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第六章

「全く以て」
「そうみたいだね、ただ」
「ただ?」
「女の子にはその方がいいね」
 新島は女の子の側に立って考えてみてこう言うのだった。
「やっぱりね」
「それはそうですね」
「うん、あれは完全に下着だから」
 下半身のラインが完全に見える、しかもそのデザインがだというのだ。
「あれじゃあね」
「はく方はたまらないですね」
「だからね」
 女の子としてはなくなってよかったというのだ。
「それでよかったと思うよ」
「そうなりますね」
「うん、それにしてもね」
「それにしてもとは?」
「君もそうした趣味があるんだね」
 新島はその若い部下の顔をまじまじと見て言った。
「そうなんだね」
「そうした趣味ですか」
「何ていうか、コスプレかな」
「ははは、コミケとかである」
「いや、この場合はそちらじゃなくてね」
 新島もコミケのことは知っている、だが今連想したのは。
「むしろ風俗かな」
「イメクラですか」
「そんな感じだよ」
「実はここだけの話ですけれど」
 男同士でしかも新島が口の固い相手だからだ、この若い部下は彼を信頼してそのうえでこう言ったのだった。
「実は俺そうしたお店が」
「好きなんだね」
「時々行ってます」
「彼女はいないのかな」
「一年前に別れまして」
 それでだというのだ。
「それから時々は」
「そうしているんだね」
「そうなんです、けれど俺イメクラには行かなくて」
 ではどういう店に行っているかというと。彼はこのことも話した。
「デリヘルとかホテトルとか」
「そうしたところなんだね」
「コスチュームあるお店やホテルがあるんですよ」
 そのどちらもだというのだ。
「そこに本当に時々ですけれど」
「成程ね」
「そうしてます、それでブルマも」
 話に出したそれもだというのだ。
「結構好きでして」
「女子高生の制服もだね」
「いいですよ、刺激があって」
 彼は新島ににこにこと、というかにへらっという感じの好色な笑顔で話した。
「コスチュームも」
「そうなんだね」
「何時かまた彼女が出来たら」
 その時の浪漫もだ、彼は新島に話した。
「そうした服を着てもらって」
「楽しみたいんだね」
「服は色々ありますから」
 露骨にその趣味を話していく。
「ですから」
「成程ね、けれど程々にね」
「お金のことですね」
「僕は他人の趣味については言わないから」
 そうしたことについて言う趣味はないというのだ。 
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