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ヘタリア大帝国

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TURN95 マンシュタイン参戦その十

「可愛い娘は皆俺のものだった」
「その為に悪の限りを尽くしてきたんだね」
「如何にも」
 このことも否定しない。
「俺は目的の為には手段を選ばない」
「ある意味において潔いね」
「そうだろう、では祖国さん行くか」
「まずは満州にね。それでだけれど」
「今度は何だ?」
「この馬だけれど」
 ピンクの鬣の白馬だ、青い綺麗な目をしている。
「かなりいい馬だね」
「シィルだな」
 ランスはその馬を見ながらモンゴルに答える。
「俺と一緒にこの世界に来た俺の奴隷だ」
「奴隷?」
「奴隷であり魔法使いだ」
 そうした存在だというのだ。
「俺にとって掛け替えのない存在だ」
「奴隷としてだね」
「祖国さん、奴隷はいいぞ」
 ランスは何処かの医者の偽者の様な邪悪な笑を見せて言う。フフフ、という言葉が傍に出てきそうである。
「やりたいことをやれるからね」
「ランスさんって変態でもあるんだね」
「実は」
 馬が言って来た、そのシィルが。
「ランス様はそうなんです」
「あっ、君喋られるんだ」
「何故この世界でも馬になったかはわからないですが」
 それでもだというのだ。
「喋れます」
「そうなんだ」
「はい、それでなのですが」
 シィルは自分から話す。
「満州戦に参戦されるのが祖国さんと私とランス様と」
「他には十個艦隊位かな」
「それでは満洲を攻略出来ないと思いますが」
 数が足りないのではないかというのだ。
「そう思いますが」
「それならそれでいい」
 ランスはそれもよしとした。
「向こうへの挨拶になるからな」
「だからですか」
「考えてみれば最初でいきなり攻略するよりもだ」
 挨拶をする方がだというのだ。
「面白いだろう」
「ううん、この世界でも楽しまれるのですね」
「ただ遊んでいるだけでもな」
 面白くないというのだ。
「派手にやらないとな」
「それなら」
 シィルも納得した、そうした話をしながら。
 モンゴルは傍にいた薄い金髪に赤い瞳のアルビノと思われる少女に顔を向けた。幼さがまだ残る顔立ちに上は鹿の柄が入った白い体操服、下は緑の半ズボンだ。
 その少女にこう言ったのである。
「コアイも来るかい?」
「うん」
 その少女コアイ=マラルも応える。
「コアイも一緒に行きたい」
「よし、じゃあもう一個艦隊追加だね」
「わかりました、それでは」
「後国名だがな」
 ランスはこのことについても言った。
「今何といった?」
「元だよ」
 モンゴルはすぐに答えた。
「蒙古ともいうけれどね」
「じゃあ元でいいな」
 ランスはそれでよしとした。
「騎馬民族の国名に相応しい名前だな」
「うん、そう思うでしょ」
「本当にな、じゃあそれでいこう」
 国名のことも話された、そのうえで。
 元軍は主だった顔触れで満州に攻め入った、枢軸軍にとっては寝耳に水の事態が突如として迫ろうとしていた。


TURN95   完


                2013・3・13 
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