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八条学園怪異譚

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第四十三話 白蛇その十二

「巫女っていっても北欧とかギリシアのだけれどね」
「あれっ、魔女って悪魔と契約するんじゃ」
 愛実は茉莉也の話に首を捻って問い返した。
「そうじゃないんですか?」
「あの話ね」
「はい、違うんですか?」
「その悪魔っていうのが元々キリスト教以外の神様だから」
「そうだったんですか」
「バビロニアのイシュタルとかね。そういうのがキリスト教に悪魔って認定されたのよ」
「じゃあ元々は」
 ここで愛実もわかった、そのことが。
「神様の力を借りるっていう」
「そうそう、そういうのだからね」
「悪魔との契約はですか」
「その悪魔のルーツも調べてから見ていくと面白いわよ」
 こう愛実に話すのだった。
「その辺りをね」
「わかりました、そうなんですね」
「そうよ、他にも錬金術や占星術も身に着けててね」 
 他には薬学もある、それが魔女なのだ。
「特に悪い存材じゃなくてむしろね」
「私達がイメージしているみたいな」
「楽しいものよ」
 それが魔女だというのだ。
「先輩も悪い人じゃないからね」
「それじゃあ」
 聖花も応える、そしてだった。
 三人は洞を出た、茉莉也はすぐに縄を戻してそうしてだった。
 もう一度お祓いをしてだ、こう二人に言った。
「はい、これで終わりよ」
「ちゃんと戻したんですね」
「お祓いもされて」
「そう、お兄ちゃんじゃなくて私がしたけれどね」
 だがお祓いはちゃんとしたというのだ、行った者は違うが。
「じゃあね」
「はい、それじゃあ」
「今からですね」
「待っていたぞ」
 ここでうわばみの声がしてきた、見れば彼は白蛇の姿のままで三人の前でとぐろを巻いていた。そうしてだった。
 三人にだ、こうも言うのだった。
「では飲もうぞ」
「場所は何処にするの?」
「小学校の教室だ」
 そこで飲もうというのだ。
「一年三組のな」
「三組って私のクラスじゃない」
 茉莉也はそのクラスの名前を聞いて言った。
「そこで飲むの」
「うむ、どうだ」
「懐かしい場所ね。磯部先生元気かしら」
「結婚したのは知ってるな」
「ええ、やけに男前の旦那さんとね」
「二人の子宝に恵まれてな」
 そうしてだというのだ。
「今もこの小学校で働いておられるぞ」
「よかったわ、幸せそうね」
「幸せなあまりな」
 その結果どうなったのかもだ、うわばみは茉莉也に話した。
「太ったの」
「えっ、そうなの」
「脂肪率は三十パーセントを超えた」
「あんなにスリムだったのに」
「人は変わるものじゃよ」
 そうした意味でもだというのだ。
「あの先生もな」
「そうなのね」
「女は用心するのじゃ」
 うわばみはかなり真剣に語る。
「結婚して三十を超えて子供を産めばな」
「それが揃うとなの」
「太る」
 かなりの高確率でだというのだ。 
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