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ベイサイドの悪夢

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第九章

「本当に」
「それでボーナスも、というのはな」
「出ることは出ますしね」
「そこまでというのはな」
「流石にムシがいいですかね」
「いいこともそこまで揃うことはな」
「ないですね」
 キッドニーは今度は明るく笑って言った。
「やっぱり」
「そうだな、ではだ」
「そのことはいいとしてですね」
「満足しよう」
 この状況にというのだ。
「これでな」
「そういうことですね、とりあえずは」
「今夜か」
「何処かで乾杯しますか?」
 彼の方から誘うのだった。
「酒場で」
「そうだな、それならな」
「警部はいい店知ってますか?」
「中華料理でどうだ」
「チャイナですな」
「そうだ、あの国の料理の店だ」
 そこだというのだ。
「それで乾杯するか」
「いいですね、それじゃあ」
「酒も揃っている店だ」
 ビールも他の酒もだというのだ。
「楽しくやろう」
「ええ、それじゃあ」
「おそらく後で警視、いや警視正からもお祝いのパーティーに招かれるがな」
「あの人だとあれですね」
「ああ、寿司だ」
 それだというのだ、彼が招いてくれる場所で出る料理は。
「それになるからな」
「寿司バーですね」
「日系だからな、あの人は」
「寿司お好きらしいですね」
「だからな、それだ」
「寿司もいいですけれどね」
「今はチャイナでどうだ」
 中華料理、それでだというのだ。
「ではな」
「はい、それじゃあ」
 こう話してそしてだった、二人はホイットマンが紹介したチャイニーズレストランで乾杯をした。一連の事件が終わっての祝杯はこのうえなく美味いものだった。


ベイサイドの悪夢   完


                                  2013・8・1
 
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