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八条学園怪異譚

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第四十三話 白蛇その五

「というか背負ったら四キロ位はね」
「大丈夫なのね」
「そうよ、手で持つのと違うから」
 背負うと身体全体で被ることになる、手だけで持つのとは全く違う。
 それでだ、あいみも言うのだった。
「そう言う聖花ちゃんもね」
「あっ、これね」
 聖花は愛実の言葉で自分の背中に顔を向けた。見れば彼女もリュック、青いそれを背負っている。それはというと。
「おつまみね」
「うん、重くない?」
「大丈夫よ」
 今度は聖花がこう言う番だった、笑顔で答える。
「背負ってるから」
「私と同じこと言うわね」
「そうね、そういえばね」
 こう二人で笑って話す、そうして。
 愛実は小学校の方を見てそのうえで聖花に言った。その言うことはというと。
「小学校も馴染みになってきたわね」
「うん、あそこの泉の候補地も探してきたしね」
 もう既にあちこち回っている二人だった。
「だからもう小学校もね」
「すっかり馴染みになったわね」
「大学のその魔術部?研究会だったかしら」
「部になってたわよ」 
 聖花はすぐにこう答えた。
「魔術部の人によね」
「うん、お会いしてね」
「次はそこね」
 うわばみの次はというのだ。
「そこに行きましょう」
「そうね、魔術部の先輩ね」
「リアルで魔女かしら」
 聖花は少し有り得ない、現実にはそうであることをここで話した。
「まさかと思うけれど」
「あるんじゃないの?だってね」
「青木先輩みたいな方もおられるから?」
「うん、普通にあるんじゃないの?」
 愛実は茉莉也を例にしてその『少し有り得ないこと』も現実に有り得るということを言った。少し、はほんの少しの垣根だからだ。
「そうじゃないの?」
「そうなの。それじゃあ」
「そうよ、あるわよ」
 茉莉也の様に、というのだ。
「断言は出来ないわ」
「そうね、言われてみればね」
 聖花も愛実の言葉を受けて納得した顔で頷いた。
「有り得るわね」
「中身までああとは思えないけれどね」
「あそこまで変人さんじゃないわよね」
「あの人はね」
 愛実は聖花のことについては苦笑いになって述べた。
「桁外れの飲んべで舌が変わってて百合趣味だけれどね」
「揃ってるわね、こうして考えてみると」
「変わった人よね」
「ええ、本当にね」
「まあ悪い人じゃないけれど」
「変わった人なのは確かね」 
 そうした話をしているとだった、その校門が見えてきた。その右手に赤と黒、白のタートンチェックのアイドルのステージ衣装の様な制服の小柄な少女がいた。
 その茉莉也がだ、二人に笑顔で言ってきた。
「こんばんは」
「はい、こんばんは」
 二人は茉莉也の笑顔に頭を下げた、そのうえでだった。
 三人で小学校の中に入る、茉莉也は二人の間に入って歩きながらそのうえでポケットからあるものを出してきた。
 それはウイスキーのボトルだった、それを二人に見せて話すのだ。
「私はこれ持ってきたのよ」
「ああ、ウイスキーですか」
「それなんですね」
「洋酒もいいものよ」
 こう行って笑顔で言うのだった。
「強いしね」
「というかウイスキーってね」
「ちょっと強過ぎない?」
 二人はウイスキーについては首を傾げさせてこう評した。 
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