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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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エピローグ




 俺達が倭国にやってきて河内湾(大阪)に拠点を構えてから五年の月日が経った。
 俺は政務に忙しいが国――河内国は豊かになっていた。
 邪馬台国と吉備国からの援助で河内国は海洋立国になっていた。
 大陸から脱出した時に使用した帆船を新しく構築した造船所で建造して吉備国に食糧等と引き換えに交換したりして河内国の地位を高めた。
 また、河内平野における水害を防ぎ、また開発を行うために難波の堀江の開削と茨田堤の築造を行った。
 ……これって仁徳天皇が行った業績じゃあ……まぁ良い。
 曹操達にも仕事をさせるために、時代をかなり先取りして太政官制度を発足させた。
 曹操は左大臣、美羽を右大臣に任命させて七乃等の軍師達は次官の大納言や中納言に任命させた。なお、蓮華は太政大臣であったりする。
 三羽烏の凪は俺の護衛として近衛兵団として部隊を創設し、真桜は宮内省の木工寮の頭となり沙和は人々が着る服の仕立て屋の長となっている。
 霞や桜花と言った武将は全員が兵部省に組み込んでいる。
 武官が文官を出来るとは言いがたいからな。秋蘭や白蓮とかは別だけどな。
 思春と明命は間者という事を生かして隠密省という省を発足させた。
 大体が二官八省をモチーフにしている。なお、神祇官には雪風が就任している。
 本来なら雪風は邪馬台国の女王であるが、雪風は俺の后になった時に女王を退いて邪馬台国は大日本根子彦国牽尊が王としてなっていた。(邪馬台国は二年前に、崇神天皇の崇神王朝(三輪王朝)に滅ぼされた。邪馬台国はそのまま崇神王朝に組み込まれた)
 崇神王朝はそのまま河内国に侵攻してきたが、真桜に頼んで生産していた四斤山砲十二門を侵攻してくる道に配備して攻撃。
 崇神軍を撃破した。崇神天皇はたまらず和平の使者を出して俺と交渉して友好をする事になった。
 そして吉備国と交えて会談をし、崇神王朝と吉備国、河内国との同盟が締結された。
 それと大陸の動向だが……予想もしない事態になっていた。
 俺達が倭国に亡命して三年は比較的平和だった。北郷達、蜀の奴等も上手くやっていると思っていたが思春からの報告だと人材が少なく猫の手を借りたい状態だという。しかも不満は各地で起きているとの事だった。
 しかし、蜀が大陸を統一してから三年目に突如として北方の五湖が大陸に攻めこんできた。
 北郷達は防衛戦を展開したが、五湖は精鋭でエジプトの鉄車(所謂戦車)を主力に機動戦を展開して蜀の防衛線を突破、蜀側を混乱させた。
 北郷達は洛陽を追い出されて以前の成都に逃げ込んだのであった。
 その報告を聞いた俺は海に向かって思いっきりこう叫んだ。

「北郷ざまあァァァァァァァァァァーーーッ!!!」

 後で聞くと皆にも聞かれていたがな。まぁ久方ぶりにスッキリしたのは間違いなかった。
 また、報告によれば建業にて反乱が勃発した。その反乱の首謀者は何とあの最後の突撃を敢行して行方不明になった劉ソウ殿だった。
 しかも傍らには仲軍から離脱した司馬懿もいた。

「劉ソウ殿によれば、重傷を負っていたところを司馬懿に助けられたらしいです」

 思春はそう報告した。兎も角、二人が生きている事に俺は喜んだ。
 そして思春達は戦火から逃れるために逃げていた人々を倭国に寄越した。人々も安寧の地を得られるならと船に乗船して倭国に来日した。
 この人々の中には技術を持った者や鍛冶師等もおり三国の軍備は増強出来た。
 結局、北郷達は蜀に戻って五湖に占領された洛陽や長安を奪い返そうとしたが追い返されるはめになった。
 建業にて新たな国――晋が起こったのはこの頃であり、王には劉ソウがなり補佐には妻である司馬懿がなった。
 司馬懿は「本が読みたい……」とブツブツ言っていたらしいがそれでも表情は嬉しそうだったらしい。
 大陸は結果的に五湖、蜀、晋の三国に分かれる事になり諸葛が劉備に提案した天下三分の計に戻ってしまった。

「自業自得じゃろう……」

 報告を聞いた劉協はそう言って溜め息を吐いた。まぁ自業自得なのは確かかもしれんな。
 そして四年目の時に卑弥呼達が河内国にやってきた。一種の里帰りらしく、華陀を河内国に置いて二人は再び蜀へ向かった。
 華陀が来てくれたおかげで出生後の幼児の死亡や病で亡くなり確率が少なくなったのは良い事だと思う。
 それと……俺の嫁さんだけど、正室と側室に分かれている。正室はじゃんけんで見事勝利した雪風だったりする。
 正室は雪風で側室は上から七乃、桜花、霞、秋蘭、クロエ、ロッタ、焔耶、蓮華、雪蓮、夏蓮、冥琳、麗羽だ。
 なお、クロエ、ロッタ、焔耶、夏蓮、冥琳の五人のイベントはちゃんとあるのだが作者が書いてないだけだ。(外伝で出す予定ですby作者)

「何をしているんだ長門?」
「ん? 七乃達か」

 後ろには七乃、桜花、霞の三人がいた。三人のお腹は少しふっくらとしている。三人は二人目の子どもを宿していた。

「いや、ちょっと日記と歴史書の作成をな」
「作成もいいですけど、たまには私達の相手も御願いしますね」
「……済まん、なら今から子ども達と遊ぶか」
「政務は良いのか?」
「曹操にやらせる」
「……また怒られるで」

 俺は書簡をしまい、愛する人達の元へ行くのであった。
 恐らくこれからは苦難の道のりがあるかもしれないが、皆で乗り越えよう。
 ようやく手にした幸せだからな……。






    ―――――完――――――






 
 

 
後書き
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