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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第3話:買い物は慎重に……挑戦はよく考えて

(エンドール)
ビアンカSIDE

根暗が言うには「人間共の中で最も発展している国エンドール」だそうだ。
奴の言う通り規模も大きく人が大勢集まっている。
ここなら色んな物が集まるから、必要な物全てを買い揃える事が出来るだろう。

「おい、人間共が大量に湧いてる場所に長時間居たくない……早く用事を済ませろ」
「アンタがここに連れてきたんでしょ! イヤだったら人口密度の低い町に連れて行けば良いじゃない! 自分のした事を私に押しつけないでよ」
折角連れてきてくれたのだから文句を言うのはアレなのだが、奴の言い方がムカツクからどうしても反論してしまう。

「ちっ……口の減らない女だ」
折角素晴らしい顔をしてるのに激しく歪めて唾を吐く。
コイツと居ると、リュカの素晴らしさを再確認出来る。



まぁ根暗は無視して買い物を始める。
下着類を含む衣服や生理用品に、歯ブラシなどの日用品等を大量に買い込み、根暗に荷物持ちをさせる。
何時まで軟禁させられるか判らないし、購入代金は奴持ちだ。
何より奴の両手を塞ぐのが目的でもあるから、遠慮などせずに買いまくる。

ここで買い物の注意を教えよう。
ロザリーへのお土産は最後に購入する事!
何故かというと、この町に居る理由を残しておき滞在時間を引き延ばす為だ。
なんせ奴への新たなお仕置きを見つけなければならないのだから。

「おい、いい加減に終わらせろ! もう十分に買い込んだだろう……これ以上何を必要としてるんだ!?」
「何よ……その程度の荷物を持たされただけで根を上げちゃってるの? 意外に根性ないのね(笑) 私の旦那だったら、その程度の荷物で情けない声を出したりしないわ……まぁ私の旦那は特別凄いから、アンタと比べちゃ可哀想よね。ごめんなさい」

「な、何だと……俺が人間より劣る訳ないだろ!」
単純にも私の挑発に乗ってきた根暗を尻目に、周囲に使える物がないか隈無く探す。
そして程なく発見する……この馬鹿を打ちのめす大いなる武器を!

「あらあら本当かしら? まだ短時間だけどアンタの言動を見る限り、とても私の旦那に勝てるとは思えないわ。見なさいこれを……」
私はそこまで言うと、壁に貼ってあった『エンドール武術大会』のビラを剥がし、両手の塞がった根暗に見せ付ける……器用にビラの下部が破れる様に剥がして。

「人間共の行う武術大会が何だと言うんだ!?」
「私の旦那は凄く強いから、この大会に出場したら簡単に優勝してしまうって言ってるの!」
まぁ実際は面倒臭がって出場などしないだろうが……

「ふん! 俺が出場したって結果は同じだ。いや、キサマの夫が出てても纏めて殺してしまうだろうな!」
言うと思ったわ……その言葉が欲しかったと言うのにねぇ(笑)

「ふっ……解ってないわね。私の旦那はこの大会で優勝確実なの! つまり大会ルールに則り勝ち進む事が出来るのよ! よく見なさい『相手を殺した場合は失格』って書いてあるでしょ! 対戦相手を殺す事なんて誰にでも出来るのよ……でもそれが本当の強さじゃない! 相手を殺さずに敗北を認めさせる事こそが、本当の強さを示す事だと言ってるの!」

「こ、殺さず敗北させる!?」
「そうよ……アンタの様な弱者には、戦った相手が生き続けるのは(いず)れ自分への報復があると思い、恐怖でしかないでしょう。でも私の旦那は、何時(いつ)何時(なんどき)襲われても、全てを返り討ちにする実力を備えているから、恐怖とは無縁で居られるのよ。強者の余裕ってやつね」

「……良いだろう。俺もこの大会に参加し、呆気なく優勝してやる!」
凄い殺気を放ちながら、私が目の前に晒したビラを睨み、大会参加を表明する。
そして、そのまま大会参加の受付所まで行き、数日後から開始される武術大会に参加した。

受付簿に名前を記載する時、勿論両手の荷物は一旦置いたのだが……私から先程のビラを奪い取ると、自分の懐に仕舞い込み闘志を燃やしていた。
だから私は、受付に大量に置いてある“ご自由にお持ち下さい”のビラ(先程のと同じ物)を貰い、綺麗に折って仕舞い込む。此方は下部が破れてないし、ちゃんと『優勝者にはエンドールの姫様とご結婚出来る』との文章も残っている。

そう、奴は知らない。
大会優勝者が姫様との結婚に繋がっている事を(笑)
根暗が闘志を燃やしているのを見て、笑いを堪えるのに必死な私。

きっと奴は優勝する……いや、優勝するだけの実力を備えている。
だから決勝戦前に、ロザリーにこのビラ(無傷版)を見せ、根暗の目的がお姫様だと思わせるのだ。
多分修羅場になるだろう……大丈夫、奴を貶めるだけ貶めたら私はロザリーを励ましてあげるんだ。

その面で不愉快な態度をとった事に後悔するが良い!
優勝は逃す、好いてる女は傷付ける、おまけに嫌ってる私にフォローされると散々な目に遭わせてあげるわ。
私を……いや、我が家を馬鹿にした報いを受けて貰う。リュカ家は怖いのよ……敵に回すと恐ろしく厄介なのよ!

「おい、用事も済んだし帰るぞ」
自分の用件(私に煽られて申し込んだ武術大会)が済むと一方的に帰宅を促してくる根暗野郎。
リュカを見ていると解るが、真のイケメンとは女の子への気遣いが必要不可欠なのだろう。
即ちコイツはダメだ!

「まだ用事が残ってるわ」
「ちっ、トロい女だ……」
絶対泣かす!

「ロザリーへのお土産をまだ買ってないのよ! アンタは彼女へのお土産を蔑ろにする気!?」
「そ、そんな事は言ってないだろ! それよりまだ買ってなかったのか!?」
アンタを嵌めるのに忙しかったんだから仕方ないじゃない!

「彼女の好みが判らないから何を買って良いのか決めかねてるんでしょ!」
「それだったら、あっちの店にロザリーの好きそうなケーキがあった……それを買うんで良いだろう!」
あぁ、あったわね美味しそうなケーキ屋さんが。

「そんな彼女の好みの商品があったんだったら、早く言いなさいよね! 急かすだけ急かして何も教えてくれないんじゃ、ロザリーの好みなんて判る訳ないじゃない! やっぱり馬鹿ねアンタ……」
「ぐっ……この女ぁ……」
やばい……ちょっと言い過ぎたか? 多分殺されはしないだろうが、殴られたら帰ってロザリーにチクる!

「ほら……ケーキ屋さんに行くわよ! ロザリーへのお土産なんだから、文句言わないの」
主導権を握る事でこの場を回避したが、例のお仕置きが炸裂するその時まで、無用に煽るのは控えよう。
リュカやポピーと違って、私は平凡な女なのだから……

ビアンカSIDE END



(ロザリーヒル)
ロザリーSIDE

良かった……ビアンカさんが無事に帰ってきたわ。
ピサロ様を見て怯まない(怒りを露わにした時のピサロ様も含む)から、怒りのあまり殺されてしまうのではと心配だった。

ピサロ様は本当は優しい方なんです……
ただ私の対して過保護というか……だから言いたい事を言うビアンカさんとは仲良く出来そうになくて……

それにビアンカさんも約束を守ってくれました。
少しだけですけど、もしかしたらピサロ様の言う通り逃げて仲間を呼んでくるのではと思った事があります。
でもビアンカさんは違いました。明朗な口調で私と約束し、その約束は果たしてくれました。

やっぱり人間全てが酷い人達ではないのですね。
ビアンカさんの様な素敵な人々も存在するんですね。
彼女のお陰でその事を証明する事が出来ました。

後はピサロ様にも解ってもらうだけ……
ビアンカさんと一緒に生活する事で、人間を滅ぼそうとする野望を止めて貰わないと。
大丈夫……ピサロ様は優しいから、心から説得すれば解って貰える。

私には心強い味方も出来ましたから……
ビアンカさんという私にはない強さを秘めた優しい味方が出来ましたから!
彼女ならピサロ様がお怒りになっても怯まないで発言してくれる。

今も二人で口論してるし……
「人間の煎れた茶など飲めるか!」
ビアンカさんが買ってきたケーキを食べる為、彼女特製の紅茶(これも買ってきた)を煎れて貰い、これからおやつにするところです。

「はぁ? 私が折角煎れた紅茶を飲めないと言うのかキサマ!」
どうしてあんなに言いたい事を言えるのだろう?
私は引っ込み思案だから羨ましいです。

「当たり前だ人間。俺を殺す為、毒を仕込んだ可能性は否定出来ないだろ」
「否定するわボケ! アンタを殺したって、私には何の利点もない……むしろロザリーを悲しませるだけ無意味なんだから!」
そんな事を言い合ってるけど、本当はお互いを信じてるのではないですかね?
行ってるのは口論ですけど、とてもリズミカルで面白いですわ。

「はっは~ん……さてはお前怖いんだな。魔族の王とか嘯いてるが、たかだか人間の用意した毒が怖くてビビってんだな! はいはい解ったわ……アンタはそうやって私に怯えて生きて行きなさい。ロザリーと共に食事をするには、自らが用意した物しか食べられない状態で生きて行きなさい」

「言わせておけば……キサマなど怖くないわ! サッサと茶を持ってこい。幾らでも飲んでやるわ!」
「1杯しか煎れてないわよ馬鹿。ほら、好きなカップのを選びなさい。全部に毒が入ってない限り、アンタだけを殺す事何て出来ない様にしてあげるから……それとも私が一口ずつ毒味する?」

呆れ果てた口調でトレイにのった紅茶のカップを3つ差し出すビアンカさん。
ピサロ様も憮然としながら一つだけ選び、恐れる事なく飲みました。
私も恐れる事はないので、一番手前のカップを取り飲みます。

ビアンカさんってピサロ様を操るのが巧いわ……
今度コツを教わろうかしら?

ロザリーSIDE END



 
 

 
後書き
デスピサロが武術大会決勝戦に現れなかった理由……
それが今回明らかになりましたね(笑) 
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