「もといた世界だと、あんな小さいのすら殺すやつらがいたからな~。ホント、見境がない、金の亡者だらけだよな。」

一輝は誰かがいるわけでもないが、誰かに話しかけるように言う。
一輝は何の返答もない、そう思っていたが、

「うん、本当にそんな人ばっかりだったね、兄さん。」

予想外なことに返答があり、慌てて振り返る。

「でも、父さんもそうだったし、一族全体で見れば、私たちの家系も、金の亡者だと思うよ。ともあれ、久しぶり、兄さん。」

そこには、一輝がもう長いことあっていない、一輝の妹。
湖札が、立っていた。
 
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