マッドライバル
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第六章
「そうですよね」
「まあな、とにかくな」
「とにかくですね」
「そうじゃ、とにかくじゃ」
さらに話す池上だった。
「戦艦の一部が落ちてビルを破壊してもじゃ」
「いいんですね」
「構わん、どうせ衆院選と参院選で壊滅している政党じゃ」
つまり惨敗したというのだ、両院の選挙で。
「今更な」
「まあ確かに野党に返り咲きましたけれどね」
度重なる失政と失言、スキャンダルでだ。幾らマスコミが擁護してもネットもある今こうしたことは国民の間にすぐに伝わる。
それでだ、この政党は今や凋落の一途にあるのだ。それで坂上君も話すのだった。
「だからですか」
「そうじゃ、今更本部が壊れてもな」
「どうということはないんですね」
「わしは最初からどうでもよいと思っておるしな」
ビルが倒壊しようがどうなろうかというのだ。
「むしろ崩壊した方がよいであろう」
「遂に本部も、だからですね」
「絵になるではないか、しかも誰の役にも立たん政党じゃ」
少なくとも日本と日本人の為には一切なっていない。
「ではよいな」
「そういうものですか」
「うむ、ではこのままじゃ」
砲撃戦を続けるというのだ、そして実際に。
戦艦はビーム射撃を続ける、それは倉田の飛行船もだ。
その気球、ラグビーボール型のところの先端からビームを放つ、それで池上の戦艦との応酬を続ける。その中で。
倉田は仁王立ちしたままだ、こう安曇さんに言うのだ。
「いい感じね」
「今は五分と五分ですね」
「ええ、勝負はこうでないとね」
面白くないというのだ。
「だからね」
「このままでいいのですね」
「そして最後はね」
勝負の最後の最後、その時にだというのだ。
「勝てばいいのよ」
「それも劇的に、ですね」
「そうよ、それでこそ面白いでしょ」
互角で勝負を進めそして最後の最後に鮮やかに勝てばいいというのだ。こう豊かな胸を誇示しながら言うのだ。
「だから今もね」
「ではこのまま」
「ええ、攻撃を続けていくわ」
こう話してそしてだった、飛行船も砲撃を続ける。何時間も移動しあいつつ激しい攻撃を続け。
双方同時に突撃を仕掛けた、鮮やかな劇的な勝利の為だ。それで体当たりを仕掛けたのである。
戦艦も飛行船も凄まじい轟音を出して激突し合った、凄まじい衝撃が辺りに起こった。そして双方共であった。
急降下していく、池上も倉田もその中にいる、だが彼等は全く動じていない。
それでだ、それぞれの助手にこう言うのだ。
「案ずるでない、例え地面に激突してもな」
「この飛行船は壊れはしないわ」
「ちゃんと衝撃のことも考えて設計しておる」
「私達が傷つくことはないわ」
全くだというのだ、そして実際に。
両艦共激しく落下した、しかし艦はかなりのダメージを受けても完全に壊れてはいなかった。それでふらふらとしながらも宙に上がった。
そのうえでだ、池上は衝撃を受けながらも何とか立ち上がっている坂上君にこう言ったのだった。
「沈んではいないがのう」
「ダメージは大きいですね」
「これ以上の戦闘は無理じゃ」
流石にだというのだ。
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