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万華鏡

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第四十二話 運動会前にその十

「後のキャラも着ぐるみは借りるわ」
「走らないのにですか?」
「そうされるんですか?」
「後のキャラは応援よ」
 それに使うというのだ。
「そうするわよ」
「ううん、そうなんですか」
「そこのキャラ全部ですか」
「着ぐるみは借りるんですね」
「それで使うんですね」
「そうよ、今思いついたけれど」
 よく言えば閃き、悪く言えば気まぐれでそう思ったというのだ。それで今言うのだ。
「いいでしょ、ゆるキャラずらりってインパクトあるでしょ」
「可愛いインパクトですね」
「それですね」
「そう、それよ」
 先輩が今求めるのはこれだった、運動会も目立ってしまえというのだ。そして先輩の思いつきはまだあった。
「その格好でバンド演奏するのはどう?」
「それは幾ら何でもね」
「狙い過ぎじゃないの?」
 部長と同じ二年生の高見先輩と宇野先輩が二人で言ってきた。
「ちょっとね」
「かえってよくないわよ」
「じゃあバンドはなし?」
「バンドは文化祭でしましょう」
「私達の本番でね」
 その時に出そうというのが二人の先輩達の提案だった。
「じゃあいいでしょ」
「それで」
「ううん、私的にはいいと思うけれど」
「今ここで出すこともないじゃない」
「文化祭があるから」
 だからバンドでの演奏は、というのだ。
「お外でやるから楽器に砂とか入るから」
「後のおトイレが大変よ」
 先輩達はグラウンドですることも考えて言う。
「だからゆるキャラ揃えるのはいいけれど」
「そこまではね」
「お手入れが大変なら」
 部長も考えをあらためた、楽器のことを考える辺り伊達に軽音楽部の部長ではない。
「止めておくべきね」
「そうそう、楽器も傷むし」
「無茶は避けてね」
「野外ライブでも砂のないところでするでしょ」
「砂はまずいわよ」
「わかったわ、それじゃあね」
 部長も頷いた、こうしてだった。
 ライブは没になった、結局ゆるキャラを揃えてそれで着るだけだった。そして次の話では。
 今度はどのキャラを選抜するかだ、部長は部員達にこのことも告げた。
「じゃあ今からね」
「はい、今からですよね」
「その中から五つ選ぶんですよね」
「どのキャラで走るのか」
「そうよ」
 その通りだとだ、部長は部員達に答えた。
「それじゃあいいわね」
「はい、じゃあ今から」
「多数決で」
 部員達も部長の言葉に応える、多数決での選抜となった。キャラ一つ一つに手を挙げていきその数で選ぶのだった。
 その結果五つ決まった、部長はその結果を見て言った。
「じゃあこれでね」
「ええ、決まりね」
 部長の横から副部長が応えてきた。
「それじゃあね」
「そうね、まあリレーの順位はいいのよ」
 それには構わないというのだ。 
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